副業収入の所得税はいくらになる?計算方法の解説
働き方の多様化により身近になった副業。会社員の方なら実際に副業で給料を得てみると、所得税などの税金をどうしたらよいか、気になる面も出てくるでしょう。
今回は、知っておきたい所得税の計算方法や「収入」と「所得」の違い、また年間の所得がいくらになったら確定申告をしなければならないか?などについて詳しく解説していきます。
副業で給料を得た場合の所得税計算
副業で給料を得た場合、所得税はどのようにして計算すればよいでしょうか。
以下に計算方法と具体的な計算例をまとめていきます。
所得金額の計算方法
所得は、その性質によって10種類(※1)に分かれています。
副業をしている場合、本業とは別の企業で行っていれば「給与所得」(※2)で、個人で事業を行っている場合なら「雑所得」(※3)に該当するといえるでしょう。
所得税を計算するには、まず自分が副業で得た収入から所得金額を割り出さなければなりません。
●副業で得た給料が「給与所得」の場合
計算式 | 収入-給与所得控除(※4)=所得金額 |
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計算例 | 収入が400万円で給与所得控除額124万円(400万円×20%+44万円)の場合 所得金額:400万円-124万円=276万円 |
給与所得控除は収入額によって以下のように控除額が決まっています。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
162万5000円まで | 55万円 |
162万5001円~180万円まで | 収入金額 × 40%-10万円 |
180万1円~360万円まで | 収入金額 × 30%+ 8万円 |
360万1円~660万円まで | 収入金額 × 20%+44万円 |
660万1円~850万円まで | 収入金額 × 10%+110万円 |
850万1円以上 | 195万円(上限) |
一方、個人で事業をおこなっている場合この給与所得控除がありません。代わりに、事業を行ううえでかかった光熱費や備品などの「必要経費」(※5・6)を収入から差し引くことができます。
●副業で得た給料が「雑所得」の場合
計算式 | 収入-必要経費=所得金額 |
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計算例 | 収入-必要経費=所得金額 収入が100万円で必要経費が10万円かかった場合所得金額:100万円-10万円=90万円 |
※1出典:国税庁HP 所得税のしくみ
※2出典:国税庁HP 給与所得となるもの
※3出典:国税庁HP 雑所得
※4出典:国税庁HP 給与所得控除
※5出典:国税庁HP やさしい必要経費の知識
※6出典:国税庁HP 事業所得の課税のしくみ
課税所得額の計算方法
以下で課税所得額の計算方法をご紹介します。
計算式 | 課税される所得金額=所得金額-所得控除(※1) |
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計算例 | 本業の給与収入(A)が400万円で副業の雑所得(B)が100万円、基礎控除額(b)が48万の場合 A.400万円-124万円(給与所得控除)=276万円 B.100万円-10万円(必要経費)=90万円 C.A+B=276万円+90万円=366万円(所得金額/a) 課税所得金額:a-b=366万円-48万円=318万円 |
所得控除とは、扶養家族の人数や支払った医療費、生命保険・地震保険の支払いなど納税者の事情に合わせて、所得税の負担を軽減するために設けられている控除です。
控除の種類と控除額については以下の通りになります。
雑損控除 | 災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用 | 以下のいずれか多い方 ・(差引損失額)-(総所得金額等)×10% ・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円 |
---|---|---|
医療費控除 | 一定額以上の医療費を支払った場合に適用 ※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含む |
(支払った医療費-保険金などで補填される金額)-10万円 ※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額×5% |
社会保険料控除 | 健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用 ※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含む |
支払った保険料の合計 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用 | 支払った掛金の合計額 |
生命保険料控除 | 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用 | 一定の方法で計算した金額(最大12万円) |
地震保険料控除 | 地震保険料を支払った場合に適用 | 一定の方法で計算した金額(最大5万円) |
寄付金控除 | ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした場合に適用 | 「寄附金支出合計額」と「所得 ×40%」のいずれか少ない方-2000円 |
