
スカウト型採用とは?メリットデメリットや向いている企業を解説
求人広告を掲載して求職者からの応募を待つ従来型の採用とは異なり、スカウト型採用は企業から積極的にアクションを起こす「攻めの採用手法」です。
また、スキルの高い副業人材の導入を検討する場合においても、候補者へ直接アプローチできるスカウト型採用は、非常に効率の良い方法といえるでしょう。
本記事では、スカウト型採用のメリットやデメリットに加え、成功させるためのポイントや、向いている企業についても丁寧に解説いたします。
スカウト型採用とは
スカウト型採用とは、自社に必要なスキルや経験を持つ人材に対し、オファーメールなどを通じて直接アプローチする採用手法です。
この手法には、大きく分けて以下に示す5つの種類があり、それぞれアプローチ方法や対象となる候補者が異なります。自社のニーズや状況に応じて、適切な手法を選びましょう。
ダイレクトリクルーティング | 人材データベースなどから採用要件に合う人材に対してオファーメールを送り、応募へつなげる手法。 専門スキルや実績を持つ即戦力人材、転職潜在層に適している。 |
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リファラル採用 | 自社従業員の知人や友人を紹介してもらう手法。 自社カルチャーに適応しやすく、実績のある人材に向いている。 |
ヘッドハンティング | 専門のエージェントが候補者と接触し、引き抜きを行う手法。 経営層や専門職など、即戦力人材や転職潜在層が対象。 |
ソーシャルリクルーティング | X(旧Twitter)やLinkedInなどのSNSを活用し、フォロワーなどに直接アプローチする手法。若年層やデジタルネイティブ層に有効。 |
タレントプール活用 | 過去の応募者、辞退者、インターン経験者などをデータベース化し、採用ニーズが発生したタイミングで再アプローチする手法。 ポテンシャルの高い若手人材に適している。 |
スカウト型採用のメリット
自社の採用活動にスカウト型採用を取り入れることで、以下に挙げる6つのメリットが得られます。
自社が求める人材にピンポイントでアプローチできる
候補者の「スキル」「実務経験年数」「経験業種」「ポジション」「保有資格」など、採用要件は企業によってさまざまです。
スカウト型採用の最大のメリットは、これらの要件にマッチする候補者に対して、ピンポイントでアプローチできる点にあります。
転職潜在層にもリーチできる
従来型の求人広告では、転職を明確に意識している「転職顕在層」としか接点を持つことができません。一方、スカウト型採用では、企業が自ら候補者を探すため、現在転職活動をしていない「転職潜在層」にもアプローチすることが可能です。
転職潜在層は、今すぐ転職する意思がなくても、条件次第では応募に至る可能性があります。企業からのスカウトで具体的な提案を受けることで、転職を意識し始めるきっかけとなり、個別のオファーによる特別感も演出できるでしょう。
母集団の質をコントロールしやすい
スカウト型採用では、特定の業界や専門職の経験者など、あらかじめ条件を絞り込んだ人材に限定してアプローチすることが可能です。
自社の採用要件を満たす候補者のみに狙いを定められるため、母集団の質をコントロールしやすくなる点も、大きなメリットといえるでしょう。
応募を“待つ”のではなく、“攻める”採用が可能
従来は、求人媒体に自社の募集要項を掲載し、求職者からの応募を待つスタイルが一般的でした。このような“待ち”の採用では、自社が提示する条件や時期的なタイミングによっては、応募者が集まらない場合もあります。
一方、スカウト型採用では、オファーメールやSNSを活用し、自社のニーズに合った人材に対して、積極的かつ戦略的にはたらきかけることにより、“攻め”の採用が可能となります。
他社と競合になる前に先手を打てる
従来型の採用手法では、競合他社と優秀な人材を取り合う事態も少なくありませんでした。スカウト型採用は、求人への応募を待たずに「自社に来てほしい人材」へ直接声をかける能動的な手法です。
求職者が転職サイトへ登録する前や、まだ転職の意思が強くない段階の潜在層に対してもアプローチが可能です。これにより、優秀な人材が市場に出る前に接点を持ち、他社に先んじて獲得できるチャンスが生まれます。
採用ブランディングや社風を直接アピールできる
スカウト型採用では、候補者との最初の接点を企業主導で設けられるため、求人広告では伝えきれない自社のブランド力やカルチャー、はたらき方などをダイレクトに伝えることが可能です。
特に、ダイレクトリクルーティングを活用すれば、候補者一人ひとりに合わせたメッセージを送ることができるため、より効果的に関心を引くことができるでしょう。
