
採用におけるスクリーニングチェックとは?目的や手法、注意点の解説
採用活動は、限られた時間やリソースの中で、自社が求める人材に対する初期段階での見極めを通じて、効率の良い選考を行う必要があります。
そこで重要となるのが、スクリーニングチェックの実施です。スクリーニングチェックを行うことにより、採用要件を満たす人材を早期に選別できるため、正社員採用にとどまらず、副業人材の導入や選考時にも有効に機能するでしょう。
本記事では、スクリーニングチェックを実施する目的や手法に加え、スムーズに進行させるためのポイントや注意点についても解説します。
スクリーニングチェックとは
スクリーニングチェックとは、採用選考の初期段階において、応募者の学歴などの基本的な情報だけでなく、「スキル」「経験値」「適性」「志向」といった要素を精査し、次の選考に進む候補者を選別するプロセスです。
スクリーニングチェックを実施することで、自社の採用要件を満たす人材を初期段階で絞り込むことが可能となり、精度の高い選考と面接官の工数削減を実現できます。その結果、選考全体の質とスピードが向上するでしょう。
スクリーニングチェックの目的
採用活動におけるスクリーニングチェックは、以下に挙げる5つの実現を目的としています。
採用基準を満たす候補者を効率的に選別する
スクリーニングチェックを活用することで、自社が設定した「スキル」「経験」「資格」といった採用要件を満たす候補者を、初期段階でふるい分けることが可能です。
採用条件に満たない人材はこの段階で除外できるため、限られたリソースを有望な候補者に集中させることができます。効率的な採用活動を進めるうえでも、スクリーニングチェックは欠かせないプロセスといえるでしょう。
選考プロセスの工数やコストを削減する
事前のスクリーニングチェックにより、採用要件に適合しない応募者を早期に絞り込むことができるため、その後の選考プロセスを大幅に効率化できます。
不要な書類選考や面接といった選考プロセスを省略できるため、人事部門や採用担当者の負担軽減につながり、結果として工数およびコストの削減を実現できます。
面接や次の選考段階での質を高める
スクリーニングチェックを通じて、応募者の「スキル」「経験値」「価値観・志向性」などの情報を事前に整理できるため、次の選考ステップへ進む候補者を明確に絞り込めます。
また、スクリーニングチェックの結果によって候補者の比較が容易になり、評価の軸を統一できるため、採用担当者間での主観的な判断に依存しない選考が可能となります。
ミスマッチ人材の早期除外により、採用精度を向上させる
スクリーニングチェックを活用することで、自社の採用要件に満たない候補者を早い段階で見極めることができます。その結果、有望な候補者に選考リソースを集中させることができ、採用精度の向上が期待できます。
さらに、自社の価値観や方向性にフィットした人材を選考段階で把握できるため、入社後も既存社員と円滑に連携しながら成果を上げやすくなります。こうしたマッチングの質が高まることで、生産性の向上にもつながるでしょう。
公平かつ一貫性のある評価基準で候補者を評価する
スクリーニングチェックでは、あらかじめ自社が求める人材に対する評価基準が明確に定義されていることが一般的です。そのため、候補者の選考時において、採用担当者それぞれのバイアスに左右されない評価が実現できるでしょう。
また、スクリーニングチェックは、共通のフォーマットを用いて行われることが多く、誰が担当しても特定の候補者に対する採否が偏ることなく、公平かつ一貫性のある選考が可能となります。
スクリーニングチェックの手法
スクリーニングチェックには、いくつかの手法があります。以下に代表的な6つの手法をご紹介します。
応募書類(履歴書・職務経歴書)の確認
スクリーニングチェックとして、履歴書や職務経歴書などの応募書類を確認する際には、以下のポイントを重点的に確認しておくと良いでしょう。
- 自社の採用要件と、応募者の「年齢」「学歴」「職歴」「資格」などが一致しているか
- 応募者に就業経験がある場合は、在籍期間や転職回数
