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【セミナーレポート】日本郵政グループ初となる「戦略的副業」の試行開始!その裏側に迫る

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日本郵政グループでは中期経営計画「JPビジョン2025」において、組織風土改革としてのグループ内外の人事交流促進を掲げています。その具体策として“社員による社外副業”、“グループ外の副業人材受入”、“グループ間副業”という3つの副業を同時にグループ各社本社で試行する、「戦略的副業」を開始しました。

社員数40万人にのぼる大企業である日本郵政グループが、なぜこのような「戦略的副業」をスタートさせたのか、その理由や背景は?制度を立ち上げるために実施したことは?グループ社員にどのようにアナウンスしていったのか?

――プロジェクトの中心メンバーである、日本郵政株式会社人事部の安瀬龍一氏と志村健人氏に登壇いただき、モデレーターであるlotsful 代表・田中みどりが話をお伺いしました。本記事ではそのセミナーの模様を、ダイジェストでお届けします。

【画面右】ゲストスピーカー/日本郵政株式会社 人事部 部付部長 安瀬龍一 氏
1991年旧郵政省入省、郵政民営化を経て、2007年から日本郵政株式会社に所属、主に人事・労務関係業務に従事し、日本郵政グループ全体の人事諸制度の改善・見直しを担当。あわせて、現在、人的資本経営の推進や働き方の見直しを推進、職場風土改革と社員自らのキャリア形成を後押しする「戦略的副業」をグループ全体に展開している。

【画面下】ゲストスピーカー/日本郵政株式会社 人事部 人事企画担当 主任 志村健人 氏
2015年に株式会社かんぽ生命保険に新卒入社。北陸エリアにおいて郵便局への営業・業務支援等を担当。2018年に同社人事部ダイバーシティ推進室に異動。ボトムアップによる業務改善・働きがい向上や、テレワーク等の多様で柔軟な働き方を導入・推進。2021年に日本郵政株式会社に出向して現職。「戦略的副業」の試行開始への実務を担当。自治体の業務へ副業にて参画経験あり。

【画面左】モデレーター/lotsful 代表 田中みどり
2012年新卒で株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に入社。 IT・インターネット業界の転職支援領域における法人営業に従事。2016年より新規事業であるオープンイノベーションプラットフォームeiicon(現:AUBA)の立ち上げを行う。Consulting・Salesグループの責任者として従事し、 サービス企画、営業、マーケティング、イベント企画、経営管理などを幅広く担当。2019年6月より副業マッチングサービス『lotsful』をローンチ、代表を務める。

3つの副業「戦略的副業」施行に至る背景や狙いは?

lotsful・田中

日本郵政グループ全体で約40万人の従業員がいますが、その中でどのように「戦略的副業」を推進させていったのかをお聞きしていきたいと思います。まずはこの施策の試行導入を進めたきっかけを教えてください。

日本郵政・安瀬氏 

「戦略的副業」の具体的検討を始めたのは、2022年4月からです。中期経営計画で掲げている、「組織風土を変える」、「人材育成・人材交流を促進していく」といった目標の具体的な施策として、副業に注目しました。外部の知見を活用することで、郵便・貯金・保険というメインの事業を進化させるとともに、新たなビジネスモデルの構築を目指そうと考えたのです。

また、副業人材を受け入れるだけでなく、“社員による社外副業”という観点から、社員自身が他の企業で活躍することも期待しています。副業を通して日頃の業務や研修では得られない経験を身につけ、当社に貢献できる人材へと成長していくことも視野に入れていますね。内外からさまざまな刺激を受けながら、社内の文化を変えていき、新たなビジネスにつながっていければと考えています。

lotsful・田中

2022年4月から「戦略的副業」を検討したということですが、どのようなステップを踏みながら、このプロジェクトを推進させていったのですか。

日本郵政・安瀬氏

同業他社が、さまざまな取り組みを行なっていることはわかっていましたので、立ち止まってはいられないという思いで、プロジェクトを進めました。すべての懸念点を潰しながらスタートさせていくと、どうしても時間がかかってしまいます。もっと検討すべき点もありますが、まずはやってみようと。各グループ会社と半年程度で話をまとめ、まずは、日頃企画業務を担い、こうした取り組みが早急に求められるグループ各社本社においてスタートさせました。取り組む中で、これから改善点が出てくると思うので、対応しながらより良い制度にしていきます。

具体的にどのように進めたのか。進めるにあたって苦労した点は?

