人事ノウハウ

売り手市場の影響で人材獲得競争が激化し、採用活動に課題を抱える企業が多くなっています。

また、採用活動のオンライン化の普及により、多種多様な採用ツールが登場しているため、副業人材の獲得にも有効です。

今回は、採用ツールを導入するメリットのほか、現在のトレンドや選び方について、詳しく解説していきます。

採用ツールとは

採用手法が多様化した現在、企業の採用活動を効率よく進めるには、採用ツールの活用が欠かせません。

従来の採用ツールといえば、パンフレットや求人雑誌など紙媒体が主流でした。しかし、採用活動のDX化やオンライン化が進んだ昨今は、より高度なものに変わってきています。

採用ツールの代表例としては、企業情報を発信する採用ブログやSNS、採用動画はもちろん、業務効率化に役立つATS（採用管理システム）やWeb面接ツールなども含まれます。

採用ツールのトレンド

さまざまな採用ツールがある中、現在のトレンドともいえる6つの採用ツールについて、以下の項目ごとに解説していきます。

ATS（採用管理システム）

ATS（Applicant Tracking System：採用管理システム）は、さまざまな採用業務の効率化が図れるため、導入する企業が増えています。

「求人情報の作成」「候補者の情報管理」「面接評価」「内定者フォロー」といった採用業務を同じシステムで行えるため、社内での情報共有や選考の進捗管理がスムーズになります。

ただし、導入にはそれなりの初期費用と月々の利用料金が発生します。システムによって向き不向きがあるため、費用対効果を考慮したシステムの選択が肝心です。

ATSに関しては、以下の記事もご覧ください。
関連記事：ATS（採用管理システム）とは？主な機能や導入の比較ポイント

WEB面接ツール

採用業務のオンライン化の普及により、WEB面接ツールで面接を実施する企業も増加しています。

オンライン面接や録画面接ができるため、遠方に住む求職者でも気軽に応募できる点が最大のメリットといえるでしょう。

また、企業側にとっても応募が増えるだけでなく、面接前後の候補者対応や面接会場の用意、交通費の支給が不要になるため、選考プロセスの効率化とコスト削減が同時に実現できます。

ただし、セキュリティリスクが懸念されるため、十分なセキュリティ対策を講じる必要があります。

SNS

20代を中心とした若年層の情報収集源は、X（旧Twitter）やInstagramといったSNSが主流になっています。

このため、SNSを自社の採用活動に活用する企業も増えてきました。アカウント開設や情報発信は基本的に無料でできるため、非常にコストパフォーマンスの高い採用ツールといえるでしょう。

通常の採用活動ではアプローチできない層にも広く認知してもらえるメリットがある一方、即採用につながるわけではありません。

発信する情報の工夫が必要なため、ある程度の時間をかけることが求められます。

ダイレクトリクルーティング

求職者が登録されたデータベースから、自社が求めるスキルや経験を持つ人材に対して直接アプローチするダイレクトリクルーティングも、質の高い採用ができる手法として人気です。

かつてのような「自社の求人を出して応募者を待つ」というスタイルとは異なり、企業側からの攻めの採用活動となるため、大企業と比べて認知度が低い企業でも有効な方法といえるでしょう。

ただし、企業が候補となる人材を探し出し個別にアプローチするためには、多くの時間とリソースが必要です。担当者の業務量なども踏まえ、場合によっては外部の代行業者に任せるのもおすすめです。

ダイレクトリクルーティングについては、以下の記事もご覧ください。
関連記事：ダイレクトリクルーティングとは？メリットデメリットや費用相場を解説

採用オウンドメディア

企業自らが運営するオウンドメディアなら自社の魅力を直接アピールできるため、企業ブランドを強化できるうえ、自社独自のカルチャーや価値観を詳細に伝えることができます。

求職者も、自身がどのような企業で働くのかイメージしやすいため、応募のきっかけにつながるでしょう。

メリットがある一方で、コンテンツの作成や更新には時間とリソースを割かなければなりません。

このため、スキルの高い専門の担当者を配置し、対応を行う必要があります。

採用動画

SNSやYouTubeをよく利用している層に対して、視覚に訴える採用動画は非常に効果的です。視聴している求職者の関心を引きやすく、エンゲージメントも高くなるでしょう。