- 「就業開始時期」「希望勤務地」「転勤可否」などの条件
- 志望動機の妥当性
- 応募者の注意力や常識を見極めるための誤字脱字の有無
WEBエントリーフォームやアンケートの入力内容の確認
WEBエントリーフォームやアンケートには、自由記述欄が設けられていることが多く、応募者の熱意や志望動機を見極めるうえで有効です。以下のポイントに注目して確認すると良いでしょう。
- すべての項目に漏れなく記載され、誤字がないか
- 応募書類と記載内容に相違がないか
- 自社の事業内容や職種に対する理解や熱意が伝わっているか
- 退職・転職理由にネガティブな表現が含まれていないか
- 入社後のキャリアプランが、自社の育成方針と合致しているか
資格・スキル・経験年数の条件照合
採用要件として、特定の資格やスキル、一定の経験年数を設定している場合には、以下のポイントを意識して確認を進めましょう。
- 必須資格の保有有無および、取得時期・有効期限の明記
- スキルレベルについて、実務レベルなどの具体的な記載があるか
- 関連業界および職種に携わった年数
- マネジメント経験の有無
簡易適性検査・オンラインテストの実施
簡易適性検査やオンラインテストの実施は、履歴書や職務経歴書では判断しきれない応募者の「基礎能力」「特性」「業務適性」などを、客観的に把握する手段として有効です。
実施に際しては、以下のポイントを重点的にチェックすることが求められます。
- 指示や質問内容に対する言語理解度の高さ
- 数字やデータを正確に読み取り、処理できているか
- チームワークの向き不向き
- ストレス耐性の程度
- 慎重さや処理スピード
動画・音声エントリーによる一次選考
動画や音声エントリーを活用した一次選考は、従来型の選考と比較して、応募者の実際の人物像や表現力、コミュニケーション能力などを把握する手段として有用です。よりリアルな情報を得られるという点で、導入を検討する価値があるでしょう。
効果的かつ具体的な実施ポイントを以下にまとめています。
- 志望理由や自己PRなど、応募者の人柄や熱意が伝わる質問を設定する
- 所用時間や回答形式、スマートフォンの使用可否など、録音・録画環境を応募者に明示する
- 動画や音声の「利用目的と範囲」を応募者に明確に伝える
ソーシャルメディアや公開プロフィールの確認
あらかじめ、応募者が使用しているソーシャルメディアや公開プロフィールを確認しておくことは、応募書類との不一致や経歴詐称の有無を見極めるうえで有効です。
これらを確認する際には、以下のポイントに注目すると良いでしょう。
- 応募書類やポートフォリオとの経歴および実績の一致
- 投稿・シェア内容の専門性や信頼性および適切性
- SNSにおける過去の炎上履歴の有無
スクリーニングチェックのポイント
スクリーニングチェックをスムーズに行うためには、いくつかの留意点があります。以下に挙げる5つのポイントを参考にしてください。
求める人物像・採用基準を事前に明確化する
スクリーニングチェックにおいて、自社が求める人物像や採用基準の明確化は最重要事項といえるでしょう。
人物像や採用基準が具体化されていない場合、応募者の評価にばらつきが生じてしまいます。評価の一貫性と公平性を維持し、選考スピードを高めるためにも、「経験・スキル」「特性・志向性」「勤務条件」などの基準は、あらかじめ明確にしておく必要があります。
必須条件(MUST)と歓迎条件(WANT)を整理し、優先順位をつける
応募者に求める条件を明確に設定することは非常に重要です。ただし、条件をやみくもに増やしてしまうと、選考の選択肢が狭まる原因になります。
そこで、自社にとって不可欠な「MUSTの条件」と、あればなお良いとされる「WANTの条件」とを分類し、優先順位をつけることで、効率的かつ柔軟な判断が可能になります。
評価基準を統一し、主観的判断を排除する
評価基準が統一されていないと、採用担当者ごとに判断が分かれ、公平な選考が難しくなります。
また、評価が属人化することで、採用活動全体の質も低下してしまいます。共通の評価軸があれば、複数の担当者が関与しても判断のばらつきを抑えられるうえ、選考の再現性や透明性も確保できるでしょう。