lotsful・田中

副業を導入するにあたって取り組んだことについてお聞かせください。

日本郵政・志村氏

まずトライアルとして、私自身が副業を経験しました。自治体の案件で、一緒に地域課題の解決を考えるといった内容でしたね。経験してみて思ったのは、副業は大変だなと(笑)。本業を疎かにすることは当然あってはならないし、副業で成果を出さなくてはならない。気がついたら副業で土日ずっと働いていることもあったので、当社が導入するときも注意が必要だと実感しました。一方で、普段とは違う経験ができ、様々な考え方や知見、仕事の進め方など、得るものは非常に大きかったですね。副業先でも、異なる知見を取り入れるメリットを感じていただいたようです。副業を行う個人としても、副業人材を受け入れる組織としても、新たな知見に触れる・取り入れることは、日頃のやり方、考え方を見つめ直す機会にもなり、とても重要だと感じました。2022年10月に社内で副業を開始したときは、副業人材の受入・社員による社外副業ともに、自信を持って進めることができました。

lotsful・田中

ご自身で副業をする中で、工夫したポイントはありましたか。

日本郵政・志村氏

働き過ぎには注意しました。例えば、副業の資料作成等は、本業出勤前の1時間程度にする、など、自己管理を工夫することで、うまく取り組めるようになりました。当社で副業をする外部人材の方も、決して働きすぎとならないように、気を配っていきたいです。本業にしっかりと取り組んでもらいながら、副業に挑戦するといった感覚は、大切にしたいですね。

lotsful・田中

過度な負担にならないように、どこに注力してほしいか副業人材に対して明確にしておくと、スムーズかもしれないですね。副業解禁に向けて、社内にはどのように告知していったのでしょうか。

日本郵政・安瀬氏

まずは2022年の夏頃に本社社員に対して、在宅勤務やワーケーション、サテライトオフィス、副業といった、これからの働き方に関するアンケートを実施しました。そこで、約7割の本社社員が副業に興味があると回答したんです。会社の想いだけが独り歩きすることなく、本社社員も納得して取り組んでくれるだろう、という感触を掴んだ上で、8月から徐々に「戦略的副業」のアナウンスを行っていきました。9月には本社社員6,000名を対象に、オンラインで説明会も行い、加えて、グループ4社の人事担当役員から、本施策は組織風土の変革と社員の成長につなげる取り組みである旨、メッセージを配信しました。

日本郵政・志村氏

本社各部署は、社員を副業へ送り出すと同時に、副業人材を受け入れる側にもなります。そのため、各部署全社員にこの取り組みを、自分ゴトとして捉えてほしいと思っていました。だからこそ、組織を変えていく、社員が成長していくために必要な施策であるという趣旨が、しっかりと伝わるようにアナウンスしていきました。

lotsful・田中

副業を解禁するまでで、苦労した点などはありますでしょうか。

日本郵政・志村氏

社内に副業を正しく理解してもらうのには、苦労しましたね。「これだけ業務が忙しい中で、副業をスタートさせたら本業がおろそかになって、業務が回らなくなるのでは」という指摘もありました。しかし、それは違うと思います。副業に挑戦する社員は、前提として本業をおろそかにしない人です。ルールとしても業務に支障を与えないことを要件にしています。もちろん、挑戦する本人の負荷になるという側面もありますが、自ら意欲的に挑戦したい社員を後押しすることで、その社員の得た経験が成長につながって当グループの力になると説明していきました。

専門スキルを持った人材がもたらす、変化に期待

lotsful・田中

ここからは、安瀬様・志村様のお二人に視聴者からの質問に答えていただきたいと思います。「副業を通して、社内がどう変わってほしいのか?そのイメージを教えてほしい」という質問がきています。

日本郵政・志村氏 

グループの社員誰もが、これから日本郵政グループをより良くしていきたいと考えています。一方でその具体的なイメージをしっかりと共有できていないのが現状だと感じています。そこで、副業人材など外部の人から、変化の方向性についてもアドバイスをいただきたいと思っています。社内では当たり前のことが、社外では非常識といったこともありますので、そうした部分も遠慮なく指摘してほしいですね。

