human

人事ノウハウ

人事ノウハウ

ダイバーシティとは?企業の推進目的から具体的な進め方、関連用語までをわかりやすく解説

Shareする!

現代の企業経営において「ダイバーシティ」は、単なる流行語ではなく、持続的な成長を遂げるための重要な経営戦略として位置付けられています。

かつては女性活躍推進といった文脈で語られることが中心でしたが、現在ではその意味合いが大きく広がり、すべての従業員が持つ多様な個性や能力を活かすことが求められています。

本記事では、ダイバーシティの基本的な定義から、企業が推進する目的、具体的な進め方、さらに近年注目される関連概念まで、人事労務担当者が押さえるべき要点を体系的に解説します。

「静かな退職」と副業に関する実態調査レポート
  • 新卒入社35年未満の若手の89.5%が「静かな退職」に共感
  • 「静かな退職」で空いた時間を副業に活用が6割以上。本業は安定の土台に

ダイバーシティとは?基本的な定義と2つの側面

ダイバーシティとは、日本語で「多様性」を意味し、年齢、性別、国籍といった外見上の違いだけでなく、価値観や経験、能力といった内面的な違いも含め、個々の人々が持つ多様な属性や特性を尊重し、受け入れる考え方を指します。

この多様性は、大きく「表層的属性」と「深層的属性」の2つの側面に分けて理解することができます。

外から見える「表層的属性」

表層的属性とは、年齢、性別、国籍、人種、障がいの有無など、外見や経歴から比較的容易に識別できる個人の属性を指します。

これらは「デモグラフィックダイバーシティ」とも呼ばれ、従来ダイバーシティの文脈で語られてきた中心的な要素です。多くの企業が最初に取り組むダイバーシティ推進は、この表層的属性における格差の是正(例:女性管理職比率の向上、障がい者雇用の促進など)であることが少なくありません。

内面的な「深層的属性」

深層的属性とは、価値観、宗教、性的指向(SOGI)、職務経験、スキル、コミュニケーションスタイルなど、個人の内面に存在し外からは見えにくい属性を指します。

これは「タスクダイバーシティ」とも関連し、個人の経験や考え方の違いを示すものです。真にダイバーシティを推進するためには、この目に見えない深層的な違いを理解し、尊重することが不可欠です。また、異なる価値観や経験が交わることにより、新たなイノベーションが生まれる土壌が形成されるでしょう。

なぜ今、ダイバーシティが求められるのか?その背景と目的

現代のビジネス環境において、ダイバーシティが不可欠とされるのは、少子高齢化による労働力不足やグローバル化といった社会構造の変化に対応し、企業が競争優位性を維持・強化するためです。

その背景と具体的な目的は以下の通りです。

背景

労働力人口の減少

少子高齢化が進む日本では、従来の日本人男性中心の労働力モデルでは人材確保が困難になっています。女性、高齢者、外国人など、多様な人材の活躍が不可欠です。

・グローバル化の進展

海外市場への進出やインバウンド需要の取り込みには、多様な文化的背景を持つ顧客のニーズを理解できる人材が求められます。

価値観の多様化

はたらき方やライフスタイルに対する価値観が多様化しており、従業員は画一的なはたらき方ではなく、個々の事情に合った柔軟なはたらき方を求めるようになっています。

目的(企業側のメリット)

人材獲得競争力の強化

多様な人材がはたらきやすい環境を整備することで、採用市場における企業の魅力が高まり、優秀な人材を確保しやすくなります。

イノベーションの創出

異なる視点や価値観、経験を持つ人材が集まることで、同質的な組織では生まれにくい斬新なアイデアやイノベーションが促進されます。

従業員エンゲージメントの向上

誰もが自分らしくいられる職場では、従業員の満足度や組織への貢献意欲が高まり、生産性の向上や離職率の低下につながります。

職場におけるダイバーシティの推進とは?

