
採用代行と人材紹介の違いとは?向いている企業の特徴までそれぞれ解説
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)と人材紹介は、企業の採用活動を外部から支援するという点では共通しており、正社員のみならず、副業人材の獲得においても有効な採用手法です。
ただし、採用代行と人材紹介いずれが向いているかは、企業のニーズや状況により異なります。
そこで本記事では、採用代行と人材紹介の違いについて、各サービスのメリットや注意点を踏まえながら詳しく解説いたします。
採用代行と人材紹介の違いとは
採用代行と人材紹介のいずれも、最終的なゴールは「クライアント企業に適した人材の採用を成功させること」にあります。
しかしながら、「提供するサービスの内容と範囲」「料金体系」「法的な位置付け」の3点において、大きな違いがあるといえるでしょう。以下に、それぞれの違いについて説明いたします。
サービス
採用代行と人材紹介では、提供されるサービスの目的および範囲に、以下のような違いがあります。
採用代行 | 範囲:採用プロセス全体、または一部の業務を支援 目的:採用業務の効率化および内製化の推進 |
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人材紹介 | 範囲:候補者の紹介や面接調整などが中心 目的:採用要件を満たす適切な人材の紹介 |
料金体系
採用代行および人材紹介においては、費用の支払いタイミングや算出方法が以下のとおり異なります。
採用代行 | 料金形態:月額固定型/時間単価型/工数ベース/成功報酬型/ハイブリッド型(月額固定額+成功報酬) 算出基準:支援内容、稼働時間、職種、対応人数などに応じて変動 |
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人材紹介 | 料金形態:成功報酬型 算出基準:紹介した人材が採用された場合にのみ発生 |
法律面
採用代行と人材紹介では、ビジネスモデルの違いにより、適用される法律や管轄も以下のとおり異なります。
採用代行 | ・民法/商法:業務委託契約(準委任契約)に基づく契約・報酬の根拠 ・個人情報保護法:候補者情報の管理、第三者提供、利用目的の明示 ・労働者派遣法:指揮命令関係が認められた場合、偽装請負とみなされる可能性 |
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人材紹介 | ・職業安定法第30条(※):有料職業紹介事業の許可が必須 ・職業安定法施行規則:手数料の上限、返戻金に関する規定 ・労働基準法/労働契約法:労働条件の最低基準および表示義務など ・個人情報保護法:候補者情報の管理、第三者提供、利用目的の明示 |
※出典:法令リード 職業安定法第30条
採用代行を使うメリット
企業が採用代行を導入することで、以下に挙げる5つのメリットが得られるでしょう。
採用業務負担を軽減し、採用担当者がコア業務に集中できる
採用活動には、「ターゲット像の設定」「求人媒体の選定」「求人票やスカウトメールの作成」「応募者の管理・対応」など、多岐にわたる業務が発生します。
自社のリソースが不足している場合、採用担当者への負担は非常に大きくなりがちです。採用代行を導入することにより、効率的な採用業務の運用が可能となり、担当者の負担を軽減できます。その結果、採用戦略や面接設計といった上流工程に集中することが可能となります。
採用ノウハウを持つ専門家の支援で業務効率が向上する
採用代行には、数多くの企業支援を通じて職種や業界ごとの成功事例や失敗例を熟知した専門家が在籍しています。
こうした専門的な知識や経験を有する人材が対応することで、ミスや無駄を削減でき、自社内のリソースのみで対応するよりも、採用業務全体の効率が格段に向上するでしょう。
採用のスピードと精度を高められる
採用代行は、クライアント企業に対して最短で成果に結び付く手法および支援を提供することが可能です。また、求人媒体ごとの特性にも精通しているため、効果的な手段を選択し、短期間で応募者を集めることができるでしょう。
さらに、採用のプロとして、要件のズレにいち早く気づき修正できるため、自社に最も適したターゲット像の設定とアプローチが可能となり、採用の精度を高めることにつながります。
短期間・スポットでも活用できる柔軟性がある
採用代行は、採用プロセス全体の代行はもちろんのこと、繁忙期のみの短期間や、リソースが不足している一部業務に限定したスポット的な利用など、柔軟性の高い対応が可能です。
高い専門性と実績に裏打ちされたノウハウにより、社内工数を最小限に抑えながら、効果的な成果が期待できる点も大きなメリットです。
採用管理システムやツールの運用サポートを受けられる
採用管理システム(ATS)や各種ツールを導入していても、十分に活用できていない企業も少なくありません。採用代行会社であれば、これらのシステムやツールの操作・運用に関するノウハウを有しており、適切なサポートを受けることが可能です。
