
わかりやすい面接官マニュアル | 質問例、心得、NG言動や行動まとめ
採用担当に新たに配属された場合や、突然面接官に指名された人は「面接官として何を聞けば良いの……?」「面接官の心構えを知りたい」などと戸惑うことがあるかもしれません。
この記事では、まず面接官の役割とは何かを確認し、面接の基本的な流れや事前準備について解説します。記事後半では、面接官としての心得やNG言動・行動なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
採用業務には、副業人材を活用する選択肢もあります。詳しくは記事の最後をご覧ください。
面接官の役割とは
面接官は、企業と応募者をつなぐ架け橋です。単に質問をして回答を得るだけでなく、応募者の適性を見極めながら企業の魅力を伝える役割も担います。
ここでは、主な役割を2つ紹介します。
適正な人材の見極め
面接官の重要な役割の一つが、応募者が企業の求める人材像に合致しているかを見極めることです。技術力や経験、スキルだけでなく、企業文化との親和性や既存チームとうまく関係を構築できるか、今後の成長可能性があるかなど、多角的な視点で評価することが求められます。
会社の「顔」として魅力をアピール
面接官は企業の代表として、会社の魅力や価値観を応募者に伝える役割も担います。企業は応募者を選ぶ立場ではあると同時に、応募者にも選ばれる立場でもあるため、面接官が企業の「顔」としてブランディングを体現することが非常に重要です。
面接の基本的な流れ
効果的な面接を行うために、まずは基本的な面接の流れを把握しましょう。
挨拶
面接の第一印象を決める重要な瞬間です。応募者が入室したら、明るく丁寧な挨拶で迎え、応募者が本音を話しやすい雰囲気を作ります。
アイスブレイク
緊張が解けない状態でいきなり本題に入ると、応募者が本領を発揮できない可能性があります。当日の天候や交通機関の状況、会場までの道に迷わなかったかなど、日常会話から始めると自然です。この時間を通じて応募者の緊張を和らげ、本来の姿を引き出しやすい環境を整えます。
応募者の自己紹介
まず面接官から自己紹介を行い、次に応募者に自己紹介をしてもらいます。新卒採用なら学校で学んでいること、中途採用なら現職について軽く触れてもらい、気になる点があれば深掘りする質問をしましょう。
面接官から応募者への質疑応答
準備した質問に基づき、応募者の経験やスキル、考え方、志望理由などを掘り下げます。オープンエンドな質問を用い、応募者の具体的なエピソードを引き出し、もっと聞きたいところがあれば都度コミュニケーションを取ります。
応募者から面接官への質疑応答
面接官からの質問が一通り終わったら、応募者からの質問時間を設けましょう。応募者の気になる点や不安を解消し、面接を通じて疑問や悩みが解決できるようにします。ここでの面接官からの回答が応募者の志望度や企業の印象を左右する可能性があるため、決して侮れないステップです。
確認事項
面接の最後には、今後の選考プロセスや合否連絡までに要する期間などを説明します。
面接官の事前準備
面接官が役割を全うするためには、事前準備を怠らないことが大切です。
履歴書・職務経歴書の確認
応募者の提出書類には必ず事前に目を通し、経歴や強み、特徴的な点を把握しておきます。気になる点や確認したい事項をメモしておくと、取りこぼしなく質問ができるでしょう。
面接の流れの確認
次に面接当日の流れを確認します。対面での面接の場合、面接前後の候補者控室の準備や動線を確認し、オンライン面談の場合は面談用URLやID・パスワードが正しく共有されているかなども事前にチェックしましょう。
質問内容の準備
応募者の経験やポジション、そして自社が採用したい人物像かを判断するための価値観や性格に関する質問などを採用ターゲットに合わせて準備します。チームワークやプロジェクトのエピソードを語ってもらうことで、どのようなシチュエーションでどのように考え行動する人物かが理解でき、より深く価値観を把握できるでしょう。
他面接官と評価基準の共有
複数の面接官で実施する場合は、役割分担や質問の重複を防ぐための調整、確認すべきポイントの共有などを入念に行うことが欠かせません。統一された評価基準を持つことで、公平かつ一貫性のある採用判断が可能になります。
面接官の心得とは
ここからは、面接官としての役割を全うするために必要な心得を5つ紹介します。
応募者を尊重する
応募者一人ひとりに敬意を持ち、尊重しましょう。性別、年齢、経歴などに関係なく、公平な態度で面接に臨み、面接開始時間に遅刻したり、候補者の話を遮ったりといった失礼な態度を取らないように注意します。
公平で客観的な態度を保つ
先入観や個人的な好みにとらわれず、定められた評価基準に基づき一貫して判断することが重要です。感情的な判断は避け、常に客観的な視点を持ち続けることを心がけましょう。
リラックスした雰囲気を作る
