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副業ノウハウ

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副業から起業は可能?法人化の流れや注意点の解説

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近年、副業から起業という形態をとり、個人事業主や法人化などの方法で開業される方が増えています。

本業の勤務先を辞めずに起業すれば収入が確保できる分、リスクも少ない点がメリットといえるでしょう。

本記事では副業で起業を検討される方に向け、開業についての流れや注意点まで詳しく解説していきます。

副業からの起業は可能?

副業から起業するには下記の2つの方法があります。

  • 個人事業主
  • 株式会社や合同会社などの法人化

法人を設立せずに、税務署へ開業届を提出したうえでフリーランスとして事業を営むのが個人事業主です。

一方、法人化は株主や社員などの出資者を募り、登記や定款などの作成もしなければなりません。

また、開業にほとんど費用がかからない個人事業主に比べて設立費用も20万~30万円ほど必要です。

個人事業主から法人化するケースもあるため、まず自分の状況にあった方法で開業するとよいでしょう。

副業から個人事業主として開業する流れ

副業から個人事業主として開業したら、事業内容や確定申告の方法、また家族を従業員にするかなど、状況に応じてさまざまな届出をしなければなりません。

基本的には税務署へ事業を開始するための開業届を提出すれば、個人事業主として名乗ることができます。

開業届を提出する

個人事業主として事業を始めるには、事業の開始から1ヶ月以内に納税する管轄地域の税務署へ「開業届」 (※1)を提出しなければなりません。

開業届は税務署の窓口か、国税庁のホームページ(※2)からフォーマットをダウンロードすることが可能です。

個人事業主として確定申告をする際、特別控除が最大65万円受けられる青色申告を希望する場合は、事前に「所得税の青色申告承認申請書」(※3)を税務署に提出する必要があります。

また、家族を従業員にする場合も、「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書(※4)の提出が必要です。

いずれも期限内に提出しないと、その年は白色申告しかできず、家族を従業員にした場合の給与を経費として計上することもできません。

提出期限は開業が1月1日から1月15日なら3月15日までに、1月16日以後なら2ヶ月以内です。

節税につながるという大きなメリットを受けるためにも、これら2つの届出書も開業届と一緒に提出するようにしましょう。

※1出典:国税庁HP 個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)
※2出典:国税庁HP [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
※3出典:国税庁HP 所得税の青色申告承認申請書
※4出典:国税庁HP 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

事業開始等申告書を提出する

事業開始等申告書(※1)とは、都道府県税事務所に個人事業の開業を申告する書類です。提出期限や提出先は各都道府県によって異なります。

例えば、東京都の場合は事業開始日から15日以内に東京都主税局へ、神奈川県なら1ヶ月以内に所轄の県税事務所への提出が原則となっています。

提出しなくても特にペナルティはありませんが、提出する場合は、検索ワードを「事業開始等申告書+都道府県名」にして提出先や期限、申告書の入手方法などを調べてみるとよいでしょう。

※1出典:東京都主税局HP 事業開始(廃止)等申告書(個人事業税)

副業から法人化する流れ

法人化は個人事業主より社会的信用度が高く、資金調達や人材確保のほかに、節税の面でも有利です。

副業から法人化する場合、「株式会社」か「合同会社」として会社を設立するケースがほとんどといえるでしょう。

ベンチャーキャピタルなどからの資金調達が視野にある場合や、将来的に株式上場を目指すなら株式会社が、飲食店やサロンなど小規模なビジネス展開であれば合同会社が最適です。

法人としては株式会社が最も信頼度が高いものの、「所有と経営の分離」の原則があるように、株主が増えればその分一人ひとりの発言権は小さくなり、自由度も狭まります。

一方、合同会社は出資者=経営者で所有と経営が分離していないため、意思決定が早く自由度も高いのが特徴です。

株式会社・合同会社のいずれも、法人化のための設立登記だけでなく、税務や社会保険・労働保険に関する手続きが必要になります。

申請に向けてさまざまな書類作成や、法務局や税務署などにも出向く必要があり、提出期限もそれぞれ違うため間に合うように用意しなければなりません。

書類作成や申請などに充てる時間のない方は、これら手続きの代行をする会社もあるので、利用するのもよいでしょう。

定款の作成・認証

定款(ていかん)とは会社を経営していくためのルールをまとめたもので、法人化においてもっとも重要な書類といえるでしょう。

定款に記載しなければならない内容は、会社法により定められており「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つが あります。