スカウト型採用のデメリット
スカウト型採用には、以下に示す6つのデメリットがあります。とはいえ、あらかじめデメリットの内容を理解しておくことで、適切な対策を取ることができるでしょう。
スカウト文の作成や配信に手間がかかる
スカウト型採用では、候補者ごとにスカウト文を作成し、配信していく必要があります。まずは、採用要件に見合った候補者を精査し、配信のタイミングや件数の調整も行わなければなりません。
また、候補者の経歴・スキル・志向性に応じて、パーソナライズされた内容を盛り込まなければ、開封率や返信率に悪影響を及ぼすおそれがあります。これらをすべて手作業で行う場合、非常に多くの時間と労力を要します。
返信率が低く、結果が出るまで時間がかかることもある
スカウト型採用では、転職潜在層も対象となるため、転職意欲が高くない候補者も含まれます。そのため、企業からオファーメールを送信しても、開封されないケースも少なくありません。
また、オファー内容が候補者にとって魅力的でない場合、返信が得られない可能性もあります。このように、自社への応募という成果に至るまでに、一定の時間を要する点もデメリットの一つといえるでしょう。
スカウトの質により成果が大きく変わる
スカウト型採用の対象となるのは、一定のスキルや経験を持つ人材です。そのため、候補者が複数の企業からスカウトを受けている可能性も十分に考えられます。
提示されるスカウトの内容がテンプレート的であったり、条件面で魅力に欠ける場合には、他社のスカウトに埋もれてしまい、成果につながりにくくなるでしょう。
候補者の温度感が低いため、辞退されるリスクが高い
スカウト型採用では、スキルや実績は豊富であっても、現時点では転職を積極的に検討していない人材も候補者に含まれます。
こうした転職潜在層から反応があった場合、「話だけでも聞いてみよう」という段階にとどまり、本格的な応募意欲には至らないケースも少なくありません。そのため、スカウトに対する反応があっても、最終的に辞退されるリスクは高くなります。
人事や担当者に高い文章力・コミュニケーション力が求められる
自社がターゲットとする人材とは、オファーメールやダイレクトなアプローチが最初の接点となります。そのため、人事や採用担当者には、高い文章作成能力およびコミュニケーション能力が求められます。
「メールの内容がテンプレート的で印象に残らない」「企業担当者の対応に熱意が感じられない」といった場合には、候補者からの関心を得られず、スルーされてしまう可能性があるでしょう。
媒体利用料やツール導入コストが発生することがある
ダイレクトリクルーティングにおいて求職者データベースを活用する場合や、ヘッドハンティングを外部業者に依頼する場合には、媒体利用料や着手金などのコストが発生します。
さらに、候補者情報の管理やスカウト配信を自動化するために採用管理システムなどのツールを導入すれば、初期費用や運用費用も必要となるでしょう。
スカウト型採用成功のポイント
スカウト型採用を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下に示す6つの要素を一つずつ実践することにより、スカウト型採用を活用した成果の最大化が期待できます。
ターゲット人材像を明確にし、スカウト条件を精査する
スカウト型採用を成功させるための最も重要なポイントは、「求めるスキル」「経験」「志向性」など、ターゲットとなる人材像を明確にしておくことです。
自社が必要とする人材像がはっきりしていれば、スカウトのムダ打ちを防ぎ、より適切な候補者にピンポイントでアプローチすることが可能となります。
スカウト文はパーソナライズし、相手に「刺さる」内容にする
転職潜在層や採用難易度の高い職種の候補者は、複数の企業からオファーを受けていることが多いため、汎用的なスカウト文では他社のメッセージに埋もれてしまうおそれがあります。
候補者の職務経歴やスキルを十分に理解したうえで、特別感が伝わる「刺さる」文面を作成することが、興味を喚起し、応募につながる重要な要素となるでしょう。
企業の魅力・事業・はたらき方を具体的に伝える
スカウト型採用は、現段階で転職を積極的に考えていない層にもアプローチする手法です。そのため、自社の魅力や事業内容、はたらき方を曖昧に伝えてしまうと、候補者の興味や関心を引くことができません。
また、競合他社との違いや強みが具体的に伝わらなければ、比較検討の対象にもならないでしょう。候補者が自社ではたらく姿を想像しやすくなるよう、エピソードやデータなどを交えて伝えることが重要です。
スカウト配信後のレスポンスは迅速かつ丁寧に行う
スカウトを配信したら、候補者の関心や温度感が最も高まっているタイミングを逃さず、迅速かつ丁寧に対応しましょう。
