
スタートアップに必要な人材の特徴をステージ毎に解説
リソースが限られているスタートアップにおける採用活動では、正社員だけでなく副業人材の獲得も視野に入れた、柔軟な人材活用戦略と多様な採用手法の選択が必要不可欠です。
さらに、スタートアップの採用を成功させるには、ステージごとに求められる特徴を持つ人材を見極めることが、極めて重要な要素となります。
そこで本記事では、スタートアップに必要とされる人材の特徴を中心に、採用を成功させるためのポイントについても解説します。
スタートアップに必要な人材の特徴(ステージ別)
スタートアップに必要な人材とは、どのような特徴が求められるのでしょうか。採用活動を成功させるには、シード期からレイター期まで、各ステージに応じて適切な特徴を持つ人材の確保が欠かせません。
以下では、スタートアップにおける4つのステージ別に必要とされる人材の特徴を挙げていきます。
シード期(創業初期)
シード期とは、スタートアップが事業を開始した創業初期にあたり、文字通り企業が種をまく段階です。シード期の採用では、以下に挙げる5つの特徴を持つ人材が求められます。
・自ら手を動かし、複数の役割を担えるマルチプレイヤー
シード期は資金も人員も限られており、大企業のように役割を細分化することはできません。そのため、率先して動き、複数の役割をこなせるマルチプレイヤーが必要です。
・制度や仕組みが整っていない環境でも前向きに動ける柔軟性
スタートアップの創業初期には、人事制度や評価制度はもちろん、マニュアルすら存在しないケースが多くあります。このような環境でも課題解決に向けて行動できる柔軟性が、事業を前に進める力となります。
・強い当事者意識と行動力
スタートアップには、細かな役割分担や十分なサポート体制がありません。人任せにしていては事業が停滞してしまいます。社員全員が責任者であるとの強い当事者意識を持ち、自ら行動に移せる人材が不可欠です。
・変化や不確実性を楽しめるマインドセット
シード期は市場での手応えや顧客ニーズ、資金繰りなど、先が見えない状況が続きます。市場の変化に応じて事業モデルや戦略を見直す必要も生じます。この段階の成功には、変化や不確実性を脅威ではなく可能性ととらえられるマインドセットが求められます。
・経営陣と価値観・ビジョンを共有できる人材
シード期のスタートアップは特に人材が少なく、社員一人ひとりの影響が大きくなります。経営陣と価値観やビジョンを共有し、同じゴールに向かって努力できる人材であれば、組織の結束力が高まりやすいでしょう。
アーリー期(プロダクト開発・初期拡販)
シード期を経て、市場に投入できるプロダクトを開発し、初期の顧客基盤を構築する段階がアーリー期です。この時期に必要とされる人材は、以下に挙げる5つの特徴を持つ人材です。
・自律的に課題を発見し、実行・改善できる能力
アーリー期はシード期の仮説検証を経ても、課題が明確に定義されていない段階です。自律的に課題を発見し、実行や改善に取り組める人材であれば、事業の方向性を定める中核的な存在となるでしょう。
・役割を限定せず、必要に応じて職域を広げられる柔軟性
アーリー期のメンバー構成は少人数である場合がほとんどです。社員一人ひとりが自身の職種や立場に固執すると、事業が前に進みません。そのため、必要に応じて他の職域を柔軟に担える人材が不可欠です。
・小さな成功・失敗から学びを得て成長できる人材
アーリー期は、小さな挑戦の積み重ねが大きな成果へつながる時期です。成功だけでなく、失敗も糧にして改善点に落とし込める人材は、スタートアップの推進力となり、組織全体の学習の原動力にもなるでしょう。
・スピード感に合わせて動ける実行力
スタートアップを取り巻く市場環境や顧客ニーズは変化が多く、着手が遅れるとビジネスチャンスを逃してしまいます。アーリー期はスピード感によって優位に立てるため、状況を的確に読み取り、迅速に行動できる人材は、市場に大きな影響を与える存在となるでしょう。
・チームづくりや仕組みづくりにも関心を持てる人材
アーリー期は事業形成と同時に、チームや仕組みづくりを進める時期です。これらに関心を持ち、積極的に関わる人材は、事業成長と組織成長を両輪で支える存在となります。