さらに、多くの情報を短時間で効率的に伝えることが可能なため、企業のビジョンやミッション、社風をスピーディーに理解させることができます。

ただし、魅力的な動画を作成するには撮影機材や編集ソフトを揃える必要があり、技術も求められます。

また、外部の制作会社に依頼した場合、かなりのコストがかかる点も認識しておきましょう。

採用ツール導入のメリット

自社の採用活動において採用ツールを導入すると、以下に挙げる5つのメリットが得られます。

業務効率化

採用ツール導入の最大のメリットは、さまざまな採用プロセスにおいて大幅な業務効率化が図れることでしょう。

たとえば、ATS（採用管理システム）は、候補者の情報を集約しながら、求人票の作成、応募者の追跡、面接のスケジューリングなどを自動化します。

また、データ分析ツールなどを活用すれば、過去の採用データの分析や把握を通じて、より効果的な採用戦略を立案できます。

採用ツール導入により、手作業による負担やミスが軽減される点も魅力でしょう。

候補者データの一元管理

すべての候補者データを一元管理できるため、情報検索や更新が迅速かつスムーズに行えます。

これまで手作業で行っていたデータ入力やデータ管理の手間を大幅に削減できる点は、採用ツール導入の大きなメリットといえるでしょう。

リモート対応

遠方の求職者の場合、応募をためらうケースもあります。WEB面接ツールなど、リモート対応できる採用ツールを導入すれば、地理的な制約を受けることなく多様なバックグラウンドやスキルを持つ求職者を見つけやすくなるでしょう。

また、求職者と企業のスケジュール調整が容易になるため、時間帯や場所に縛られない面接が可能です。

候補者体験の向上

リモートで対応できる採用ツールは、候補者にとっても利便性が高く、移動の手間や時間を省くことができるため、候補者の満足度が向上します。

また、チャットツールやフィードバックツールを活用すれば、候補者からの問い合わせや面接後のフィードバックを迅速に対応できます。

これらの候補者体験は、不安や疑問の解消に役立ち、候補者体験の向上が期待できるうえ、企業のイメージアップにもつながるでしょう。

データ分析

採用ツールはデータ分析機能も備えています。採用プロセスの各ステージでの通過率や弱点を特定できるため、効率的なプロセス改善が可能となり、採用活動全体のスピード化が図れます。

また、候補者のスキルや経験をデータで評価することで、より適切な人材の見極めが可能です。このため、採用時のミスマッチが少なくなり、定着率向上が期待できるでしょう。

採用ツールの選び方

採用ツールを導入する際は、以下に挙げる7つのポイントを考慮しましょう。

機能の充実度

採用ツールの選定においては、自社の採用戦略や目標に合ったツールを選ぶことが重要です。また、汎用性の高いものを選ぶことで、コスト削減にも役立ちます。

ATS（採用管理システム）には無料で利用できるものもありますが、機能が限定されるため、自社のニーズに合う機能が搭載されたものを選びましょう。

使いやすさ

採用ツールを導入する際は、操作性の高さも重要です。機能が充実していても、使いづらいツールや、頻繁にメンテナンスが必要なツールでは、パフォーマンスが低下してしまいます。

誰でも直感的に操作できる採用ツールを導入することで、よりスムーズで効率の良い採用業務を実現できるでしょう。

カスタマイズ性

企業によって、採用プロセスや評価基準は異なります。このため、カスタマイズ性の高い採用ツールを活用することで、自社の採用フローに最適な設定が可能になります。

また、カスタマイズ性の高い採用ツールは、採用市場の変化や企業の成長に伴う採用戦略・要件の変更にも柔軟に対応ができるため、長期的な活用が期待できます。

セキュリティ

採用ツールを導入するうえで、セキュリティ対策が万全なツールの選択は非常に重要です。

採用プロセスでは、応募者の氏名や住所、履歴書などの個人情報を扱います。セキュリティ対策が不十分な採用ツールや環境では、情報漏えいのリスクが伴います。

個人情報の流出は、応募者のプライバシーを侵害するだけでなく、企業の信頼性を損なう要因にもなり得るため、採用ツール利用時には万全なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

連携機能

採用ツールがさまざまな機能と連携することで、採用活動の効率はさらに向上します。

たとえば、メールやスケジューリングツールと連携することで、応募者とのやり取りがスムーズになり、スケジュール調整も容易になります。その結果、応募者の満足度向上にもつながるでしょう。

また、分析ツールと連携することで採用活動のデータを簡単に分析し、レポートの作成が可能になります。これにより、自社の採用戦略の効果を評価し、改善点を見つけやすくなります。

サポート体制

採用ツールの導入時には、サポート体制の充実度にも注目しましょう。サポート体制が整っている採用ツールを選択することで、トラブル発生時にも迅速な問題解決が可能です。

また、設定やカスタマイズを行う際に、手厚いサポートやトレーニング体制があると、操作方法に戸惑うことなく、早期にツールの効果を実感できます。

コスト

採用ツールは、SNSのように基本的に無料で活用できるものもありますが、多くの場合、初期費用や利用料が発生します。

また、システムの更新や情報発信などに社内リソースを割く必要がある場合も多く、人的コストがかかる点も考慮しておきましょう。

それぞれのツールには向き不向きがあるため、自社の規模感やニーズに合わせて、用途にマッチした採用ツールの選択をおすすめします。

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今回は、採用ツールの導入を検討される企業経営者や採用担当者の方に向けて、役立つさまざまな情報をお届けしました。

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