
本業・副業のインプットとアウトプットが好循環―白井靖人氏が語る「本業とのシナジーを生む、副業の働き方」とは
「lotsful magazine」が今回お話を伺ったのは、新規事業支援、DX推進、制度設計、組織開発など、多岐にわたる専門性を武器に活躍する白井靖人氏。現在はビジネス情報プラットフォームを提供する企業に所属しつつ、副業人材として「lotsful」などを活用し、同時に9~10件の副業案件を推進しています。
「lotsful」を通しては、地域の中小企業の事業変革を支援するプロジェクトなどを担当。広島県の電力関連企業・やまでんではDX推進と評価制度設計を、石川県の東邦ゴム工業では営業戦略支援を手掛けるなど、幅広く活躍中。47都道府県での支援を目標に、プロジェクトごとのマイルストーン管理や信頼関係構築を徹底しながら、クライアントと真摯に向き合う姿勢が高く評価されています。
今回のインタビューでは、白井氏が副業をどのように取り組んでいるのか、本業と副業の両立の仕方などリアルなエピソードについて深掘り。副業に挑戦してみたい方・すでに始めている方にとって、有益になる情報をお聞きしました。

白井靖人氏
新卒でハウスメーカーに入社し、営業職に従事。賃貸仲介会社、生命保険会社を経て、Web業界に転身。Web制作会社で新規事業に従事し、子会社の役員に。
その後、スタートアップや新規事業支援会社で活躍。
現在は、ビジネス情報プラットフォームを提供する企業に所属している。
事業開発、組織開発、人材育成、DXなど、多岐にわたる強みを活かして副業人材としても手腕を振るう。
事業開発など幅広いスキルを武器に、lotsful経由で地方企業を支援
白井氏
新卒では大手ハウスメーカーに入り、住宅営業をしていました。その後、賃貸仲介会社、生命保険会社を経て、Web制作会社に転職しました。当時ちょうどWebマーケティングが重要視されはじめた時期で、未経験から飛び込みました。そこでは新規事業開発を任されることになり、約4,000社に飛び込んでヒアリングし、サービスをつくって子会社化。役員にもなりました。
その後、薬局業界のDXを手がけるスタートアップに参画して組織構築やCS・セールス支援を担当し、急成長の3年間を経て、新規事業支援会社に入りました。そこで新規事業支援のコンサルタントやCSマネージャーとして経験を積み、現在はビジネス情報プラットフォームを提供する企業に所属しながら、副業として複数企業の支援をしています。
白井氏
最初から、「副業をやろう」という意識はなかったんです。Web制作会社の子会社を離れる際、社外取締役として関わることになり、自然と本業と副業という2つの仕事を並行する形に。それが自分の中でしっくりきた感覚があって、徐々に紹介や依頼を通じて副業の幅が広がっていきました。
白井氏
現在進行形で関わっているのは、広島県のやまでんさんと石川県の東邦ゴム工業さんの2つのプロジェクトです。過去にはやまでんさんと同じ広島県のホーコスさんのプロジェクトにも関わらせていただきました。
白井氏
東京や都市圏の大企業とは違った面白さがたくさんあります。正直、「もっとこうすればよくなるのに」という伸びしろが地方にはたくさんある。情報格差がありすぎることがもったいないと感じる場面も多く、力になりたいと素直に思うことが多いですね。
私は「47都道府県すべてで仕事をしたい」という目標がありまして。その土地ごとの文化や課題に触れることで、自分の引き出しも増えますし、日本をもっとフラットにつなげたいという気持ちもあります。
DX推進から評価制度まで。信頼構築により支援の幅が広がる
白井氏
やまでんさんは広島県の会社で、中国電力の協力会社として伐採業を行っています。副業としての関わりは2023年11月からスタートし、最初は勤怠管理などのDX推進を担当しました。紙やタイムカードベースだった管理業務を、デジタルツールに置き換えて可視化したり、作業効率を上げたりと、地道な業務改善に取り組んでいます。
