副業を始める際の注意点7つとメリット4つを解説
世の中で生き方や働き方が多様化しているなか、副業を解禁する企業が年々増えてきています。そのようななか、本業とは別に副業にチャレンジしてキャリアアップを目指したいと考えている人もいるでしょう。この記事では、副業を始める前、始めた後の注意点7つとメリット4つをまとめ、詳しく解説します。
副業を始める前の注意点
2022年10月に一般社団法人 日本経済団体連合会から発表された『副業・兼業に関するアンケート調査結果』(※1)によると、53.1%の企業が自社の社員が副業・兼業することをすでに「認めている」と回答しています。厚生労働省が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』(※2)を発表し、『モデル就業規則』から副業禁止の規則を削除した2018年時点で、副業を「認めている」と回答した企業が29.8%に止まったことから、急速に副業を認める流れが加速化していることがわかります。
一方で、まだ副業を認めていない企業が、半数近くあるのが現状です。事前に勤め先の就業規則を確認し、副業を禁止していないかを明確にしておく必要があります。副業を許可している場合でも、事前申請が求められるケースもあり、これら規則に違反した場合は、減給や解雇といった厳しい処罰が与えられる可能性があるため、注意しましょう。
なお、国家公務員・公務員の場合は、それぞれ『国家公務員法』の第103条、104条(※3)、『地方公務員法』第38条(※4)に抵触するため、基本的に副業は禁止されています。
※1出典:一般社団法人 日本経済団体連合会『副業・兼業に関するアンケート調査結果』
※2出典:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン』
※3出典:内閣官房内閣人事局『国家公務員の兼業について(概要)』
※4出典:e-Gov法令検索HP『地方公務員法』
副業を始めた後の注意点
勤め先の企業で副業が認められていることを確認し、正しいステップを踏み許可を得れば、次はいよいよ案件受注です。ここからは、副業を開始した後の注意点6つを紹介します。
時間と体調の管理
副業し始めて初期の段階で苦労するのが時間と体調の管理かもしれません。
平日は朝から夕方まで本業に従事し、業務終了後の夜や休日に副業をすることになります。個人で仕事を受注しすぎるあまり、寝不足になったり、心身不調になったりすると本業に支障をきたす場合もあるでしょう。そうなってしまうと本末転倒です。
初めの段階は、週に数時間で完結できる仕事を受注するなど、心身に負担が少ない労働から始め、慣れてきてから徐々に仕事量を増やしていくと良いでしょう。あくまでワークライフバランスを実現し、無理のない範囲で副業でのスキルアップを目指してくださいね。
守秘義務の遵守
企業への在職中、労働者は『労働契約法』(※1)の「労働契約の原則 第三条4」で、業務で知り得た企業秘密を第三者に漏えいすることや目的外に使用してはならない、秘密保持義務を負います。これは、労働者が会社に対して負う、誠実義務の一つとされています。
“労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない”
『労働契約法 第三条(労働契約の原則)4』
本業で得られた知識やスキルをベースに副業を始める人が多いと思いますが、企業秘密の持ち出しや企業で得た個人情報、インサイダー情報の社外使用は決して許されません。これらに違反すると、懲戒解雇や損害賠償責任といった重い処罰を受けることがあるので十分に注意しましょう。
※1出典:e-GOV法令検索HP『労働契約法』
副業の所得区分の確認
所得税は、副業で得られた1年間の利益から所得控除を差し引いた残りの所得に課税されたものを指します。所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類に分けられ、それぞれで所得の計算方法や経費の範囲が定められています(※1)。
副業で仕事をする人の多くの場合、事業所得、給与所得、あるいは雑所得に分類されることが多くなります。事業所得か雑所得かについては、事業規模や、独立・継続して行われる仕事内容かどうかなどで総合的に判断されます。これら区分により、社会保険への加入や確定申告の方法が異なるため、何に該当するかを確認しておきましょう。
※1出典:国税庁『所得税のしくみ』
社会保険の支払い有無の確認
副業する際、開業して個人事業主として仕事をする場合と、非正規社員として勤務するケースがあります。その際、両者いずれかで社会保険料が異なる可能性があります。
社会保険の加入要件は以下の通りです(※1)。
“適用事業所となる場合、次のアまたはイの方は健康保険・厚生年金保険の被保険者となり、「被保険者資格取得届」等の提出が必要となります。
ア.正社員の方
『健康保険・厚生年金保険の適用事業所における適用業種(士業)の追加(令和4年10月施行)』
イ.パート・アルバイトのうち、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上である方”