職場におけるダイバーシティの推進とは、単に多様な属性の人材を採用するだけでなく、それぞれの人材が持つ能力を最大限に発揮できる環境と文化を意図的に構築していくプロセス全体を指します。

具体的には、性別や国籍に関わらず公平な昇進機会が与えられたり、育児や介護といったライフイベントに合わせて柔軟なはたらき方が選択できたり、マイノリティの声が経営層に届く仕組みが整備されたりするなど、制度面と風土面の両方からのアプローチが重要です。

多様な人材が「いる」だけの状態から、その多様性が「活かされている」状態へと転換させることが、ダイバーシティ推進の本質です。

企業がダイバーシティを推進するための具体的なステップ

ダイバーシティ推進を成功させるためには、経営層の強いリーダーシップのもと、全社的な取り組みとして体系的に進める必要があります。

ここでは、その具体的なステップを紹介します。

1. 経営層によるコミットメントと方針の明確化

まずは経営トップがダイバーシティ推進の重要性を理解し、その方針を明確なメッセージとして社内外に発信します。これが全ての取り組みの基盤となります。

2. 採用・評価制度の見直し

無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が入り込みやすい採用面接や人事評価のプロセスを見直します。たとえば、応募書類の性別欄をなくしたり、評価基準をより客観的で透明性の高いものにしたりする取り組みが有効です。

3. 管理職への研修(ダイバーシティ・マネジメント)

多様な部下を率いる管理職の役割は極めて重要です。無意識の偏見に気づき、部下一人ひとりの特性を理解し、その能力を引き出すための「ダイバーシティ・マネジメント」に関する研修を定期的に実施します。

4. 多様なはたらき方の整備

リモートワーク、フレックスタイム制度、時短勤務制度などを導入し、従業員が個々のライフステージや価値観に合わせてはたらき方を選択できる環境を整備します。

5. 社内コミュニケーションの活性化

異なる背景を持つ従業員同士が相互理解を深めるための機会を設けます。社内部活動や部門横断的なプロジェクト、従業員が主体となって運営するERGs(従業員リソースグループ)などが有効な手段となります。

ダイバーシティと合わせて理解すべき関連概念

ダイバーシティの理念を真に実現するためには、「インクルージョン」「エクイティ」「ビロンギング」といった関連概念を合わせて理解し、実践することが不可欠です。

インクルージョン(Inclusion:包摂)

インクルージョンとは、組織内のすべての従業員が「尊重され、受け入れられている」と感じ、組織の一員として参画できている状態を指します。

ダイバーシティが「多様な人材がいる状態(状態)」であるとすれば、インクルージョンは「多様な人材が活かされている状態(プロセス)」と言えます。この2つを合わせて「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」と呼ばれます。

エクイティ(Equity:公平性)

エクイティとは、個々の従業員が置かれた状況や特性の違いを考慮し、それぞれに必要な支援を提供することで、誰もが等しく機会を得られるようにする考え方です。

全員に同じものを与える「イクオリティ(Equality:平等)」とは異なり、個々の違いに応じた配慮を行う点が特徴です。近年では、D&Iにエクイティを加え、「DEI」として推進する企業が増えています。

ビロンギング(Belonging:帰属意識)

ビロンギングとは、従業員が「ありのままの自分でいても安全であり、組織に受け入れられている」と感じられる心理状態を指します。

インクルージョンがさらに深まり、従業員が心理的な安全性を感じながら組織に貢献できる状態であり、DEIが目指す究極のゴールとも言えます。

多様性を組織の力に変えるために

本記事では、ダイバーシティの基本的な定義から、企業が取り組むべき具体的なステップ、そして関連する重要な概念までを解説しました。

ダイバーシティの推進は、もはや社会貢献活動ではなく、企業の競争力を高めるための必須の経営戦略です。

しかし、多様な人材を集めるだけでは、かえって組織内に摩擦が生じることもあります。重要なのは、インクルージョンやエクイティの視点を持ち、一人ひとりの違いを尊重し、それを組織の力として活かす環境を粘り強く構築することです。

それは一朝一夕に成し遂げられるものではなく、終わりなき旅ですが、その先にこそ企業の持続的な成長があります。

御社の業務に副業社員を検討してみませんか?

今回は、企業のHR担当者が知っておきたい「ダイバーシティ」について情報をお届けしました。

そして、人事労務に限らず、御社が業務全体で課題を抱えている場合には、副業人材マッチングサービス「lotsful」を活用し、お悩みをスピーディーに解決してみてはいかがでしょうか。

コストや工数を抑えた人員補充が可能な採用プラットフォーム「lotsful」では、必要なスキルを持つ副業社員とスムーズに出会うことができます。

御社の業務の質と効率向上に向けて、「lotsful」はゴールまで伴走し、全力で支援いたします。一日も早い課題解決を目指すなら、ぜひ一度「lotsful」へご相談ください!

「lotsful」料金プラン
  • 副業人材マッチングサービス「lotsful(ロッツフル)」の料金プラン
  • 各領域のプロ人材を「初期費用0円」「決定まで完全無料」で業務委託採用

資料をダウンロードする

Shareする!

close close

lotsfulに興味をお持ちの方はこちら