面接には、緊張した面持ちで来る応募者が多いです。応募者が緊張して本来の力を発揮できないことは、企業にとっても損失につながるため、リラックスして本音で話しやすい雰囲気をつくる工夫が求められます。
柔軟な対応
面接の流れや質問内容は、応募者の反応や回答に応じて柔軟に調整できるよう心づもりをしておきましょう。気になる点があった場合や、もっと詳しく聞きたいポイントがあった場合には、必要に応じて深掘りする質問を投げかけるなど、臨機応変な対応が求められます。
聞き役に徹する
面接の目的は、応募者の話を十分に聞くことです。面接官が話しすぎることなく、応募者のエピソードをさまざまな角度から引き出せるように意識しましょう。
面接官のNG言動や行動
面接官は企業の「顔」ともいえます。そのため、面接官として避けるべきNG言動・行動をあらかじめ理解し、注意しましょう。
ここからは、その例を5つ紹介します。
無視や不適切な態度
スマートフォンを見たり、応募者の話を聞き流したりするなどの不適切な態度は厳禁です。応募者に対して関心と敬意を持ち、しっかりと話を聞く姿勢を示しましょう。
過度に個人的な質問
『職業安定法』の第5条の5(※)では、「その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない」と定められています。つまり、業務上知る必要がある個人情報に限って面接官は質問することが可能です。職務と直接関係のない個人的な質問は避けましょう。
※出典:e-Gov法令検索『職業安定法』
一方的な評価や批判
応募者の過去の経験や判断を批判したり、一方的に評価したりすることは避けましょう。応募者の考えや価値観を理解し、尊重する姿勢が大切です。
遅刻や準備不足
面接開始時間への遅刻や、応募者の経歴を把握していないなどの準備不足は、企業の印象を大きく損ねかねません。企業への評価やブランドイメージにも直結するため、社会人としての基本的なマナーは必ず守りましょう。
性別・人種などに基づいた偏見を持つ言動
性別や人種、宗教などに基づく差別的な発言や態度をとるのは絶対に避けるべきです。多様性を尊重し、公平な評価を心がけましょう。
基本的な面接質問の例
最後に、場面別の質問例を紹介します。
アイスブレイク時の質問
面接当日は、本題に入る前のアイスブレイクとして自然な日常会話で応募者の緊張をやわらげましょう。
アイスブレイク時の質問例は下記の通りです。
- この時間帯の電車は混雑していませんでしたか?
- オフィスまで迷わずに来られましたか?
- お住まいのエリアでは雪(天候)の影響はありませんでしたか?
経験やスキルについての質問
まずは、応募者が学生時代やこれまでのキャリアでどのような経験を積み、スキルを持っているのかをしっかりと引き出しましょう。
経験やスキルについての質問例は下記の通りです。
- 現在の職場では、どのような仕事を担当していますか?
- 前職で最も困難だったプロジェクトは何ですか?どのように乗り越えましたか?
- 現在の仕事を進めるうえで、どのような点を工夫していますか?
性格や価値観についての質問
応募者自身の性格や価値観を聞き出す際には、具体的なエピソードを語ってもらうと、どのようなシチュエーションでどのように考え行動する人物かが理解しやすいでしょう。
性格や価値観についての質問例は下記の通りです。
- ご自身の強みと弱みを教えてください。
- 仕事で失敗したとき、どのように気持ちを立て直しましたか?
- チームでプロジェクトを進める際は、どのような役割を担うことが多いですか?
今後のキャリアについての質問
応募者がどのようなキャリアプランを描いているかを確認することで、自己理解や計画性を持って転職活動を行っているかなどを判断できます。
今後のキャリアに関する質問例は下記の通りです。
- 仕事にかかわらず、現在努力していることや勉強していることはありますか?
- 5年後、10年後のキャリアプランを教えてください。
- 当社でチャレンジしたい業務や、新たに挑戦したいことはありますか?
志望動機や入社意欲についての質問
なぜ自社を志望したかを質問することは、候補者の入社意欲が測れるとともにその志望動機が自社で実現できるかを判断でき、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。
志望動機や入社意欲についての質問例は下記の通りです。
- 当社を志望した理由を教えてください。
- ほかにどのような企業の選考を受けていますか?
- 就職活動で大切にしているポイントを教えてください。
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この記事では、面接官の役割や心得、面接の進め方、質問例など、面接官として必要な基本的な知識とスキルについて解説してきました。面接官の役割を全うするためには、十分な事前準備と企業の「顔」としての自覚を持ち、企業ブランドを意識することが重要です。
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