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日本郵便の全社員が前向きにはたらける組織へ ―日本郵政グループの『戦略的副業』プロジェクト事例に迫る【4】

副業活用ポジション:

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日本郵政グループは、グループ内外で人事交流を行い、新たな企業価値とサービスの創造に着手。外部の副業人材を積極的に受け入れることで社内にイノベーションを起こし、組織風土を改革していくため、2022年度から『戦略的副業』を開始しています。

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・【セミナーレポート】TURNING POINT2023<vol.2>”戦略的副業”に挑む日本郵政グループ。半年を経て見えてきた成果とは?

lotsfulでは日本郵政グループが取り組む『戦略的副業』を支援しており、2期目となる2023年度では日本郵政・日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険という4社・計19件の副業プロジェクトをサポートしてきました。そこで今回、4社のプロジェクト事例を取材し、その内容を紹介していきます。本記事では、日本郵便が取り組む副業人材活用の事例として、同社の社内広聴室/社内広報室におけるプロジェクトを取り上げます。

同社は、全国約24,000の郵便局を通じて幅広い商品・サービスを提供するとともに、フロントで活躍する社員一人ひとりが働きやすいと感じる職場を作っていくため、「はたらく環境の課題解決」と「従業員満足度の向上」は必須でした。

これらを実現するにあたり、社内広聴室/社内広報室では副業・兼業人材の活用に着手。実際に、どのように取り組みを進め、どのような成果を得たのでしょうか。今回は、社内広聴室の素野氏・迫氏・竹村氏、社内広報室の横田氏から話を伺いました。

会社情報

日本郵便株式会社 郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、印紙の売りさばき、地方公共団体からの受託業務、前記以外の銀行業、生命保険業および損害保険業の代理業務、国内・国際物流業、ロジスティクス事業、不動産業、物販業など
設立年 2007年10月1日
社員数 175,950名(2023年3月31日現在)
副業活用ポジション 人事、広報

日本郵便株式会社
社内広聴室 室長
素野悠一 氏

全社員が前向きに働ける組織風土の醸成を目的とし、情報・コミュニケーション改革を推進する社内広聴室の室長を務める。

日本郵便株式会社 
社内広聴室 課長
迫綾子 氏

社内広聴室に所属し、副業・兼業人材とともに業務を推進。社員の声を聞く「目安箱」の設置や「未来会議」の全国開催に取り組んでいる。

日本郵便株式会社
社内広聴室 課長
竹村修一 氏

素野氏・迫氏と同じく社内広聴室に所属し、副業・兼業人材とともに業務を推進。社員の声を聞く「目安箱」の設置や「未来会議」の全国開催に取り組んでいる。

日本郵便株式会社
広報部 社内広報室 
横田真記 氏

社内広報室に所属し、インナーブランディング、インナーコミュニケーション施策の企画・運営を手がける。副業・兼業人材とともに業務を推進。

日本郵便ではたらく全社員が前向きに働ける組織づくりを目指して

今回、どのような課題があり副業・兼業人材の活用に着手したのでしょうか?

迫氏

我々社内広聴室は、全社員が前向きにはたらける組織風土の醸成を目的とし、経営層とフロントライン間のコミュニケーションの活性化、主体性のある社員への意識改革を行うことをミッションに、昨年8月に立ち上がった組織です。

現在、組織風土改革の基本となる情報・コミュニケーション改革を推進する施策として、3つ進めています。「①社長通信」(会社の経営方針や将来像の発信)、「②目安箱」(社員の声を経営に活かす仕組み)、「③郵便局未来会議」(経営層と社員の意見交換の場)を全国各地で開催すべく取り組んでいる真っ只中。特に目安箱に関しては、当初の想定以上にたくさんの意見が寄せられ、その全てを同時に解決していくことは難しいので、どの課題から優先的に取り組むべきかを整理する必要がありました。そこで、その情報収集から改善検討までのアイデア出し、その過程で生じるスキーム構築の検討支援をいただける副業人材の活用を考えたのです。

竹村氏

実はこれまでもフロントラインの社員の声を集める仕組みはありましたが、意見に対してスピード感を持って対応できていたかと言うと、十分でなかったと考えています。昨年6月に社長が交代し、「郵便局で今何が起きているのか、どんな不便があるのか、リアルな声をタイムリーに把握し、課題解決に向けてスピード感を持って対応すべき」という社長の想いもあり、これらの仕組みを導入しました。

横田氏

私が所属する社内広報室は、インナーブランディング、インナーコミュニケーション施策の企画・運営を行っています。実はこの社内広報室も2023年に新たに組成された組織で、これまでインナーブランディングを担当する専門部署がなかったことから、知見を持った外部の方からのアドバイスが欲しいと副業人材の活用に至りました。

今回、副業・兼業人材として社内広聴室ではOさん、社内広報室ではKさんを採用しています。決め手になったポイントはどこにありましたか。

迫氏

Oさんは事業会社のマーケティング担当としてのキャリアが長く、さらに約10もの新規事業をマーケティングの側面から成功に導いた実績がある方でした。社員の声を集めて分析をするというミッションもおそらく得意なのではないかと思い、お願いすることになりました。

