データ分析を業務委託に発注する際のメリットや注意点まとめ
ビジネスにおけるビッグデータの重要性が高まるにつれ、さまざまなデータ分析を行うデータアナリストや、データサイエンティストのニーズも高まっています。
その一方、データ分析を専門とする人材の絶対数が少ない現状、自社で採用せず、スキルのある副業社員へ外注するのも一つの得策といえるでしょう。
今回は、データ分析を業務委託に発注した場合のメリットやデメリットから副業での案件例を、具体的な報酬相場を踏まえながら詳しく解説していきます。
データ分析は採用して内製化すべき?外注で業務委託すべき?
適正な分析によって、企業における商品開発やマーケティングに関する施策への大きな足掛かりとなるデータ分析。
データアナリストなどの専門職を自社採用して内製化すれば、外注費を負担することなく、これらの業務の実現が可能ですが、人材育成に時間を要し、給与を含めた長期的な固定費も発生します。
より精度の高い分析結果を望む場合、データ分析を専門とする企業や個人へ必要時に外注することは効果的である一方、内容によっては非常に高額な報酬を支払わなければなりません。
どちらも一長一短があるため、費用対効果や緊急性を要するかどうかなど、自社の状況に合わせて、うまく選択していくことをおすすめします。
データ分析を外注で業務委託するメリット
データ分析を内製化せず、外注で業務委託することによる最大のメリットは、以下に挙げる3点といえるでしょう。
専門的な分析スキルと最新のテクノロジーへのアクセスが可能
商品・サービス開発や売上成長、組織変革などさまざまな目的につながるヒントが得られるデータ分析。
企業におけるデータ分析や活用ニーズが高まる一方、専任のデータアナリストを雇用するまでの環境が整備されていない企業が多いのも現状です。
データ分析会社や個人に外注すれば、専門的な分析スキルをもつ人材と蓄積されたノウハウ、そして最新のテクノロジーを駆使した経営課題の解決に対する支援が期待できます。
固定費用を変動費に変換できる
データ分析の結果から経営課題の解決支援を行うデータアナリストや、AI・統計学などの専門知識を駆使してデータを分析し、分析結果を提供するデータサイエンティストは共に高いスキルが求められます。
専門性の高い人材を自社採用して、育成していくにはかなりの時間とコストが必要です。また、専門職としてスキルに見合った給与などの固定費を毎月支払っていかなければなりません。
新規プロジェクトの立ち上げ時など、必要に応じてデータ分析業務を外部に依頼すれば、外注費の支払いだけで済むため、固定費用を変動費へと切り替えられ、コスト削減に繋がります。
外部の視点から新たな洞察を得ることができる
適切なデータに基づいた分析により、勘や経験頼みでない効果的な意思決定のサポートが可能な点が、データ分析を行う最大の目的です。
自社の社員がこれらを担う場合、社内事情などによって偏った見地に陥り、思うような結果を得られない可能性も少なくありません。
データ分析は客観的な根拠が何より重要なため、外注した場合、外部の視点から冷静に状況を判断することが可能なうえ、今後の戦略において新たな切り口の発見がしやすくなるでしょう。
データ分析を外注で業務委託するデメリット
データ分析を外注で業務委託した場合、以下に挙げる2つのデメリットがあることも否めません。状況に応じて、臨機応変に活用していくとよいでしょう。
データの安全性の問題が生じる可能性がある
売り上げや顧客動向など、企業にとって経営を左右する貴重なデータの分析を自社で行わずに外部へ委託すれば、当然安全面での問題が生じるリスクも考慮しておかなければなりません。
信頼できる専門会社や、適切な人材に依頼することは第一前提ですが、委託先が個人情報保護法第23条(※1)やガイドラインに照らして、必要な水準を満たす安全管理措置を講じているか、またそれらが実施されているか確認しておきましょう。
※出典1:e-Gov法令検索 個人情報の保護に関する法律
長期的な視点での知識蓄積が難しい
自社の人材でデータ分析をまかなえば、実施に基づいた知識やノウハウの蓄積が可能ですが、必要時に外部に依頼するというピンポイントな対応となるため、結果のみを受け取ることになります。