書類内容の一貫性や論理性も確認する
提出された応募書類については、記載内容に一貫性や論理性があるかを必ず確認しておきましょう。これにより、経歴詐称やスキルの誇張、虚偽申告などを見抜くことができます。
さらに、書類を精査することで、応募者の基本的なビジネスマナーや実務に必要な思考力の有無を把握する手がかりにもなります。
スクリーニング結果の理由を簡潔に記録し、透明性を保つ
スクリーニングチェックの結果については、必ず理由を含めて簡潔に記録しておきましょう。理由が明記されていない場合、採用担当者の変更時や再応募を検討する際に、判断の根拠が不明瞭となってしまいます。
また、明確な理由が一切記載されていない場合には、選考の一貫性や公平性が損なわれるおそれがあります。評価を属人化させず、透明性を確保するためにも、「採否の判断理由」「評価ポイント」「評価者名・日付」は必ず記録しておくことが望まれます。
スクリーニングチェックの注意点
スクリーニングチェックを実施する際には、以下に挙げる6つの注意点に十分留意したうえで進めることが重要です。
条件にこだわりすぎて優秀な人材を見逃さないようにする
スクリーニングチェックにおいては、「条件にこだわりすぎないこと」が重要な注意点の一つです。たとえば、求める経験値やスキルが多少不足していても、成長意欲や柔軟性の高い人材が存在する可能性があります。
条件を絞り込みすぎると、優秀な人材を見逃すおそれがあるうえ、条件に合致する応募者が減少し、結果として採用活動が長期化するリスクもあります。
多様性やポテンシャルを考慮し、過度に画一的にしない
自社業界や職種での経験が豊富な人材は、入社後に即戦力としての活躍が期待されるため、似たような経歴を持つ候補者に偏ってしまいがちです。
しかし、異なる経歴や視点を持つ人材が集まることで、柔軟な発想や新しいアプローチが生まれます。その結果、組織の活性化にも大きく寄与するでしょう。
過度に画一的な選考を避け、多様性や将来性を重視した採用こそが、組織の持続的な成長を支えるカギとなります。
法令(雇用機会均等法など)に違反しない基準設定を徹底する
スクリーニングチェックを実施する際には、「性別」「年齢」「国籍」「婚姻状況」などの個人的属性に基づいて選別してはなりません。これらの基準による判断は、雇用機会均等法などの法令に抵触し、自社の信用を損なう可能性があります。
さらに、SNS等による情報の拡散によって、顧客離れや採用難といった深刻な問題が生じるおそれもあります。場合によっては、行政機関から是正勧告を受ける事態に発展することも想定されます。
こうしたリスクを回避するためにも、法令に準拠した評価基準を徹底し、その内容は定期的に見直す必要があります。
応募者の個人情報の取り扱いに十分注意する
応募者の「氏名」「連絡先」「職歴」などは、個人情報として適切に保護されるべき重要な情報です。企業がこの管理を怠ると、信用の失墜のみならず、法的トラブルに発展する可能性も否定できません。
応募者の個人情報は、社内でもアクセス権限を制限するなど厳格に管理し、応募者に対しては「選考以外の目的には使用しない」旨を明示し、事前に同意を得るようにしてください。
評価理由や基準を候補者に説明できる状態にしておく
候補者に対する評価理由や基準は、必ず説明できるよう記録しておきましょう。たとえば、不採用となった候補者に対して明確な理由を説明できない場合、自社への不信感につながるおそれがあり、SNSなどで情報が拡散されるリスクもあります。
採用活動の透明性や公平性を担保し、今後の改善にもつなげていくためには、評価理由や基準を具体的に定義し、各選考ステージの通過・不通過理由を文書化しておくことが重要です。
御社の業務に副業社員を検討してみませんか?
今回は、効率と質の高い採用活動に不可欠なスクリーニングチェックについて、企業が事前に知っておくべき情報をお届けしました。
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