障害者控除 | 納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用 | 一人につき、 ・障害者27万円 ・特別障害者40万円 ・同居特別障害者75万円 |
寡婦控除 | その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦に適用 ※寡婦控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更 |
一定の方法で計算した金額(最大12万円) |
ひとり親控除 | 納税者がひとり親であるときに適用 ※ひとり親控除は2020年分の所得税から適用 |
35万円 |
勤労学生控除 | 学校に行きながら働いている場合に適用 ※ただし、合計所得金額が75万円以下 |
27万円 |
配偶者控除 | 配偶者の合計所得が48万円以下の場合に適用(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) | ・一般控除対象配偶者/最大38万円 ・老人控除対象配偶者/最大48万円 (控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上) |
配偶者特別控除 | 納税者の合計所得が1000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である場合に適用 | 控除を受ける納税者本人の合計所得金額が最大38万円 |
扶養控除基礎控除 | 16歳以上の子どもや両親などを扶養している場合に適用 | ・一般控除対象扶養親族は38万円 ・特定扶養親族は63万円 (扶養親族が19歳以上23歳未満) ・老人扶養親族は最大58万円 |
基礎控除 | 全ての人に適用 | 所得金額によって最大48万円 |
出典:国税庁HP 所得控除のあらまし
所得税額の計算方法
それぞれの所得は収入や必要経費の範囲、あるいは所得の計算方法などが定められています。
計算式 | 所得税額=課税される所得金額×所得税の税率 |
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計算例 | 所得金額が400万円の場合 所得税額:400万円×20%-42万7500円=37万2500円 |
日本においては所得が高くなるほど税率(※1)が高くなる「累進課税制度」(※2)が採用されており、その税率と控除額は以下の通りとなります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1000円~194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円~329万9000円まで | 10% | 9万7500円 |
330万円~694万9000円まで | 20% | 42万7500円 |
695万円~899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円~1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
1800万円~3999万9000円まで | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
※1出典:国税庁HP 所得税の税率
※2出典:国税庁HP 用語集 | 税の学習コーナー
「収入」と「所得」の違い
一見同じような意味に思われる「収入」と「所得」ですが、所得税や個人住民税などの税金の側面においてこの2つは全く意味が異なってきます。
収入 | 給与や報酬・賞与など年間の合計収入(年収)のこと |
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所得 |
会社員など「給与所得」の場合:収入から給与所得額を差し引いたもの 個人事業主など「雑所得」の場合:収入から必要経費を差し引いたもの |
所得税などの税金や社会保険料が引かれる前の給与や、売り上げそのものの金額を指す収入に対して、所得は収入から税金と社会保険料や掛かった経費を差し引いた金額を指します。
副業をした場合、確定申告はいくらから必要?
副業をして一定額の所得を得た場合には、自分で確定申告を行う必要があります。以下に確定申告の基準となる額と注意点について簡単にまとめています。
原則として副業で得た所得が年間20万円を超えた場合、翌年の2月16日~3月15日の間に税務署へ「白色申告」(※1)と「青色申告」(※2)いずれかの方法で確定申告を行わなければなりません。
白色申告は提出書類が少なく帳簿付けもシンプルな分、税制上の特典は少ないのが特徴です。一方、青色申告で確定申告を行うと、特別控除が最大で65万円受けられる、大きなメリットがあります。
ただし、青色申告の場合は、事前の届出の提出や複式簿記が義務付けられているなど、手続きが複雑という点がデメリットといえるかもしれません。
また年間所得が20万円以下なら確定申告は不要ですが、住民税は市区町村の役所・役場へ申告しなければならないため注意が必要です。
確定申告を行えば、税務署から住民税の通知が市区町村の役所・役場へ行くため手間が省けます。この点でも確定申告を行うメリットはあるといえるでしょう。
確定申告に関するより詳細な情報を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
※1出典:国税庁HP 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
※2出典:国税庁HP 青色申告制度
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