そのうちに、やまでんさんから「評価制度も見直したい」という相談をいただき、制度設計にも着手しています。成果としてはまだ道半ばですが、社長の「社員を大事にしたい」という思いを具現化するために、伴走させていただいています。
先日、初めてやまでんさんを訪問した際には、社長ご家族に最高のおもてなしをいただきました。家族ぐるみの関係性になるくらい、信頼していただいていることがモチベーションに繋がっています。
白井氏
やまでんの社長さまから「言語化が上手い」と評価されたことは嬉しかったですね。想いを整理し、伝え方を工夫することができた証だと思います。また、別の企業では「1を言えば10わかってくれる」と言われ、期待以上の成果が出せている実感がありました。
白井氏
特別なことはしていなくて、目の前の人を全力で助ける、という姿勢を一貫しています。営業時代から変わらないスタンスで、「相手よりもその人のことを考える」ことが信頼につながっていると思います。
白井氏
特に地方企業など、まだ支援が行き届いていない分野で、自分の知見を還元できたときは大きなやりがいを感じます。また、自身の本業にも活きる経験を積めるので、スキル面でも非常に充実感があります。

趣味でもある「リスト管理」を駆使し、ピーク時には10案件に対応
白井氏
現在は9案件を並行していて、ピーク時は10件同時に対応していました。同時にそれだけのプロジェクトを進めるのは容易ではありません。各案件では最初にスコープとマイルストーンを明確に定義し、Notionでタスクとスケジュールを一元管理しています。各ミーティングの頻度や内容もあらかじめ設計し、短時間でも高効率で意思決定できるように設計していますね。
あとは、事前準備に全力を注ぐ。初回の打ち合わせでは、課題仮説をかなり綿密に立ててから臨みます。私はプロジェクトマネジメントや課題の構造化も得意なので、初回1時間で課題の核心を掴むよう集中しています。
また、案件ごとの目的や相手の期待値を明確にしておくことで、思考の切り替えもスムーズに行えます。リスト管理が趣味なので(笑)、その延長で仕事の情報整理や優先順位付けも楽しくできています。
白井氏
本業に迷惑をかけないことは何よりも第一に考えています。本業はフルフレックスなので、日中に副業の予定が入っても本業の稼働時間は必ず確保しています。
また、副業は本業とシナジーがあると実感しています。副業で取り組む地方企業支援の案件で得た知見を本業で活かしたり、逆に本業でのインプットを副業に応用したり。インプットとアウトプットのサイクルが循環している感覚があります。
100%合致する案件でなくても、挑戦することで得られるものは大きい
白井氏
基本的には「ご縁があれば断らない」というスタンスですが、自分にできそうか、貢献できそうかは一つの判断基準です。lotsfulさんからのご紹介が多いのですが、地方企業の案件だと、まだ伸びしろがあると感じることが多く、自分が役に立てる余地が大きいのではと思えるんです。
また、先ほどお話ししたように私は47都道府県で仕事をしたいという個人的な目標もあって、地域案件には強い興味があります。地方に眠るポテンシャルに触れることで、自分自身も刺激をもらえる。あとは、結果として本業にも還元できる案件であれば、より前向きに取り組めますね。
白井氏
迷っているなら、まずは応募してみるといいと思います。選ぶのは企業側ですし、やってみないと分からないことも多いです。自分の経験が100%一致する案件でなくても、今までやって来たことの延長線上や、掛け合わせたらなんとかできるのではと、少し背伸びしてチャレンジすることで得られるものも大きいです。
大切なのは覚悟と誠実さ。受けたからには迷惑をかけず、必ず価値を出しやり遂げる。自分なりにインプットして全力で応える。そういう姿勢があれば、結果は後からついてくると思います。
白井氏
lotsfulは副業の新しい選択肢を社会に提示してくれる素晴らしいプラットフォームだと思います。社会的意義も高く、企業と副業人材の新たな関係性を築くきっかけを作ってくれていると感じています。実際に案件の紹介も丁寧で、担当者の方のサポートも心強いですね。
(編集・取材・文:眞田幸剛)