また、カレンダー連携やメールテンプレート設定など、他の業務支援ツールとの連携についても支援が受けられるため、採用業務全体の質と効率の向上が期待できます。
採用代行が向いている企業
採用代行の導入を検討する際には、以下のような特徴を持つ企業が向いているといえるでしょう。
採用担当のリソースが不足している企業
採用業務には多くの業務が伴い、採用専任者が不在であったり、他業務と兼任していたりする場合、重要な施策の実行や迅速な対応が困難になる可能性があります。
とりわけ、自社の繁忙期と人材補充のタイミングが重なった場合には、採用担当者の手が回らず、採用活動全体に支障を来すことも珍しくありません。
採用代行を活用すれば、豊富な実績とノウハウを持つ専門家の支援により、迅速かつ的確な採用活動の立ち上げと運用が実現できるでしょう。
大量採用や急な採用ニーズが発生した企業
事業拡大による大量採用や欠員補充など、急な採用ニーズが発生した際にも、採用代行の導入は非常に効果的な手段といえるでしょう。
採用代行であれば、短期間で効率良く、かつミスなく採用活動を完遂できる即戦力として機能します。クライアント企業の突発的なニーズに対しても、迅速な人員配置が可能であり、募集から選考・調整までを一気通貫で対応できる点が、採用代行会社の大きな強みです。
採用業務の標準化・効率化を進めたい企業
採用業務を自社リソースのみで対応し続ける場合、業務が属人化しやすくなる点がデメリットといえます。採用代行会社は、採用プロセスを体系化する豊富なノウハウを有しており、業務の標準化を強力に支援できます。
これにより、誰でも再現可能なかたちで採用業務を構築し、安定した運用体制を実現できます。さらに、各業務に対して最適な運用方法の提案と実行が可能であり、既存の非効率なフローの改善にも寄与するでしょう。
採用ノウハウがなく、新たに体制を構築したい企業
採用代行会社は、職種・業界・企業規模に応じた採用フローや業務設計に関する豊富な実績を有しています。そのため、採用ノウハウが不足しており、今後新たに採用体制の構築を検討している企業にとって、非常に有効な支援手段となります。
採用代行に依頼することで、ゼロからの採用体制設計に関する支援を受けられます。加えて、初期立ち上げのスピードも非常に速いため、スムーズかつ迅速に採用活動を開始することができるでしょう。
人材紹介を使うメリット
人材紹介を活用した採用活動には、以下の5つのメリットが挙げられます。
即戦力人材を効率的に獲得できる
人材紹介会社は、候補者の職務経歴・スキル・志向性を把握したうえで、クライアント企業の採用要件に合致する人材のみを紹介します。
特に専門性の高い領域や職種に特化した人材紹介会社であれば、ニッチなスキルや経験を有する即戦力人材に対しても、効率良くリーチできる点が最大のメリットといえるでしょう。
採用にかける工数を最小限に抑えられる
人材紹介会社に依頼すれば、自社の登録者情報やデータベースから、提示した採用要件に合致する候補者をピックアップしてもらえます。
これにより、求人広告の作成や広報活動、スカウトメールの送信などにかかる工数を削減できます。また、採用担当者の業務負担を軽減できるため、より重要な業務に注力できるという点も大きなメリットです。
自社でリーチできない転職潜在層とも接点が持てる
人材紹介会社が保有するデータベースには、転職を明確に希望している「顕在層」だけでなく、「好条件であれば転職を検討する」といった潜在層も多く含まれています。
求人広告の場合、アプローチできるのは主に転職顕在層に限られます。一方、人材紹介会社を活用することで、企業の提示条件次第では、求人媒体では出会えないような優秀な転職潜在層との接点を持てる可能性が高まるでしょう。
特定の職種・業界に強い紹介会社を使えば専門人材に出会いやすい
人材紹介会社といっても、それぞれに得意分野があります。自社が求めるポジションがエンジニアなどの専門職やマネジメント経験者である場合は、特定の職種や業界に特化した人材紹介会社を活用しましょう。
専門性の高い領域に強い人材紹介会社であれば、ニッチなスキルや経験を持つ即戦力人材にも効率良くリーチできる点が、最大のメリットといえるでしょう。
成功報酬型なので初期費用が不要
人材紹介会社のビジネスモデルは、紹介した人材が実際に採用された場合にのみ報酬が発生する「成功報酬型」が一般的です。採用の可否に関わらず掲載料が発生する求人媒体とは異なり、初期費用がかからない点が特徴です。
このため、複数名を紹介された場合でも、選考段階での費用は発生しません。「とりあえず募集をかけたい」という場合でも、初期費用が不要であることから意思決定がしやすいという点もメリットの一つです。
人材紹介が向いている企業
人材紹介の活用が特に向いている企業として、以下の4つの特徴が挙げられます。
即戦力・専門スキル人材を短期間で確保したい企業