ミドル期(組織拡大・収益安定化)
スタートアップにとってミドル期は、プロダクト主導の挑戦から、組織拡大と収益安定化による持続的な成長へ移行する段階です。ミドル期に必要とされる人材は、以下に挙げる5つの特徴を備えた人材です。
・マネジメントや仕組み化に強みがある人材
ミドル期は人員の増加や事業領域の拡大によって、経営陣の直轄マネジメントだけでは限界が訪れる時期です。マネジメントと仕組み化に強みを持つ人材であれば、成長を阻む壁を突破し、業務プロセスの改善やデータに基づく意思決定を推進できるでしょう。
・チームを牽引しながらも現場感を持って動ける人材
組織が拡大すると、経営層やマネジメント層と現場との間に距離が生じやすくなります。チームを牽引する力と現場の肌感覚をあわせ持ち、自ら動ける実行力を備えた人材であれば、成長スピードを維持しつつ、組織拡張と文化定着を両立できるでしょう。
・専門領域を活かしつつ、会社全体に視野を広げられる人材
ミドル期のスタートアップは、専門性だけでは不十分であり、全体視点だけでも成長は難しい状況です。専門領域の強みを活かしつつ、会社全体に視野を広げられる人材なら、組織を一枚岩に導き、持続的な成長を実現できるでしょう。
・採用・育成など、組織づくりにも貢献できる人材
ミドル期は人員拡大に伴い、質の高い人材確保が組織成長の鍵を握る時期です。採用や社員育成に貢献できる人材であれば、自社に必要なスキルやカルチャーフィットを見極めた採用が可能です。また、変化へ柔軟に対応できる組織づくりも推進できるでしょう。
・他社からの転職者を受け入れ、文化融合できる調整力
ミドル期には、組織に多様なバックグラウンドを持つ人材が加わることで多様性が高まる一方、自社文化が揺らぐリスクも存在します。文化融合を促進できる調整力を備えた人材であれば、新規メンバーの早期戦力化が可能になるでしょう。
レイター期(上場準備・事業多角化)
レイター期はスタートアップにとって、成長スピードの重視から、上場準備や事業多角化といった「成長の質」と「持続性」に軸足を移す段階です。レイター期に必要とされる人材は、以下に挙げる5つの特徴を持つ人材です。
・組織やプロジェクトを横断して調整・推進できる人材
レイター期は既存事業の拡大と新規事業の立ち上げが同時に進行し、事業や組織が複雑化します。組織やプロジェクトを横断して調整や推進を担える人材であれば、部門間の摩擦を防ぎ、経営判断のスピードと精度を高めることができます。
・管理部門(経理・人事・法務等)のプロフェッショナル
レイター期は、組織規模や事業の複雑性が増す時期です。経理や人事、法務など管理部門のプロフェッショナルであれば、組織拡大に伴う人事労務管理や、上場基準に即したプロセス整備・リスク管理を適切に遂行できるでしょう。
・KPI・ガバナンス・業務フローなどの整備・運用経験者
レイター期は組織と事業の複雑化に対応し、持続的成長を支えるため、「KPI」「ガバナンス」「業務フロー整備・運用」などの経験者が必要不可欠です。こうした人材は組織全体の意思決定を可視化し、成長とリスク管理を同時に推進できます。
・経営視点で事業拡大を支えられる幹部候補
事業の多角化や上場準備に伴い、全社最適の意思決定を担うためには、経営視点で事業拡大を支えられる幹部候補が求められます。幹部候補の存在により、自社にとって最適な意思決定を行い、事業拡大と組織成長を同時に推進することが可能です。
・既存文化と新たなフェーズの橋渡しができる人材
レイター期は組織文化を維持しながら、事業拡大や変革を進める必要があります。既存文化と新たなフェーズの橋渡しができる人材であれば、変革や事業拡大のスムーズな進行と、組織の一体感やカルチャー維持を両立できるでしょう。
スタートアップの採用を成功させるには
スタートアップの採用は、以下の7つのポイントを実践することで、より成功につながりやすくなります。
採用目的と優先順位を明確にする
スタートアップは1名の人材採用であっても、自社文化や事業の方向性に大きな影響を及ぼします。そのため、採用目的と優先順位が定まっていなければ、ミスマッチの原因となるでしょう。
