ゆうちょ銀行の社内ポータルサイト構築を支援―日本郵政グループの『戦略的副業』プロジェクト事例に迫る【2】
日本郵政グループは、グループ内外で人事交流を行い、新たな企業価値とサービスの創造に着手。外部の副業人材を積極的に受け入れることで社内にイノベーションを起こし、組織風土を改革していくため、2022年度から『戦略的副業』を開始しています。
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lotsfulでは日本郵政グループが取り組む『戦略的副業』を支援しており、2期目となる2023年度では日本郵政・日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険という4社・計19件の副業プロジェクトをサポートしてきました。そこで今回、4社のプロジェクト事例を取材し、その内容を紹介していきます。本記事では、株式会社ゆうちょ銀行の副業・兼業人材活用事例を取り上げます。
ゆうちょ銀行では、数年後を見越した新たな社内ポータルサイトの構築を検討中。このプロジェクトを推進するため、UI・UX設計や要件定義など、サイト構築の上流工程を副業・兼業人材に依頼しました。プロジェクト期間内にどのような成果が得られたのか、ゆうちょ銀行 総務部コミュニケーション推進室の太田氏、木津氏、丹野氏、人事担当の新村氏から話を伺いました。
会社情報
株式会社ゆうちょ銀行 | 銀行業 |
---|---|
設立年 |
2006年9月1日 |
社員数 | 11,742名(2023年3月31日現在) |
副業活用ポジション | サイト構築支援 |
ユーザーフレンドリーな社内ポータルサイトを実現するために
太田氏
今回、数年後の公開を見据えた社内ポータルサイトのリニューアルプロジェクトを進めるため、上流工程(システム化構想、計画、要件定義プロセス)の知見をもつ副業・兼業人材を活用しました。ポータルサイトのイメージはぼんやりとあったのですが、それをいざ要件定義書に落とし込もうとしても社内に知見がなく、外部に依頼しようと考えていたのです。そうしたタイミングで、日本郵政グループの『戦略的副業』の話を耳にしました。そこで、副業・兼業人材を活用することに決めました。
太田氏
3名の方と面談をしたのですが、みなさんスキルも経験も豊富にありました。その中でも、明るくて、高いコミュニケーション力をお持ちのKさんを採用しました。決め手としては、「一緒に仕事をするならこの人だ」と直感的に感じた部分でしょうか。
太田氏
社内から、「こんなポータルサイトにしてほしい」といった意見・要望を数多くもらっていました。それらを整理して、どんなサイトを構築していくかを一緒に考え、ポータルサイトの制作を外部に依頼するための要件定義書の作成までお願いしたのです。面談時に要件定義書まで作るというゴールを設定して、そこに向けてどう進めていくべきなのか、スケジュールや段取りをKさんに作っていただき、プロジェクトを進めていきました。
丹野氏
現状のポータルサイトは情報量が多く、何がどこにあるのか分かりにくい状態です。スケジュール管理など、便利な機能もいろいろと実装されてはいるのですが、「使いにくい」という意見が多くありました。UI・UXを改善して、「ユーザーフレンドリーなポータルサイト」にするのが一番の目的です。
副業・兼業人材のジョインにより、要件定義書の約7割が完成
太田氏
当社独自の用語や業務について時間をかけて、Kさんに理解いただくように努めました。コミュニケーションについても、お互い理解した気にならずに、分からない点はしっかりとヒアリングするようにしました。サイト構築において専門用語などもたくさんあったので、そこはKさんに質問をしながら進めていきましたね。
木津氏
週に1回、1時間の定例ミーティングを開催しました。それ以外はTeamsチャットを使って、随時コミュニケーションを取っていました。Kさんはコミュニケーション力が高い方だったので、オンラインでのやり取りでも特に問題なかったです。
太田氏
Kさんに入っていただいたことで、要件定義書については7割ほどできました。自分たちの力だけではここまで進めることができなかったなと思います。また、このプロジェクトを進めているときに、通常業務が多忙で手が回らないときがあったのですが、そういったタイミングでもKさんが積極的に動いてくれていたのでとても助かりました。
丹野氏
ポータルサイトの使いやすさを第一に考えて、画面の構成案などもKさんに作っていただきました。見出しなども分かりやすいレイアウトにして、よく使う項目もすぐわかる場所に設置するように要件定義を行うなど、Kさんの知見を十分活かしてもらったと思います。
木津氏
いいポータルサイトを作りたいと漠然と思っていた中で、Kさんが私たちの意見をかみ砕いて具現化してくれたなと思います。特にUI・UXにおいては、ご自身の経験を活かして要件定義書やサイトの構成案に落とし込んでもらいました。ユーザーフレンドリーなポータルサイトを目指す第一歩を踏み出せたことが、大きな変化だと感じています。
丹野氏
使いやすいポータルサイトを作ろうと思っても、自分では何をどうすればいいのか答えが出ませんでした。そうした中で、Kさんのような専門家の意見はとても参考になりました。また、画面の構成案を考えるにしても、スキルがないと難しいので、私たちが言葉で伝えたことを実際に構成案にしてくれたことに感謝しています。
外部人材と関わることで「気づき」が生まれる
木津氏
副業・兼業人材はこちら側に寄り添ってくれるので、外部の会社に業務を委託するときより、コミュニケーションを密に取ることができました。プロジェクトを通して学びが多くありましたので、そういった部分でも活用するメリットを感じています。
太田氏
Kさんはゴールに向けて主体的に業務を進めてくださり、また、コミュニケーション力が高い方で楽しく打合せができたので、難しいと感じる部分はありませんでした。ただし、当社独自の用語や業務があるので、それを理解してもらうのには時間がかかりました。理解いただいてからは、スムーズに業務を行うことができましたね。
太田氏
社内だけの関わりでは、社内のカルチャーやルールが当たり前になってしまうので、外部人材と仕事をすることでいろいろな気づきがあります。それが大きな価値のひとつでしょう。
今までは外部に仕事を依頼するときは、業務委託などしか選択肢がなかったのですが、これからは副業・兼業人材を活用するという新しい選択肢ができました。また、副業・兼業人材に仕事を依頼すれば、どれだけのアウトプットが可能なのかも今回のプロジェクトを通して理解することもできました。
太田氏
副業・兼業人材を活用するのは初めてだったので、何も分からないままプロジェクトがスタートしました。そういった状況の中でも、求人内容や応募者との面談などさまざまな場面でサポートしていただき、安心感がありましたね。
新村氏
契約書や請求書に関して当社独自のやり方やルールがあるのですが、そういった部分も柔軟にかつスピーディーに対応いただきました。全体的に受入れにかかる業務を手厚くサポートいただき、スムーズに進めることができましたので、感謝しています。そして、副業される方・受け入れる側、双方に良い気付きが生まれる機会になりますので、積極的に活用していただきたいと思っています。
(編集・取材・文:眞田幸剛)
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