副業収入は雑所得と事業所得のどちらで申告すべき?
副業といっても、企業やお店と雇用契約を結んで働くアルバイトから、ライターやWebデザインなどスキルを活かしながら個人で行うものまで、職種や労働形態はさまざまといえるでしょう。
本業での給与と違って副業で収入を得た場合、それが何の所得に該当するのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
今回は、副業で得た収入について「雑所得」と「事業所得」の違いから、確定申告時にすべきことなど、事前に知っておきたい知識や注意点まで詳しく解説していきます。
雑所得とは
所得はその性質ごとに「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「退職所得」「山林所得」「譲渡所得」「一時所得」「雑所得」の10種類(※1)に区分されています。
雑所得(※2)は、以下のように上記のいずれにも当たらない所得を指し、本業を別に持つ会社員が副業をした際の所得は、雑所得に該当することがほとんどです。
公的年金等 | ・国民年金法・厚生年金法・共済組合法などに基づいて支給される年金 ・過去に勤務していた会社から支払われる年金 ・確定給付企業年金法に基づいて支給される年金 |
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非営業用貸金の利子 | 個人的な貸金に対する利子 |
仮想通貨等の取引で得た利益 | 仮想通貨やFXは雑所得に該当。株式等の譲渡益は一般的に営利を目的として継続的に行われるケースがほとんどのため、譲渡所得に該当 |
副業に係る所得 | 原稿料・講演料・ネットオークションでの売上による所得など |
雑所得に関しては公的年金等以外、副業で得た年間の収入から必要経費(※3・4)を差し引いてその金額を算出します。
この所得金額が年間で20万円を超えた場合は、翌年の2月16日~3月15日の期間内に所轄の税務署に確定申告を行わなければなりません。
※1出典:国税庁HP 所得の区分のあらまし
※2出典:国税庁HP 雑所得
※3出典:国税庁HP やさしい必要経費の知識
※4出典:国税庁HP 所得の種類・収入・必要経費の範囲等
事業所得とは
事業所得(※1)も10種類に区分された所得のひとつで、以下の業種が該当しますが、不動産売買や山林譲渡による所得は含まれません。
農業 | 米・野菜・果物などを育成し、生産物を得るもの |
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漁業 | 営利目的で魚介類を捕獲・養殖するもの |
製造業 | 食品・車など工場で原材料や部品を加工して製品を作るもの |
卸売業 | 小売業または他の卸売業に商品を販売するもの |
小売業 | 個人用または家庭用消費のために商品を販売するもの |
サービス業 その他の事業 |
飲食店・百貨店・美容院・ホテル・情報通信など、モノや技術・情報などのサービスを提供するもの |
副業での所得が事業所得に該当するかどうかは、以下のような事業的活動としての特性が認められることが判断基準になるといえるでしょう。
- 営利を目的としていること
- 継続した期間で、安定した収入が得られていること
- 本業と同等の時間を費やすなど独立性が高いこと
- 職業として認知されている社会的地位があること
また雑所得と同様に、副業で得た年間の収入から必要経費を差し引いた額が20万円を超えた場合は、確定申告を行う必要があります。
※1出典:国税庁HP 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
雑所得と事業所得の違い
副業での収入が、雑所得あるいは事業所得のどちらかに該当するかに関しては、税法上の明確な基準はありません。
ただし、副業をしても赤字になった場合、雑所得の場合は給与所得等の異なる所得区分から損失金額を控除する損益通算(※1)はできませんが、事業所得なら可能です。
また雑所得の確定申告は白色申告(※2)のみですが、事業所得であれば特別控除が受けられるなどメリットの多い青色申告(※3)が認められています。
※1出典:国税庁HP 損益通算
※2出典:国税庁HP 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
※3出典:国税庁HP 青色申告制度
副業収入は雑所得と事業所得のどちらにすべき?
副業での収入を事業所得にするメリットは、「雑所得と事業所得の違い」で述べたように、税務上の特例が使える点に尽きるでしょう。
青色申告で確定申告を行うことにより、以下のようなさまざまなメリットが受けられます。
- 青色申告による最大65万円の特別控除(※1)
- 家族を従業員とし給与が経費にできる青色専従者給与(※2)
- 事業で赤字を出した場合の3年にわたり可能な純損失の繰越しと繰戻し(※3)
- 30万円未満の少額減価償却資産の特例(※4)
ただし青色申告を行うには、個人事業主として事業の開始から1ヶ月以内に納税する管轄地域の税務署への「開業届」 (※5)と所得税の青色申告承認申請書(※6)の提出をして承認を受けなければなりません。
青色申告に関してより詳しい内容を知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
関連記事:副業サラリーマンが青色申告するメリット・デメリットとは
※1出典:国税庁HP 青色申告特別控除
※2出典:国税庁HP 青色事業専従者給与と事業専従者控除
※3出典:国税庁HP 青色申告制度
※4出典:国税庁HP 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
※5出典:国税庁HP 個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)
※6出典:国税庁HP 所得税の青色申告承認申請書
副業収入を事業所得で申告する場合の注意点
副業での収入を事業所得として申告する際に、特に注意しなければならない2点について、以下で解説していきます。
記帳や帳簿保存の必要がある
税務上のメリットが少ない白色申告は、仕訳が不要な単式簿記のため家計簿のような手軽さが特徴です。
一方、青色申告はメリットも多い分、事業における収支管理を複式簿記(※1)で記帳しなければなりません。
複式簿記は、簿記の知識がないとかなり手間を要しますが、最近は専用の会計ソフトやクラウドサービスの利用もできるため、以前よりハードルは下がっているといえるでしょう。
またこの帳簿は、取引に関して作成した契約書や注文書をはじめ、賃借対象表や損益計算書・受領した領収書などの書類と共に原則7年間保存(※2)しなければなりません。
※1出典:国税庁HP 記帳や帳簿等保存・青色申告
※2出典:国税庁HP 帳簿書類等の保存期間
事業所得として適切な所得である必要がある
税務上のメリットが大きい事業所得。それだけに雑所得と事業所得の線引きは慎重に成らざるを得ません。その仕事が専業であれば確実に認められるといえるでしょう。
副業の場合は、以下のように客観的に所得として適切である要件を満たしていないと、事業所得と認められないケースもあります。
特にトレード関連のビジネスは、どんなに利益を上げたとしても、事業所得とは認められません。
- 収入の規模
- 事業としての継続性と反復性
- 本業の給与所得などとの釣り合い
- 趣味の延長レベルでなく、事業といえる規模感
- 節税目的でないこと
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