コストの削減という側面だけで外注を選択するのではなく、固定費をかけても知識やノウハウが蓄積される自社でのデータ分析を選択するのも、会社経営という長期的なスパンを視点に入れると有益かもしれません。
データ分析の業務委託の契約形態
データ分析を外部に業務委託する場合は、以下に挙げる民法によって定められた「請負契約」「準委任契約」2つの方法が選択できます。
契約形態の違いにより、目的とすることや、何が債務不履行になるかは変わっていきます。このため、契約時にはあらかじめこの2つの違いを把握し、見合った契約形態を選択することが肝心です。
請負契約
成果物を完成させる義務(完成責任)があり、作業結果を納品し検収を受けた後に報酬が支払われる請負契約。
データ分析であれば、受注者が定められた期間までに明確な目標に基づき分析を行い、その結果が発注者へ納品されるものです。
ただし、受注者が依頼した業務に膨大な時間をかけたとしても、目標を満たせなければ発注者は報酬を支払う義務はありません。
準委任契約
労働期間内での業務遂行を成果物とする準委任契約。完成を目標としないのが、請負契約との違いといえるでしょう。
ただし、民法第644条(※1)に定められる「善管注意義務(善良な管理者の注意の義務)」が発生するため、受注者が義務を満たさない場合は、発注者により損害賠償請求や契約解除などが可能です。
データ分析の場合、要件定義や基本設計などの作業で、準委任契約が選択されるケースが多く見られます。
※出典1:e-Gov法令検索 民法
データ分析を外注する際の注意点
データ分析を外注するには、あらかじめ以下に挙げる5つの注意点を意識しておけば、失敗するリスクが少なくなります。
実績、専門性、評判をしっかりと確認する
データ分析といっても、その手法にはさまざまな種類があり、課題によって用いる手法も異なってきます。
データ分析を行う会社や個人でも、扱う専門分野をはじめ何に特化しているかも異なるため、外注先とのアンマッチがあると、成功には繋がりません。
依頼する側が、データ分析の目的(着地点)を明確にしておくことはもちろん、外注先がどの分野を得意としているか、実績や口コミなどの評判をあらかじめ確認しておきましょう。
データのセキュリティに関する取り決めを明確にする
提供されるデータの質と量が成否を左右するデータ分析。企業にとってデータは財産であるため、万が一情報漏えいなどのトラブルが起こった場合、企業運営に影響を及ぼしかねません。
このため外注先の担当者には、自社で実施する特定の研修を受けることや、セキュリティポリシーへの理解や同意など、事前にセキュリティ対策についての取り決めを明確化しておきましょう。
期待する成果物を具体的に指定する
依頼する側のビジョンがはっきり決まらないまま、データ分析を依頼しても、コストや時間がかかるだけで、満足な結果は得られません。
「売り上げを現状より〇%伸ばしたい」「20代~30代の男女別顧客動向を知りたい」など、データ分析を行うことで何を得たいのか、具体的な着地点をきちんと指定しておけば安心です。
定期的な進捗報告とコミュニケーションを行い、透明性を保つ
外部にデータ分析を依頼すること=正確で質の高いデータ分析ができる。といったメリットはある一方、企業の膨大なデータを他者が扱えば、情報漏えいなどのリスクはゼロではありません。
依頼先がデータ分析会社や個人、いずれであっても透明性を保つために、常に情報は共有し、状況について定期的な進捗報告を義務付ける環境にしておきましょう。
成果物の品質を継続的に評価する
依頼した内容に対しては、データ分析された成果物に一定以上のクオリティが保たれていることが前提ですが、これだけで設定した目的が達成されるわけではありません。
分析データをもとに、今後どのような戦略を実施していくかは、関わる人間や分析者の判断が必要になってきます。
このため、クオリティの高いデータ分析の提供だけでなく、データ分析に基づいた適切なアドバイスを受けられるなど、サポート内容が充実している外注先を選ぶと良いでしょう。
費用対効果に優れた外注先を選ぶことも重要ですが、優れた成果物に対しては、見合った評価と対価を支払うことも、安定したサービスの継続利用をするためには欠かせません。