また、大企業と比較するとスタートアップは採用活動に割けるリソースが限られています。明確な採用目的と優先順位を定めることで、“本当に必要な人材”にリソースを集中投資でき、効率的な採用を実現できます。
事業ビジョンと求める人物像を一貫したメッセージで発信する
スタートアップにとって、事業ビジョンは単なるスローガンではなく、自社の経営や文化、意思決定を含めた方向性を示す羅針盤といえます。
事業ビジョンと求める人物像に基づいた一貫したメッセージの発信は、自社の採用活動における重要な判断軸として機能します。
さらに、候補者に対して「軸がぶれない企業」という印象を与えるとともに、共感と信頼感を高める土台にもなるでしょう。
採用広報・SNS・noteなどで「はたらくリアル」を発信する
スタートアップは、大企業や有名企業と比較すると、知名度や実績の面で不利になることがあります。そのため、自社のブランド力強化には「採用広報」「SNS」「note」などを積極的に活用することが効果的です。
自社の社員が、どのような姿勢で、どのように活躍しているかを示す「はたらくリアル」の発信により、知名度が低くても候補者の共感を得て人材を惹きつけることが可能です。
経営陣や現場が採用に深く関与し、候補者と直接対話する
スタートアップの経営陣や現場が積極的に採用に関与し、候補者と直接対話の場を持つことは、採用の質とスピードを大きく左右する重要な要素です。
スタートアップへの入社を検討する候補者にとって、「誰とはたらくか」は最も重要な判断材料の一つです。加えて、経営層や現場関係者が直接関わることで、採用にかける熱意や覚悟を候補者に響く言葉で伝えることができます。
スカウト型・リファラル・イベントなど多様な手法を併用する
スタートアップが単一の採用手法に依存すると、スピード感や柔軟性を発揮できなくなります。そのため、「スカウト型」「リファラル採用」「採用イベント」など多様な手法を併用し、母集団の偏りや候補者の減少を防ぐことが重要です。
また、採用手法ごとの特性を吟味し、効果を最大化することも不可欠です。たとえば、専門職の採用にはスカウト型やリファラル採用が適しており、若手のポテンシャル層には採用イベントの活用が効果的といえます。
関連記事
・リファラル採用とは?メリットデメリットや注意点まとめ
採用スピードとレスポンスの早さを徹底する
企業間の人材獲得競争が激化している現在、採用活動ではスピードが成果を大きく左右します。優秀な人材は複数の企業から同時にアプローチを受けていることが多いため、他社に遅れを取らないことが重要です。
したがって、採用プロセスの効率化に加え、候補者への対応はレスポンスの早さを徹底する必要があります。迅速かつ誠実な対応は、候補者に熱意として伝わり、志望度の向上につながります。
優秀な人材を獲得し、採用を成功させるには、スピード感の徹底が不可欠です。
選考ではスキルだけでなく「覚悟・価値観・挑戦意欲」を重視する
スタートアップで活躍してもらうためには、候補者のスキルだけでなく、「覚悟」「価値観」「挑戦意欲」を選考で重視することが不可欠です。
スタートアップは環境変化が激しく、スキルだけでは乗り切れない局面があります。担当業務をやり抜き、さらに上を目指す覚悟と挑戦意欲、変化を前向きに受け止める価値観を持つ人材であれば、早期の成果が期待できるでしょう。
御社の業務に副業社員を検討してみませんか?
今回は、スタートアップの採用を成功させるために知っておきたい情報を、分かりやすくご紹介しました。スタートアップの採用を成功させるには、まず自社のステージに応じて必要な人材の特徴を見極めることが求められます。
また、もし御社がリソース不足にお悩みであれば、副業人材マッチングサービスの「lotsful」を活用することで、優秀な副業社員との出会いを実現できます。
御社の業務の質とスピードを格段に高める副業社員との出会いが、「lotsful」ならコストと工数を抑えながら叶います。スピード感ある人材獲得をご検討の際は、ぜひ一度「lotsful」へご相談ください。
関連記事:スタートアップ・ベンチャーの採用を成功させるには?よくある課題やおすすめの採用手法