企業からのレスポンスが良ければ、面談など次のステップへスムーズに進められます。また、候補者への速やかで丁寧な対応は、企業に対する信頼感アップにもつながります。
数字(開封率・返信率・面談設定率など)を分析して改善する
オファーメールの「開封率」「返信率」「面談設定率」など、各数字を追うことで、どのフェーズで歩留まりが発生しているかが明確になります。これにより、適切な改善策を講じることができるでしょう。
たとえば、開封率が低い場合は、件名や送信タイミングに課題があると考えられます。返信率に問題がある場合は、スカウト文の内容やターゲット設定の見直しが必要です。また、面談化率が低い場合は、初期対応や魅力付けの方法について改善を検討しましょう。
中長期的な関係構築も視野に入れる
オファーした時点では、候補者の転職意思があまり強くなくても、その後の関係構築次第で、将来的な採用につながるケースもあります。
中長期的な関係を築いておけば、現時点では採用対象にならなかったとしてもタレントプールを形成できるため、突発的な採用ニーズが発生した際にも、スピーディーに対応できるようになるでしょう。
スカウト型採用が向いている企業とは
スカウト型採用が向いている企業の特徴は、具体的にどのようなものでしょうか。以下の6つに当てはまっていれば、スカウト型採用が向いている企業といえるでしょう。
即戦力や専門スキルを持つ人材をピンポイントで採用したい企業
採用市場において、即戦力や専門スキルを持つ人材は限られています。これらの優秀な人材は多くの企業が求めており、当然ながら採用競争は激しくなるでしょう。
スカウト型採用であれば、転職潜在層も含めて自社が求める人材に対して、いち早くピンポイントでアプローチできるため、競合他社にも先手を打つことが可能です。
求人広告では応募が集まりにくい職種を扱う企業
ニッチな業種や専門職などは、そもそも対象者が少なく、転職市場に出回らないケースも多いため、求人広告で応募が集まりにくい傾向があります。
スカウト型採用であれば、企業側から直接ターゲット層にはたらきかけることができるため、求人広告と比べて候補者と接点を持てる可能性が高まるでしょう。
競合が激しい業界でスピード勝負の採用をしたい企業
エンジニアやAI関連人材など、ITやソフトウェア業界は市場ニーズが非常に高く、優秀な人材の獲得競争が激しくなっています。
スカウト型採用であれば、自社が求める人材をデータベースやSNSから直接選定したうえで、即座にコンタクトを取ることが可能です。このため、競合他社に先んじたスピード感のある採用を実現できます。
採用ブランディングを強化したいスタートアップやベンチャー企業
ベンチャーやスタートアップ企業は、世間的に認知度が低い場合が多く、求人広告だけでは自社の強みやビジョンが候補者に伝わりにくいでしょう。
そこで、スカウト型採用を取り入れることで、自社のミッションや価値観、成長ストーリーを候補者一人ひとりに伝えることができ、共感を生みやすくなります。
採用担当にスカウト文作成やターゲティングのリソースがある企業
候補者の興味や関心を引き、返信率の高いスカウト文を作成するには、ライティングスキルに加えて、適切なターゲティングが必要です。
自社内に、これらの能力を持ち、十分な時間を割ける採用担当がいる場合には、ターゲットの分析と適切な条件設定に基づいて、効果の高いスカウト文作成が可能になります。その結果、採用コストや工数削減にもつながるでしょう。
通年で採用を行っており、潜在層との接点を継続的に築きたい企業
スカウト型採用は、転職潜在層も含めた候補者と継続的な関係構築ができるため、将来的な採用を見据えた場合にも有効な手法です。
通年で採用を実施している企業であれば、常に潜在層への接点と情報発信の場を設けることで、候補者の企業理解や興味を深めやすくなり、面談設定率や内定承諾率の向上が期待できるでしょう。
御社の業務に副業社員を検討してみませんか?
今回は、スカウト型採用を導入するメリットやデメリットだけでなく、向いている企業の特徴など、ポイントを押さえてお届けしました。
優秀な人材の採用競争が激しくなっている昨今においては、企業が率先して候補者にはたらきかけることで、他社に先んじた人材獲得が可能になります。
さらに、採用活動だけでなく、御社が業務において「リソース」「ノウハウ」「コスト」面で課題を抱えている場合には、ハイスキルな副業社員の力を借りて解決を図るのも賢明な選択肢です。
ローコストかつ工数負担を抑えた副業社員の導入を検討するのであれば、新たな採用チャネルとして注目されている「lotsful」の活用をおすすめします。
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