人事を業務委託に発注する際のメリットや注意点まとめ
採用活動から人事考課をはじめ、労務管理や社員教育など、企業にとって重要な経営資源となる人材を最大限かつ、効果的に活用するポジションを担う人事。
今回は、人事を採用して内製化すべきかどうかや、業務委託として発注する際のメリットやデメリット、副業における具体的な案件例を、報酬相場を踏まえながら詳しく解説していきます。
人事は採用して内製化すべき?外注で業務委託すべき?
企業運営に必要な人材を補うとともに、人材育成や従業員が安心して生産的に働ける環境の構築など、人材活用に必要な仕組みや環境整備に欠かせないポジションである人事。
人材に関する幅広い役割が求められるため、本来であればこれらの業務を担う人材は自社採用して内製化し、ノウハウを蓄積していくことが理想的といえます。
ただし社内リソースの不足や、必ずしも自社で完結する必要のない間接業務などは、スキルもノウハウもある外部の人材へ業務委託として依頼すれば、大幅な効率化が図れます。
また、内製化すれば給与などの固定費を支払い続けなければなりませんが、外注した場合は、必要時にプロフェッショナルの力を借りられるうえ、外注費のみで済むため、コスト削減を検討する企業には非常に魅力的といえるでしょう。
人事を外注で業務委託するメリット
人事業務を外注で業務委託した場合に得られるメリットは、以下の3つが挙げられます。
最新の採用トレンドや法規制に対応できる
優秀な人材の確保には、採用すべきターゲットに対して自社の魅力を積極的に発信し、応募に繋げていかなければいけません。
企業の魅力の打ち出しだけでなく、業界や職種による採用方法の採択は欠かせず、時流に則した採用トレンドを最新のものにアップデートしていく必要があるでしょう。
また、働き方改革により社会保険や労働基準法なども頻繁に改正されているため、対応を怠れば法律違反として罰せられる恐れがあります。
人事業務のアウトソーシング事業を専門とする企業や個人事業主であれば、業界や職種に見合った採用トレンドや法規制に関する知識が豊富なため、ベストな対応をしてもらえるはずです。
特定の仕事だけを任せられる
企業が経営目標を達成するために、人材の確保に向けた採用活動をはじめ、部署配置や勤怠管理、給与計算などの労務管理まで、従業員が働くうえで必要な数多くの業務を担う人事。
多種多様な業務のうち、例えば勤怠管理、給与計算といったルーティン業務や人事戦略のリソース不足をアウトソーシングで補うことで、より少ない人員での企業活動の実現や、人事関連の新たなノウハウの取り込みが可能になります。
人事担当がより重要な仕事をできる
人事代行会社や個人事業主など、多くのノウハウと経験を有する外注先に人事業務をアウトソーシングすることで人事担当者の負担が減り、より重要な仕事に専念できます。
また、外部の人材ならではの客観的な視点により、業務手順や作業量、方法などの見直しに関する提案を受けることで、環境改善が図れるでしょう。
人事を外注で業務委託するデメリット
人事に関する業務をアウトソーシングした場合、得られるのはメリットだけではありません。以下に挙げる3つのデメリットも踏まえたうえで、上手に活用していくことをおすすめします。
カルチャーのミスマッチが起こる可能性
業界や職種という面だけでなく、人事の業務ひとつとっても、独自のカルチャーが色濃く反映されている企業は少なくないでしょう。
社内では、その考え方や方法が当たり前として通用している場合でも、外注先にとってはイレギュラーな状況や依頼となる可能性は珍しくありません。
認識の違いによるミスマッチを起こさないためにも、依頼する業務の意義や範囲をはじめ、進め方なども含めて、具体的な方法を外注先の担当者とすり合わせておくことが肝心です。
コミュニケーションの難易度が上がる
外注先の担当者がリモートでの勤務体系を選択していた場合、自社と離れた場所で作業することになります。
このため意思の疎通が難しくなり、認識のすれ違いや作業指示の誤りによって業務効率が下がるなど、思うような成果に繋がらないケースは少なくありません。
