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再雇用制度とは?雇用条件や制度導入のメリット、流れを解説

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定年を迎えた社員の経験やスキルを有効に活用し、年金支給開始年齢の引き上げに対応する再雇用制度は、企業と従業員の双方に大きなメリットをもたらします。

また、再雇用後の賃金低下に伴う収入補填のために、副業を認め、柔軟な勤務スタイルを促す点も、多様性が求められる現在の社会ニーズに合致しているでしょう。副業との両立を図ることで、より充実したキャリアを築くことができます。

そこで本記事では、再雇用制度について、導入のメリットや条件、契約締結までの流れを詳しく解説します。

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再雇用制度とは

再雇用制度とは、定年を迎えた自社従業員を企業が継続して雇用する仕組みです。再雇用後は、正社員ではなく、嘱託や契約社員などの雇用形態で勤務するケースが大半です。

再雇用制度の普及は、2013年4月の高年齢者雇用安定法改正(※1)により、定年を65歳未満に定めている企業に対して、下記いずれかの措置が義務付けられたことが背景にあります。

  • 65歳までの定年の引き上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年の廃止

また、2025年3月31日で高年齢者雇用に関する経過措置の終了(※2)に伴い、継続雇用の対象者を限定することができなくなりました。このため、希望するすべての従業員に対して継続雇用制度が適用されます。

※出典1:厚生労働省HP 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」の概要
※出典2:厚生労働省HP 高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~

再雇用条件の主な要素

定年を迎えた従業員と再雇用契約を締結する際の、主な6つの要素を以下で解説します。

雇用形態

定年後の従業員を再雇用する場合、正社員ではなく、嘱託や契約社員など1年契約の有期雇用として迎え入れることが一般的です。

制度上、条件によっては無期雇用へ転換する企業もありますが、実際には毎年の審査を経て有期契約の更新を行います。

給与

再雇用者の給与については、定年前の給与水準が維持されることは、ほとんどありません。目安としては、定年前の6~7割程度の水準となることが一般的です。

ただし、同一労働同一賃金の観点から、正社員と同じ仕事内容であれば、不合理な賃金差が生じないように配慮する必要があります。

また、役職が付かない場合が多くなるため、ポジションに応じた手当が廃止される可能性もあるでしょう。勤務形態が短時間に変更となる再雇用者は、月給制ではなく、時給や日給制となる場合も考えられます。

労働時間

専門性や経験が求められる職種については、再雇用後もフルタイム勤務となるケースがあります。一方、企業側が短時間勤務や週3日勤務など、複数の勤務パターンを用意している場合もあります。

再雇用者の役割だけでなく、健康状態にも十分に配慮しつつ、本人の希望に応じた柔軟な勤務設定を行うことが求められるでしょう。

契約期間

再雇用者との契約期間については、1年ごとの有期契約が一般的です。毎年、再雇用者と企業間の合意に基づき、契約が更新されます。

契約期間の上限に関しては、高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保が義務付けられています。

また、有期契約が継続して更新され、通算5年を超えると無期転換申込権が発生しますが、定年後再雇用に関する特例(※)によって、無期転換申込権のカウントをリセットすることが可能です。

※出典:厚生労働省 都道府県労働局 無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例について

職務内容

再雇用者の職務内容は、定年前と同じ部署や職務を担当するケースのほか、役職から外れて一般メンバーと同じ業務を担当したり、指導的役割を担ったりすることもあります。

また、体力的な負担を考慮して、デスクワーク中心に変更するか、一部の業務のみを任せるケースも多く見られます。

健康状態

再雇用契約を結ぶ際は、就業に支障がないよう、健康状態の確認が不可欠です。特に、身体的に負担の大きい業務の場合、再雇用者に健康診断の結果を提出してもらい、問題がないことを確認しておきましょう。

さらに、再雇用後も労働安全衛生法(※)に基づき、年1回の定期健康診断を継続して実施しなければなりません。そのうえで、再雇用者が無理なくはたらける環境づくりに努めましょう。

※出典:厚生労働省HP 労働安全衛生法に基づく定期健康診断

再雇用制度導入のメリット

再雇用制度を導入した企業は、以下に挙げる7つのメリットを享受できます。

経験豊富な人材を引き続き活用できる

再雇用制度により、長年自社で経験や知識を培い、専門スキルを磨いてきた社員を、引き続き戦力として活用することが可能です。

そのまま即戦力として活躍が期待できることはもちろん、既存の顧客や取引先との信頼関係も継続できるでしょう。

若手社員への技術・ノウハウの継承が進む

再雇用制度のメリットは、単に退職によるポジションの空洞化を防ぐことだけではありません。特に、高度な技術やノウハウを要する業種や職種では、再雇用者に後継者育成や技術伝承を任せることができます。