日本郵政・安瀬氏

日本郵政グループは新たなビジネスモデルへの転換を目指していますので、優秀な外部人材に入ってもらい、今の組織に必要なことを率直に指摘していただきたいですね。新しいことにチャレンジしたり、イノベーションを起こすことは、社員だけでは厳しい部分があります。さまざまな知見を吸収しながら、考え方を変えていく。そのきっかけを、まずは作っていければと考えています。

lotsful・田中 

次に、「今回、日本郵政グループで副業人材を募集するポジションは、どのように決めていったのでしょうか」という質問がきています。

日本郵政・志村氏 

今回の募集ポジションは、かなり絞り込みをしています。まず、高い専門性や新しい知見を必要としているポジションであること。かつ、プロジェクト単位で課題解決に取り組めるものに限定しました。その中でヒアリングを行い、積極的に副業人材を活用していきたい部署が募集することになりました。

lotsful・田中 

「外部人材を活用する選択肢としてコンサルタントなどもあるが、なぜ副業人材にしたのか?」という質問に対しては、いかがでしょうか。

日本郵政・志村氏 

かなり鋭い質問ですね(笑)。コンサルタントに関しては、どのグループ会社も活用しているのですが、どうしても業務をまるっとお任せしてしまうことが多いと感じています。そうではなく、副業人材と社員が考え、業務を進めることで、社内にナレッジを蓄積していくためにも、今回は副業という形を採りました。

lotsful・田中 

「セキュリティ面の担保や副業人材への情報の出し方」についても質問がきています。

日本郵政・志村氏 

例えば、顧客情報を扱うなど、情報の取り扱いが厳格なポジションは、今回募集していませんね。

lotsful・田中 

「副業人材への期待」についてはいかがでしょうか。

日本郵政・安瀬氏 

新たな知見がないと、今回募集している各プロジェクトは進んでいかないと思っています。受け入れる側としては、そうした社内だけでは気づけないもの、組織が持っていない知見を期待しています。

lotsful・田中 

「プロジェクトの進め方や意思決定についてはどのようにしていくのか?」という質問がきています。具体的に決めていることはありますか。

日本郵政・志村氏 

案件によって変わってくると思います。アドバイザー的な立ち位置で入ってほしい案件もありますし、社員と一緒に作業も行いながら進めていく案件もあります。どのような進め方、意思決定がスムーズかは、副業人材との面談ですり合わせていく予定です。

lotsful・田中 

さまざまな質問にお答えいただき、ありがとうございました。それでは最後に視聴者の方々へメッセージをお願いします。

日本郵政・安瀬氏

社内にはない知見を取り入れながら、既存事業の充実化・新規事業の拡大を加速させていきたいと考えています。今回は、日本郵政グループから6つのポジションで副業人材を募集します。もちろん、これからもっと多くの副業人材を募集していきますので、継続的に興味を持っていただければと思います。

日本郵政・志村氏 

日本郵政グループを、もっと良い会社にしていきたいと考えています。そうすることで、社員も地域も幸せになっていくと信じています。そうした考えに共感いただき、ご協力いただけると非常に嬉しいです。

日本郵政グループが募集した副業ポジションについて

最後に、今回日本郵政グループ4社が募集を実施した6つの副業ポジションを紹介します。(※12/14に応募は締め切っています)

①日本郵政株式会社
サステナビリティを推進する!Webサイト構築・改善

サステナビリティに関するWeb開示などの推進ポジションです。サイトのページ構成といった、制作業務を中心にお任せしていきます。週に1回、2時間程度のオンラインMTGを行いながら、進捗なども管理していく予定です。

②日本郵政株式会社
郵便局の新たな価値・事業を創出する!新規サービス企画

日本郵政グループの変革を目指す「JP未来戦略ラボ」という組織で、新規サービス・調査などを行う企画ポジションです。新しい価値創出につながる新規企画を、一緒に作っていくことがミッションになります。

③日本郵政株式会社
郵政グループの就業規則改正を担う!人事企画

40万人以上が働く、日本郵政グループの就業規則改正の支援をお任せします。外部人材が持つ知見をいかしながら、当該業務の効率化・高度化につながるアドバイスなどを期待しています。

④日本郵便株式会社
日本郵便の人事制度を変革する!人事戦略

人事制度の新規導入における、戦略立案ができる方を募集します。人事戦略の改善ポイントや新制度スキーム、実施フローの制作といった企画業務をお任せしたいと考えています。

⑤株式会社ゆうちょ銀行
大手金融機関の資産運用課題を解決する!データサイエンティスト

ゆうちょ銀行の市場統括部にて、資産運用のための定量分析や環境構築を支援できるデータサイエンティストを募集。週に1回、2時間程度のオンラインMTGを行いながら、進捗なども管理していく予定です。

⑥株式会社かんぽ生命保険
かんぽ生命の人事制度に新しい風を吹きこむ!人事調査・分析

かんぽ生命保険の本社人事部で、人事制度における調査・分析をお任せします。アンケートの集計・分析や他社の転勤に伴う人事異動時の手当といった処遇の比較調査レポートなどを対応していただく予定です。

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