コミュニケーションの低下を招く状況にならないよう、定期的なやりとりの場を設けながら、連絡ツールなどをうまく用いて回避していくことをおすすめします。
センシティブな情報は共有しづらい
人事業務の担当者は、例えば採用時に応募者に関する過去の経歴をはじめ、出自やマイノリティなど、センシティブな情報を知り得る立場にあります。
外部の人材にこれらの業務をすべて任せた場合、情報漏洩に繋がってしまう可能性はゼロではありません。
個人情報保護の観点から、外注先が安全管理措置の実施を行っているか確認しておくことはもちろん、採用業務に関する依頼は面接などを除いた一部の業務に留めておくことも肝心です。
業務委託できる人事の主な仕事
業務委託としておすすめできる人事の仕事について、以下で代表的な5つの仕事を紹介していきます。
採用戦略設計
自社が求める人材を効率的に採用するために欠かせない、採用戦略設計。自社における採用活動の目標や方針を立てていくことで社内の協力体制にも繋がり、企業全体の組織力も底上げできます。
競合他社との違いや、応募者のニーズ分析に基づき、自社のアピールポイントを打ち出した採用戦略設計をベースに採用活動を実施すれば、即戦力となる優秀な人材を取り込みやすくなるでしょう。
経営計画や事業計画の把握から、採用市場や自社および競合他社の現状分析などマーケティング経験が豊富な外注先に依頼することで、より効果的な採用活動が期待できます。
評価制度設計
従業員の業績や能力をはじめ、仕事や自社への姿勢に対する情意などを公正に評価し、効果的な人材活用を目的とする評価制度設計。
従業員が企業の一員であるという認識と自主性をもって目標達成に取り組む目標管理制度(MBO)や、評価対象者が特定の行動をとっているかどうかが指針となるコンピテンシー評価などの設計は、外部の人材ならではの客観的な視点が活かせます。
売上や利益に直結しない分、十分なリソースが割けないという企業が多い現状、これらの業務を業務委託にするメリットは大いにあるといえるでしょう。
エンゲージメント施策
従業員が自社に感じる愛着や結びつきにより、企業と従業員間での信頼関係を深め、生産性や定着率の向上に欠かせないエンゲージメント施策。
社内コミュニケーションの活性化や、経営陣からの全従業員に向けたメッセージの伝達などによる目的意識やビジョンの統一化、また、働き続けたいと思える環境作りに向けたワークライフバランスの向上を実施することで、モチベーションアップにも貢献できます。
これらの施策をエンゲージメントサーベイやデータ分析に特化した外注先に依頼すれば、よりスピーディーに効果的な施策を立てることが可能になるでしょう。
社内研修
従業員の育成に欠かせない社内研修。人を教育するプロフェッショナルが在籍する外注先に依頼することで、質の高い教育を受講できます。
研修カリキュラムにおける知識も経験も豊富で、なおかつ指導力が保証されているため、最も効果的な研修を実施できるでしょう。
採用業務
思うような人材の応募や採用に至らないなど、人材確保に悩む企業が増加する昨今、採用に関するノウハウや実績を積んだ人事代行会社などに依頼するのは有効な手段といえるでしょう。
採用業務とひと言でいっても、欲しいターゲット層に向けた求人広告の作成、プロモーションの実施から面接まで、多岐にわたる業務が存在しています。
アウトソーシングであれば、自社における経験やリソースが不足している一部の業務のみを依頼するなど、必要に応じた臨機応変な活用も可能です。
人事を外注する際の注意点
人事業務を外注する場合、以下に挙げる3つの注意点を踏まえて対応していけば、選択のミスマッチを防ぎ、成果が期待できるでしょう。
過去の実績や評判を確認する
人事業務のアウトソーシングサービスを扱う企業や、個人事業主などが数多く存在するなか、外注先を選ぶ基準は自社の人事課題を明確にしたうえでチョイスしていかなければなりません。
思うような人材の採用に至らない、または、人材育成企画にリソースを割きたいなど、外注を検討する理由に見合った実績や評判のある外注先を探せば、成果に繋がりやすくなります。