1つ目の絶対的記載事項とは、その名の通り法律的に必ず記載しなければならない事項のことで以下の6つになります。これが1つでも漏れていると定款を提出しても公証役場の認証は得られないため注意しましょう。

  • 商号(社名)
  • 事業目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名及び住所
  • 発行可能株式総数(株式会社設立の場合)

2つ目の相対的記載事項は、定款に記載がないとその効力が認められない事項で、以下の6つが代表的なものです。

ほかにも多くの事項がありますが、会社の形態や状況に合わせて記載が必要になるため、司法書士や弁護士などに相談することをおすすめします。

  • 株式譲渡制限の設定(株式会社設立の場合)
  • 取締役等の任期の延長
  • 株式名簿管理人の設定(株式会社設立の場合)
  • 株式の発行数(株式会社設立の場合)
  • 株主総会の通知と招集期間の短縮(株式会社設立の場合)
  • 取締役会、会計参与、監査役などの設置

3つ目の任意的記載事項は、上記2つ以外の事項で会社法や公序良俗に抵触しない限り、会社独自のルールなどを自由に定めることが可能で、定款に記載がなくても効力に影響はありません。

定款には特に決まったフォーマットはありませんが、紙か電子(PDF)のどちらかで作成する必要があります。

作成は行政書士に依頼するのが一般的で、完成までには数日をみるとよいでしょう。定款が完成して公証人役場で認証を受けた時点で、定款の効力が生じます。

定款を行政書士に依頼し、公証役場で認証を受けるまでの費用は下記の通りです。電子定款認証に対応している行政書士に依頼すれば収入印紙は不要なため、4万円の節約ができます。 

定款作成費用 3万~5万円程度(自分で作成した場合は0円)
定款収入印紙 4万円

定款認証手数料

設立する会社の資本金が100万円未満:3万円

設立する会社の資本金が100万円以上300万円未満:4万円

その他の場合:5万円

登記申請用の謄本 250円/枚

登記申請

会社を設立した際には、法務局へ会社登記(法人登記)(※1)を行わなければなりません。

この会社登記は法律で義務付けられているため、手続きは必ず行いましょう。

会社設立日に登記に必要な下記書類を法務局へ提出します。この各書類の様式や記載例(※2)などは法務局のHPから入手することが可能です。また、申請はオンライン(※3)か書面いずれでもOKです。

司法書士に委任した場合は、司法書士が代理で書類を提出します。

法務局に納める登録免許税が株式会社であれば15万 円かかりますが、オンライン申請に対応している司法書士事務所に依頼した場合は軽減されるため、14万5000円で済みます。

※1出典:法務局HP 商業・法人登記申請手続:法務局
※2出典:法務局HP 株式会社設立登記(取締役会を設置しない会社)記載例
※3出典:法務省HP 法務省:商業・法人登記のオンライン申請について
※4出典:法務局HP 登記申請書(取締役会を設置する株式会社の発起設立)記載例
※5出典:法務局UP 登録免許納付用台紙(2枚目参照)
※6出典:法務省HP 法務省:商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について

登記事項証明書の取得

登記事項証明書(※1)とは、会社や不動産など法務局に登記された内容を証明するものです。

金融機関からの融資や新規の取引開始時の与信チェックの際にも必要となる書類で登記謄本と同じものと考えて差し支えありません。

取得方法としては、法務局の窓口での交付(手数料600円/通)のほか、法務局のHPでオンラインによる請求(※1)後、窓口(手数料480円/通)か郵送(手数料500円/通)で受け取れます。

※1出典:法務局HP 登記事項証明書
※2出典:法務局HP 登記事項証明書(会社・法人)を取得したい方

法人の印鑑証明書の取得

定款を認証してもらうには発起人全員の印鑑証明書が、そして設立登記時には法人代表者の印鑑証明書が必要となります。

商号(会社名)が決まったら会社の実印と法人代表者の印鑑を作り、法務局(登記所)に印鑑カード交付申請書(※1)を提出しておきましょう。

この印鑑カードは法人の印鑑証明書の取得の際に必要なため、あらかじめ用意しておかなければなりません。

また印鑑は、会社設立後に銀行印や請求書発行時などに押印する角印も必要になるため、「実印」「銀行印」「角印」の3本を作成しておくと便利です。

登記所に提出する印鑑の大きさは、一辺の長さが1cmから3cmの正方形に収める必要があります(商業登記規則第9条第3項)。

印鑑証明書は印鑑提出者が本人の場合、法務局の窓口での交付(手数料450円)のほか、法務局のHPでオンラインによる請求(※2)後、窓口(手数料390円)か郵送(手数料410円)で受け取れます。