横田氏

社内広報室は、様々な施策を企画検討している段階で、それに対するアイデアをたくさん出していただきたいという希望がありました。そのため、テレビディレクターとして長くご活躍されており、アイデアの引き出しの多さや人脈の広さをお持ちのKさんをアサインすることになりました。

全社員が前向きにはたらける組織風土の醸成を目的とし、経営層とフロントライン間のコミュニケーションの活性化、主体性のある社員への意識改革を行うため、情報・コミュニケーション改革を推進する社内広聴室。

副業・兼業人材が加わることで、施策を実行する際の心強い壁打ち相手に

副業・兼業人材のお二人には、実際にはどのような業務をお任せしたのでしょうか?

竹村氏

まずは情報・コミュニケーション改革の3施策を知ってもらい、今、本社が取り組もうとしていることが何かを知ってもらうようにしました。その上で、目安箱や未来会議の仕組み、我々の業務内容や課題認識を知っていただくことに注力し、本社で検討している動きや会社の方向性を理解いただきました。このあたりの目線合わせからプロジェクトを開始。その上で、3月末までに達成したいゴール(社員の声をどう生かしていくかの優先順位づけと指針作り)を設定しました。

横田氏

社内広報室の場合、副業人材の方のために業務を切り出すのではなく、室員へのOJT機会となることも期待し、進行中の企画を一緒に考えてもらったり、アイデアを出してもらったり、作った資料をブラッシュアップしてもらったりと、多くの場面でKさんに協力いただいています。

そのような中、副業・兼業人材がジョインしたことによる具体的な仕事の成果はどのようなものがありましたか。

迫氏

具体的な成果はこれからですが、目指すべき方向性は見えてきたところです。それに向けて6〜7割進んできているので、あとはこれをどのように形にしていくかというフェーズです。Oさんはこれまでの仕事の経験・知見も踏まえ、多く寄せられる社員の声をどう活かしていくのか、新しい視点でのアイデアをいただける点がとてもありがたいです。

竹村氏

目安箱や未来会議の運営を開始する前から、フロントラインからは多くの課題改善の意見が寄せられていましたが、日々、フロントラインでお客さま対応している中で感じた社員の声は会社にとって、とても重要なものです。その多く寄せられる意見について、優先的に解決していくべき課題は何か、また本社の各担当部署も具体的にどの課題から着手していくべきか、その考え方のヒントを多くいただきました。

横田氏

私たち社内広報室でも明確に形にこそなってはいませんが、現在社員向けの施策を検討中です。具体的にお話できず申し訳ないのですが、新しい社員参加型のイベントを企画しています。他にも、社員向けの情報発信のあり方を新しく打ち立てているところです。Kさんにアドバイスをいただく中で、固くなっていた室員の考えを柔らかく解きほぐしてしていただいたなと思っています。

インナーブランディング、インナーコミュニケーション施策の企画・運営を担う社内広報室。

「まずはやってみよう!」と前向きな気持ちが芽生え始めた

副業・兼業人材を活用してみて、気づきなどあれば教えてください。

竹村氏

昨年8月に、私たちの組織が発足してからというもの、社員の声を集めて本社の担当部署に回答作成依頼をして取りまとめを行うという、目の前の業務に追われてしまっていました。ですので、Oさんがジョインしてくれたことにより、目安箱や未来会議という仕組みを通じて、全国ではたらく皆さんとのコミュニケーションを活性化していきたい、という組織の発足当時の思いや、目的意識を見つめ直す良い機会になりました。また、Oさんの存在があることで、アイデアの壁打ち相手になってもらえたような気がしています。

横田氏

組織の規模が大きくなればなるほど、新しい取り組みに対して、心理的な歯止めがかかってしまうことも少なくありません。外からの斬新でワクワクするようなアイデアをいただき、「まずはやってみよう!」と前向きな気持ちを抱かせてもらえました。また施策に悩んだときにKさんに相談してみようという新たな選択肢が生まれたこともよかったです。

それでは最後にlotsfulを利用した感想を、一言お願いします。

素野氏

今回、副業・兼業人材を活用するのは初めての試みでしたが、私たち日本郵政グループは組織が大きい分、自分たちだけの世界観で動いてしまいがちです。今回のプロジェクトでは外の世界を知ったり自分たちを見つめ直したりする、良いきっかけになったと思っています。

情報・コミュニケーション改革を通じて、社員一人ひとりがはたらきやすいと思える職場を作るためにまだまだ道半ばです。最終的には従業員満足度の向上につなげ、結果として社員が主体的に動ける組織風土を目指していきます。フロントラインの社員が会社に意見することで、解決につながると実感してもらいたいです。

横田氏

lotsfulは担当営業のコミュニケーション力も高く、フォローも手厚いので、求める人材が採用できるのだと思っています。組織運営の手段の一つとして、lotsfulは有効だと思います。

(編集・取材・文:眞田幸剛)

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