対等な関係のパートナーとして向き合う
外注先の担当者に自社のパートナーとして活躍してもらうには、業務の発注者と受託者という関係の垣根を越え、対等な存在として向き合う姿勢は欠かせません。
お互いしっかり信頼関係を構築していくことはもちろん、自社の将来における展望も視野に入れ、外注先に業務を丸投げして頼りきりにせず、社内にノウハウが蓄積されていくように協働していけば安心です。
定期的に成果を評価する
アウトソーシングする人事業務の範囲によっても異なりますが、定期的な業務進捗状況の確認と成果に対する評価は必ず実施していきましょう。
これらを怠ると、外注先が適切な業務を遂行しているか把握できず、効率性や成果にも悪影響を及ぼす可能性があります。
適切な管理体制のもと、外注先に対する具体的な評価制度を設けておけば、モチベーションアップにも直結するはずです。
人事を外注する場合のパターン
企業の生産活動に不可欠な人事業務を外注する場合、以下に挙げる3つのパターンがポピュラーといえます。
人事代行会社に発注する
人事業務のアウトソーシングを検討した場合、エキスパートとなる人材が多数在籍し、採用トレンドや法規制に対するノウハウが豊富な人事代行会社への発注が最も一般的でしょう。
人事のプロフェッショナルとして、社内にはない別の視点による活躍が期待できるメリットがありますが、高額な報酬や、柔軟な対応はしてもらえない点はデメリットといえます。
個人事業主に発注する
一般企業や人事代行会社での人事職経験を経て、個人事業主として活躍する人材への発注は、コストを抑えられるうえ、業務を幅広くこなしてもらえる点でもメリットが大きいといえます。
人事代行会社に発注するより低コストで質の高い採用を希望しているのであれば、個人事業主はまさにおすすめです。また、業務における柔軟性の高さも魅力です。
副業社員を採用する
現役の人事担当者や経験者である副業社員を採用すれば即戦力となるうえ、人事代行会社や個人事業主に発注するよりも、さらにコストが抑えられる点は魅力といえるでしょう。
ただし、本業との兼ね合いで時間的な面や、業務内容に制限がある場合が多いため、月末月初だけ、あるいは給与計算や勤怠管理のみなどスポット的な利用をおすすめします。
人事の外注・業務委託の報酬相場
人事の業務を外注して業務委託した際に支払う報酬額は、外注先によって若干異なります。以下で、採用担当として「人事代行会社」「個人事業主」「副業社員」それぞれに依頼した場合にかかる1ヶ月あたりの相場を紹介していきます。
人事代行会社 | 月額40万~60万円程度 |
---|---|
個人事業主 | 月額15万~35万円程度 |
副業社員 | 月額7万~10万円程度 |
人事の副業案件の例
人事の業務を副業とするには、どのようなものがあるでしょうか。「稼働時間」「単価」「条件」の具体例を踏まえながら、以下に2例紹介していきます。
総合商社の中途採用人事
稼働時間 | 25~40時間程度/月 |
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単価 | 10万円〜/月 |
条件 | ・採用実務の経験がある方 ・採用領域を自走できる方 |
業務内容 | ・採用設計、人事設計 ・人材要件の整理 ・母集団形成(SNS、エージェント等) ・エージェント対応 ・カジュアル面談、面接同席 |
企業規模拡大に伴う課題を解決する新卒採用コンサル
稼働時間 | 20~30時間程度/月 |
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単価 | 10万円〜/月 |
条件 | ・大手企業での新卒採用や採用広報の担当経験がある方 ・大手企業向けの採用コンサル担当経験がある方 |
業務内容 | ・新卒採用業務全体の把握 ・採用戦略や採用広報に伴うアドバイザリー業務 ・PJT化した際のPM業務 ・事業・部署に対するアドバイス、企画・ディレクションなどの立ち回り |
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