オンライン請求は申請用総合ソフトを使用し、印鑑提出者による電子署名が必要ですが、マイナンバーカードでも請求可能です。

※1出典:法務局HP 印鑑カード交付申請書
※2出典:法務局HP 会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方

税務署関連の手続き

会社設立後には法人税に関する下記4つの届出書類 を、事業所の所在地を管轄する税務署に提出しなければなりません。またそれぞれ提出期限が異なるため注意しましょう。

各届出書類に関しては、税務署の窓口のほかに国税庁のHP(※1)からもダウンロードで入手できます。

法人設立届出書 (※2) 会社設立日から2ヶ月以内
青色申告の承認申請書(※3)

会社設立日から3ヶ月以内または最初の事業年度終了日

いずれか早い方の前日

給与支払事務所等の開設届出書(※4) 会社設立日から2ヶ月以内

源泉徴収税の納期の特例の承認に

関する申請書(※5)

特になし/原則として提出した日の翌月に支払う

給与等から適用

※1出典:国税庁HP 新設法人の届出書類
※2出典:国税庁HP 法人設立届出書
※3出典:国税庁HP 青色申告の承認申請書
※4出典:国税庁HP 給与支払事務所等の開設届出書
※5出典:国税庁HP 源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書

社会保険関連の手続き

法人を設立した場合、合同会社・株式会社いずれにおいても健康保険と雇用保険などの社会保険に加入しなければなりません。

これは例えば代表取締役が1名でも役員報酬があれば同様で、個人事業の場合も従業員数にもよりますが、原則として上記社会保険への加入は必須です。

社会保険の加入は、下記届を事業所の所在地を管轄する年金事務所へ納期限までに提出しましょう。この届出書類は日本年金機構(※1)のHPからダウンロードできます。

健康保険・

厚生年金保険新規適用届(※2)

会社設立から5日以内

健康保険・厚生年金保険被保険者

資格取得届(※3)

被保険者資格を取得してから5日以内

健康保険被扶養者(異動届)

※対象者のみ(※4)

被保険者に扶養者がいる場合、被保険者を取得した日から5日以内

また副業で法人化する場合は、本業の会社を管轄する年金事務所に下記を届け出なければなりません。

健康保険被保険者証 事実発生から10日以内

健康保険・厚生年金・保険被保険者

所属選択・二以上事業所勤務届(※5)

事実発生から10日以内

この届出により本業の会社へ年金事務所から通知があるため、副業を内緒にしている方は会社に知られる可能性もあり、注意が必要です。

※1出典:日本年金機構HP 新規適用の手続き
※2出典:日本年金機構HP 健康保険・厚生年金保険新規適用届
※3出典:日本年金機構HP 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
※4出典:日本年金機構HP 健康保険被扶養者(異動届)
※5出典:日本年金機構HP 健康保険・厚生年金・保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届

副業から起業する場合の注意点

副業から起業する場合、どんな点に注意したらよいでしょうか?注意点を下記で解説いたします。

会社の規則を確認する

本業の勤務先で副業が容認されていることが前提となりますが、法人化をした場合社会保険への加入などにより、会社に知られてしまう可能性が非常に高くなります。

会社が副業を認めており、フリーランスや個人事業主はOKの場合でも法人化に関してはNGというケースもゼロではありません。

不要なトラブルを避けるためにも、あらかじめ副業を法人化しても問題がないかどうか、会社の規則を確認しておきましょう。

顧問税理士の必要性を検討する

個人事業主と法人化、いずれにしても起業する場合は、税理士へ顧問契約を依頼するかどうかを検討する必要があります。

特に法人化する際には、さまざまな書類の準備や煩雑な手続きをしなければなりません。

顧問税理士に依頼すれば書類の作成や手続きの他、下記のような資金調達で有利になる提案も受けられます。

  • 金融機関からの融資など起業資金の調達
  • 助成金や補助金申請時のサポート

また、お金に関するエキスパートである税理士のサポートがあれば、効果的な節税対策も確実にできるでしょう。何より事業に専念できて経営の効率化が図れるメリットがあります。

税理士に顧問契約を依頼した場合、顧問料は売り上げ1000万円未満の法人であれば月額1万~2万円程度が相場となります。

確定申告は、勘定科目の仕分けと申告書の作成であれば別途10万円前後を見ておくとよいでしょう。

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