
リファラル採用が難しい理由とは?成功のコツは?
リファラル採用とは、既存社員に優秀な人材を紹介してもらう採用手法です。転職潜在層に出会えるといった利点がある一方で、思うように候補者が集まらなかったり、採用に至らなかった場合に紹介者・候補者の双方が気まずくなったりするなど、難しい側面もあります。
この記事では、リファラル採用が難しいといわれる理由を解説し、成功させるためのコツを紹介します。
また、採用業務には副業人材を活用する選択肢もあります。詳しくは記事の最後をご覧ください。
リファラル採用が難しいと言われる理由
リファラル採用は「社員紹介制度」とも呼ばれ、自社の社員が自社の採用条件にマッチする知人や友人を採用候補者として紹介する手法です。自社の仕事内容や企業文化をよく理解している社員から紹介を受けるため、採用のミスマッチを防ぐうえで効果的な手法ですが、思うような成果を上げられずに悩む企業も少なくありません。
ここからは、リファラル採用が難しいといわれる理由を7つ解説します。
紹介インセンティブが不十分
リファラル採用における代表的な課題の一つは、インセンティブ設計の不十分さです。
インセンティブ制度とは、リファラル採用で人材を紹介した社員に対して紹介報酬を支払う仕組みを指します。この制度が不十分であったり、報酬の内容が満足いくものでなかったりすると、社員が積極的に紹介しようとしなかったり、質の高い人材の獲得が期待できなかったりします。
紹介する側のバイアス
紹介する側のバイアスにより、採用基準とギャップのある人材を紹介されるケースがあります。
たとえば、紹介者が知人の能力やスキルを客観的に評価することが難しく、実際よりも高く評価してしまった結果、採用に至らなかったり、入社後に期待していたほどのパフォーマンスが得られなかったりするケースがその一つです。
紹介プロセスの煩雑さ
リファラル採用の紹介プロセスが複雑で分かりにくいと、社員にとって障壁となることがあります。
社員が通常業務とは別に時間を確保して紹介手続きを進める必要があるにもかかわらず、記入方法が分かりにくかったり、必要以上に多くの情報を求める紹介フォームが用意されていたりすると、社員の負担が増してしまいます。
また、紹介する際に複数の承認ステップや書類提出が必要な場合、手続きの煩雑さが原因で紹介を面倒に感じる社員が増え、結果として紹介件数が減少するリスクもあるでしょう。
企業文化とのミスマッチ
企業文化への適合性を十分に確認しないまま採用をすると、入社後にミスマッチが発生する可能性があります。リファラル採用では、経験やスキルだけでなく、カルチャーマッチするかどうかも慎重に検討する必要があります。
紹介者のバイアスが影響し、紹介する人材が企業文化に合うかどうかを正確に判断できなかったり、十分な確認がなされていなかったりすると、入社後にギャップが生まれ、早期離職につながる可能性もあります。
紹介できる人数の限界
一人の社員が知っている採用候補の数には限界があります。特に、スキルや能力を十分に把握している質の高い人材の紹介となると、そのハードルはさらに上がるでしょう。
また、一度紹介した人材が不採用になると、別の人材を紹介することに慎重になり、紹介数が減少する傾向もあります。
採用ニーズとの不一致
紹介を受けた人材が、自社の求める人材像と異なるケースもあります。採用担当者は、採用したい人材の要件定義を行い、スキルや能力だけでなく、コンピテンシー項目や価値観、カルチャーマッチなど、細かい基準まで理解を深めています。
しかし、リファラル採用においては、採用担当者ではない社員の採用基準に対する理解が不十分な場合、採用ニーズとの不一致が発生する可能性があります。
成功事例の不足
まだリファラル採用の成功事例が不足している段階では、その効果や意義を社員に説明するのが難しいケースもあるでしょう。
成功体験がないまま制度だけが存在すると、「紹介しても意味がない」という諦めの気持ちが広がり、リファラル採用の効果や重要性が社内に浸透せず、自発性が薄れてしまうことも少なくありません。
リファラル採用を成功させるコツ
ここまで見てきたように、リファラル採用には難しい側面があるものの、戦略と運用によっては、効果的な人材を獲得できるチャネルになり得ます。
ここからは、リファラル採用を成功させるためのコツを7つ紹介します。