人材紹介会社には、業界や職種ごとに専門のコンサルタントが在籍しており、クライアント企業のニーズに沿った経験者やスキル保持者の即時紹介が可能です。
自社の採用要件を満たす候補者のみを紹介するため、企業は書類選考や面接にかかる手間を大幅に削減しながら、希望する人材を短期間で確保できます。
採用チャネルが限られており、母集団形成が難しい企業
自社サイトや広報力が弱い企業の場合、認知度の向上が難しく、募集をかけても応募が集まりにくいことがあります。また、求人広告など特定の媒体に依存していると、幅広い層へのアプローチが難しくなりがちです。
その点、人材紹介会社であれば、採用市場や職種に精通したプロが母集団形成を代行してくれるため、これまで接点のなかった層や、自社の採用要件によりマッチした候補者を集めやすくなります。
少人数・ピンポイント採用を行う企業
自社採用や求人媒体のみを活用する場合、多数の応募から候補者を選別する必要があります。少人数やピンポイントでの採用を検討している企業にとっては、非常に非効率といえるでしょう。
人材紹介を活用すれば、あらかじめ自社の採用要件とマッチ度の高い人材のみを紹介してもらえるため、選考にかかる負担を大幅に軽減しつつ、理想的な採用活動を実現できます。
採用に割けるリソースが少ない企業
採用活動には多くの時間と労力を要します。人手不足などにより採用に割けるリソースが限られている企業では、採用担当者や現場責任者への負担が増え、通常業務に支障が出るケースもあるでしょう。
人材紹介会社であれば、職種ごとの採用市場に関する知見や成功事例を持っており、戦略設計や面接アドバイスなども提供してもらえます。このため、自社内に採用リソースやノウハウが不足している場合でも、安心して採用活動を進めることが可能です。
採用代行や人材紹介を使う場合の注意点
企業の採用活動を支える「採用代行」や「人材紹介」も、活用にあたっては以下に挙げる5つの注意点を事前に把握しておくことが重要です。
丸投げせず、自社の採用要件やカルチャーをしっかり共有する
採用代行も人材紹介も、採用のプロフェッショナルとして、さまざまなサービスを提供してもらえます。ただし、いずれも先方の担当者に丸投げしてしまうと、ミスマッチの要因になりかねません。
採用要件は具体的に定義したうえで、自社カルチャーにフィットする人材を採用できるよう、先方の担当者としっかり共有しておくことがポイントです。密に連携をとることで、自社にノウハウが蓄積されるというメリットもあります。
費用体系や契約条件を事前に確認する
採用代行や人材紹介会社を活用する際の注意点として、費用体系や契約条件の事前確認を怠ると、後々トラブルや予算超過といったリスクを招く可能性があります。
まず、費用体系が明確であれば、予算管理がしやすくなります。また、契約期間や業務内容については、「途中解約の可否」「依頼するサービスの範囲」「オプションの有無と料金」なども必ず確認しておきましょう。
複数社利用時は窓口や方針を統一し、情報管理を徹底する
採用代行や人材紹介を複数社に依頼する場合は、社内の窓口や採用方針を統一しておくことが必要です。これを怠ると、社内外で混乱が生じ、採用活動が非効率になります。結果として、十分な成果が得られない可能性もあります。
同一候補者の重複紹介や選考結果の伝達ミスを防ぐためにも、窓口の一本化を図るとともに、採用管理システムなどを活用して情報を一元管理できる体制を整えておきましょう。
業務や候補者情報の進捗を定期的に確認し、軌道修正する
採用代行や人材紹介に依頼した業務や候補者情報の進捗状況は、必ず定期的にチェックし、採用活動の質を維持しながら、必要に応じて適切な軌道修正を行いましょう。
たとえば、週1回の定例ミーティングを実施することで、採用代行や人材紹介会社との認識のズレを防止できます。あわせて、求める人物像や優先順位の変化も、タイミングよく共有できます。
自社の採用力やブランディングが育たないリスクを意識する
自社の採用プロセスを外部業者に委託することで、効率的な採用活動を実現することが可能です。しかし、すべての業務を人任せにしてしまうと、採用力や採用ブランディングの強化にはつながりません。
外部に採用業務を委託する際は、「短期的な成果」と「将来的な採用力の自走化」の両立を意識することがカギとなります。
採用代行会社や人材紹介会社とは「協業」というスタンスをとり、自社の採用担当者や現場の責任者も積極的に関わるようにすることで、採用ブランディングの強化にもつながるでしょう。
御社の業務に副業社員を検討してみませんか?
今回は、企業の採用活動における課題解決に貢献する「採用代行」と「人材紹介」について、あらかじめ知っておきたい情報をお届けしました。
そして、採用活動に限らず、御社が業務全体に課題を抱えている場合には、副業人材マッチングサービス「lotsful」を活用して、お悩みをスピーディーに解決してみませんか?
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