データ分析を外注する場合のパターン
データ分析は自社で分析するよりも、専門家に託せばより効果的な施策に結びつきやすくなります。外部に業務委託する場合は、以下に挙げる3つのパターンが一般的といえるでしょう。
解決したい課題や希望する着地点のレベルなど、自社の状況に見合った発注先を選択することをおすすめします。
データ分析会社に発注する
経験豊かなプロが在籍し、取り扱うデータ分析の種類や実績が豊富な点において、データ分析会社に依頼すると、望む結果に繋がる可能性はより高くなります。
目指す着地点を伝えることで、膨大なデータから適切かつ、正確な分析をワンストップで行ってくれます。また、サンプル数やノウハウを多数保持している点は、データ分析の専門会社へ依頼するメリットといえるでしょう。
個人事業主に発注する
課題への分析基盤はあるものの、自社での知見が不足していることで思うような効果が得られない状況の場合、個人事業主のデータサイエンティストとして活躍する人材に発注するのがおすすめです。
データ分析会社より融通や小回りが利く点が、個人事業主へ発注する何よりのメリットといえるでしょう。
個人事業主が現場に入ることで、並走しながら分析基盤をブラッシュアップしつつ、PDCAサイクルをスピーディーに回す動き方が、より目標達成へ繋がりやすくなります。
副業社員を採用する
本業でもデータアナリストやデータサイエンティストとして活躍している副業社員を採用すれば、即戦力としての活躍が期待できます。
データ分析を担う人材不足は常態化しており、必要に迫られ、それほど高いスキルや経験をもたない既存の人材で穴埋めすることも珍しくありません。
また、スポット的に専門家の手を借りたいと考える企業が多い現状、データ分析で活躍できる副業社員の採用は、お互いにとっても非常に有効的といえるでしょう。
データ分析の外注・業務委託の報酬相場
データ分析を外注で業務委託した場合、依頼するデータの種類により幅はありますが、依頼先により支払う報酬がどの程度になるのか、あらかじめ相場を知っておけば、より比較検討しやすくなります。
以下で、自社の商品・サービスの収益や、顧客の傾向といった業績データ分析を「データ分析会社」「個人事業主」「副業社員」それぞれに依頼した場合について、おおよその報酬相場を紹介していきます。
データ分析会社 | ・基本料金/5,000~10万円程度 ・1工程/10万~50万円程度 |
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個人事業主 | ・基本料金/5,000~1万5,000円程度 ・1工程/ 5万~20万円程度 |
副業社員 | ・基本料金/3,000~1万円程度 ・1工程/3万~10万円程度 |
データ分析の副業案件の例
データ分析を副業とするには、どのようなものがあるでしょうか。「稼働時間」「単価」「条件」の具体例を踏まえながら、以下に2例紹介していきます。
農業領域における産地のビッグデータ解析
稼働時間 | 25時間程度/月 |
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単価 | 時給3,000~7,000円程度 |
条件 | ・Pythonを活用したデータサイエンスの経験 |
業務内容 |
・Python等を用いたデータ分析実務 |
ヘルステックサービスのデータサイエンティスト
稼働時間 | 40時間程度/月 |
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単価 | 時給4,000~8,000円程度 |
条件 | ・統計、数学、データサイエンスなどの知識 ・SQL/Python/Rなど用いたデータマート開発、データアナリティクスの経験 ・TableauなどのBIツールを用いたことがある方 ・顧客ワーク等での改善提案の経験 |
業務内容 | ・データマートの構築 ・データ利活用するための予測モデル構築 |
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