また、業務上マニュアル化が難しいコツや勘に頼る作業も、再雇用者が若手社員へ直接指導することで、技術やノウハウの継承が進むでしょう。

突発的な人手不足への対応がしやすくなる

再雇用制度を導入すれば、社内ルールや業界慣習、業務知識に精通した経験豊富な社員が常に在籍することになります。

そのため、若手社員の退職や大きなプロジェクトによる人員補充など、突発的な人手不足が発生しても、再雇用者の力を借りて乗り切ることができるでしょう。

採用・教育コストを抑えられる

再雇用制度なら、求人媒体やエージェントを用いた新たな採用活動を行う必要がありません。そのため、求人掲載料や紹介手数料だけでなく、選考にかける時間や人件費も不要となります。

また、再雇用者は長年自社の業務に携わってきた人材であるため、即戦力として稼働できます。一般的な中途採用者のように入社後研修の手間がかからず、教育コストも抑えられます。

勤続意欲や定年後の不安軽減につながる

再雇用制度は、定年後の雇用が保証されるという点において、勤続意欲の維持や生活に対する不安軽減に大きく貢献します。

また、定年後に年金頼りの生活となることへの不安が大きい中高年層にとって、引き続き安定した収入を得ながらはたらき続けられることは、精神的にも大きな支えとなるでしょう。

社内の多様なはたらき方の促進と雇用の安定に貢献する

再雇用者は、フルタイム勤務だけでなく、時短勤務や週3日勤務など、多様なスタイルで活躍しています。これは、再雇用者自身の年齢や体力に加えて、シニア世代のライフスタイルにあわせた柔軟な勤務形態が実現できるためです。

また、こうした柔軟な勤務スタイルの成功例を社内に示すことで、「定年を迎えて役職を外れても、いきいきと仕事で活躍できる」という世代を問わない価値観が社内で共有され、結果として雇用の安定にも貢献するでしょう。

企業の社会的責任(シニア活用)を果たすことができる

急速に進む高齢化社会において、企業が率先してシニア活用に取り組むことは、社会的責任を果たす何よりの証明となります。

また、再雇用により定年後の中高年層の収入確保や勤続意欲の維持に貢献することは、自社だけでなく、地域経済の活性化にもつながるでしょう。

再雇用契約までの流れ

再雇用は、以下に挙げる5つの流れを経て、従業員との契約締結に至ります。

1.   制度設計・社内規定の整備

再雇用制度の導入には、まず基本方針を整備することからスタートします。「対象者の範囲と上限年齢」「雇用形態」「契約期間」「勤務条件」「賃金制度」などを設計し、社内規定として定めましょう。

2.   定年前面談の実施

定年前面談は、対象者の意思や健康状態を踏まえたうえで、再雇用後の条件に関するすり合わせや、企業との認識にズレがないかを確認するために実施します。

3.   希望者からの申請受付

定年前面談後に、再雇用を希望する対象者に対して、再雇用制度の概要および申請方法や受付期間を通知します。そのうえで、再雇用申請届出書などの必要書類を配布しましょう。

4.   再雇用条件の提示・調整

再雇用希望者からの申請を受けたら、あらかじめ設定された社内規定に基づき、再雇用条件を提示します。そのうえで、本人の申し出や希望とすり合わせながら、条件の調整を行いましょう。

5.  本人と条件合意後、契約書の締結

再雇用条件の調整を経て、本人と企業側双方の合意が得られたら、条件を明確に文書化した契約書を作成し、再雇用契約を締結します。

この流れに沿って進めることで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

御社の業務に副業社員を検討してみませんか?

今回は、定年後の社員と再雇用契約を結ぶにあたり、企業が押さえておきたい情報について、ポイントを踏まえながらご紹介しました。

再雇用者は、これまでに培った経験やスキルを継続して業務に活かせるため、人手やリソースに課題を抱える企業にとって、非常に貴重な存在です。

もし、御社が業務においてさまざまな課題や悩みをお持ちでしたら、再雇用者と同様に即戦力としての活躍が期待できる「副業社員」の導入を検討してみてはいかがでしょうか?副業人材の活用は、多様なスキルを持つ専門家との協働を実現し、新たな価値創造につながります。

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