すなわち、非正規社員として勤務する場合で、労働時間が社会保険の加入要件を満たしてしまった場合には、本業先の企業と同様に副業先にも社会保険料の支払いが必要です。一方で非正規社員として勤務する場合でも加入要件を満たさない場合や個人事業主として仕事を受注する場合には、企業に属する労働者と見なされないため社会保険の適用はありません。
※1出典:日本年金機構『健康保険・厚生年金保険の適用事業所における適用業種(士業)の追加(令和4年10月施行)』
確定申告が必要になる場合がある
事業所得(※1)は、副業で得た総収入額から必要経費(※2)を差し引いた額を指し、これに所得税がかかります。副業で年間20万円以上の事業所得を得た場合には、本業とは別に確定申告をしなければなりません(※3)。一方、20万円を超えていない場合、確定申告の必要はありません。
確定申告についてさらに知りたい人は、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:副業で確定申告は必要?基本からわかりやすく解説
※1出典:国税庁『No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)』
※2出典:国税庁『No.2210 やさしい必要経費の知識』
※3出典:国税庁『確定申告が必要な方』
課税額が増える
所得税は、1年間で得た全ての所得に対してかかる税金です。そこから所得控除を差し引いた残りに税率を適用し、次の年に支払う税額が決定されます。副業での所得が増えれば増えるほど、累進課税制度に従い、所得税が高くなります。その点は認識しつつ、年末調整や確定申告時には正しく所得と所得控除を申告しましょう。
所得税の税率は、5%から45%の7段階に区分されています(※1)。
課税される所得金額 | 税率 |
1,000円〜194万9,000円 | 5% |
---|---|
195万円〜329万9,000円 | 10% |
330万円〜694万9,000円 | 20% |
695万円〜899万9,000円 | 23% |
900万円〜1,799万9,000円 | 33% |
1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
※1出典:国税庁『No.2260 所得税の税率』
会社員が副業を始めるメリット
ここまでで、副業を始める際の注意点を紹介してきました。副業は税金の管理や心身の維持など大変なことが多々ある一方、チャレンジするメリットも複数あります。ここでは副業を始めるメリットを4点まとめます。
収入が増える
まず、副業にチャレンジする多くの人が目的の一つとして述べるように、本業と別に仕事をすることで収入が増えるのがメリットの一つです。今勤めている企業内で昇進したり、キャリアアップのために転職したりして本業一本で収入アップが期待できる場合もありますが、いずれも今すぐに実現するのが難しいこともあるでしょう。一方、副業はその気になれば今すぐに挑戦し、早ければ当月中に新たな収入源が得られることもあります。
人脈が増える
本業の勤め先で、人間関係にマンネリ化を感じている人もいるかもしれません。副業では、新たな人に出会い、新しいチームで仕事する機会が得られます。このように人脈が増えるのも副業での大きなメリットでしょう。新たにつながった取引先からさらに別の仕事や人へとつながるケースもあり、思ってもみなかったご縁が広がっていく可能性があります。
経験の幅が増える
副業では、本業で培ったスキルをベースにさらに得意分野や専門分野を突き詰める機会になるでしょう。副業での知識や経験が、本業で役に立ったり活かせたりし、相乗効果も期待できます。また、本業と関係のない全く別の仕事にチャレンジしたい人もいるかもしれません。会社にいながら自己実現でき、これまで知らなかった自分の強みを改めて認識する機会になるかもしれません。
独立の土台になる
収入、人脈、経験と3つのメリットを紹介してきましたが、これら全てを鑑みて将来的に独立・開業・起業を目指す人にとって副業するメリットは大きくなります。
「これを事業化する」と目的を持って起業する人だけでなく、個人事業主やフリーランスという働き方が自分のライフスタイルに合っていることから選択する人もいるでしょう。本業の傍ら収入源や独立後に取引できそうな企業や人とつながっておくことで、安定したメンタルで退職・開業の準備ができるといえます。
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この記事では、副業を始める前後の注意点6つとメリット4つをまとめ、詳しく解説してきました。
平日は朝から晩まで本業で忙しいサラリーマンにとって、本業後の自分の時間や休日にさらに副業するのは簡単なことではありません。ただ、その分キャリアアップの機会になり、将来の自分に良い影響をもたらしてくれるでしょう。
『lotsful』では、専任のタレントプランナーが一人ひとり希望をヒアリングし、案件をご紹介します。自分のペースで少しずつ副業を始めて、キャリアアップを目指しましょう。