魅力的なインセンティブの提供
社員が積極的に人材を紹介したくなるような、魅力的なインセンティブ設計は、リファラル採用成功のために不可欠な要素です。金銭的報酬に加えて、特別休暇の付与や社内イベントでの表彰、キャリア開発機会の提供など、非金銭的なインセンティブを考慮すると良いでしょう。
ただし、リファラル採用のインセンティブ制度を設計する際は、法的な問題が生じないよう注意が必要です。職業安定法(※1)第40条によると、①企業が厚生労働大臣の許可を受けている場合、②賃金・給料またはこれに準じるものでインセンティブを支払う場合のみ、例外的にインセンティブを支払うことが認められています。
また、就業規則の見直しや改定も必要です。労働基準法(※2)第15条によると「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定められています。そのため、リファラル採用が業務の一環であること、インセンティブの支払い時期や支給額、支払い条件などを就業規則で明記するようにしましょう。
※1出典:e-Gov法令検索HP『職業安定法』
※2出典:e-Gov法令検索HP『労働基準法』
シンプルな紹介プロセス
社員が人材を紹介する際の仕組みをシンプル化することも欠かせません。オンラインでの紹介フォームの記入項目は、必要な情報を精査し、社員の負担を軽減します。さらに、紹介時の承認プロセスを見直し、できる限り簡略化するのが望ましいでしょう。
紹介後の進捗状況を定期的に社員にフィードバックすることも重要です。紹介した人材の選考状況を知らせることで、社員の不安を取り除き、継続的な紹介意欲を維持できるように努めます。
社員への定期的な周知
リファラル採用を成功させるには、そもそもの制度の存在と重要性を社員に定期的に周知することが重要です。
全社ミーティングでの定期的なアナウンス、社内メールマガジンや社内報、イントラネットでの情報発信、部署ごとの説明会開催などを通じて、常にリファラル採用についての情報を社員と共有しましょう。
求める人材の明確化
リファラル採用で成果を上げるには、募集職種や具体的なスキル要件、成功事例などに加え、採用したい人材像についても十分に説明し、社員それぞれに理解を深めてもらうことが重要です。
その前段階として、採用部門で職種ごとに必要なスキルや経験、人柄などを具体的に示し、社員が自分の知人のなかから候補者を思い浮かべやすくなるよう工夫しましょう。
成功事例の共有
リファラル採用の成功事例を社内で共有することで、「実際に機能している制度であり、会社にとって有効なものである」という認識を広めることができます。
リファラル採用で入社した社員のインタビューを社内報で紹介したり、紹介者と入社者のペアストーリーを作成したりするなどの情報発信が施策の一つとなるでしょう。
社員のネットワーク拡大支援
リファラル採用の質と量を高めるためには、社員自身のネットワークを拡大する支援も効果的です。社外勉強会や業界イベントへの参加費用を補助したり、社内で業界の専門家を招いたセミナーを開催したりすることで、社員の人脈形成をサポートできます。
また、社員のSNS活用スキルを高めるための研修や、LinkedInなどのプロフェッショナルネットワークの活用方法についてのワークショップも有効です。
プライバシーの保護
リファラル採用を円滑に進めるためには、紹介された候補者と紹介者双方のプライバシーを尊重しなければなりません。紹介情報の取り扱いルールを明確に定め、社内で共有しましょう。
紹介された候補者の選考状況を紹介者に伝える際のプロトコルや、不採用の場合の理由の伝え方についてのガイドラインも重要です。プライバシーへの配慮が行き届いた運用が、安心して知人を紹介できる制度運営のカギになります。
御社の採用業務を副業社員に任せてみませんか?
この記事では、リファラル採用が難しいと言われる理由と、それを成功させるためのコツについて解説してきました。リファラル採用を導入しているものの、なかなかうまく機能していない企業もあるかもしれません。しかし、適切な戦略や運用によっては、優秀な人材を獲得できる採用手法へと発展させる可能性も秘めています。
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