2022.1.11

【自治体×副業人材】大田区商店街のDX推進!デジタルツール導入による、業務効率化に向けた副業活用


今回、「lotsful magazine」が取り上げるのは、大田区の商店街DX化に向けた副業人材活用事例です。

都内最多の140の商店街が存在する大田区では、大田区商店街連合会と各商店街の体系化や各商店街の事務機能の効率化・標準化に課題を抱えていました。作業レベルのことは体制を整えて効率化・標準化を図り、それぞれの商店街がよりクリエイティブな活動に時間を割けるようにしていきたい、というのがDX化の狙いです。そこで、大田区の支援のもと大田区商店街連合会が主体となり、商店街運営のDX化を推進。デジタルツール導入ための副業人材活用プロジェクトをスタートさせました。

そして、業務効率化・DX化を推進する副業人材2名(近藤氏・細見氏)をlotsful経由にて採用。将来的なデジタルツール導入や内部人材育成を視野に、商店街の事業運営力の向上を目指しました。なぜ本プロジェクトを内部の人材ではなく、副業人材に任せることにしたのか?その理由や背景について、大田区産業振興課・吉原氏と大田区商店街連合会事務局長・河野氏からお話を伺いました。さらに、本記事の後半では、プロジェクトに参加した2名の副業人材のインタビューもお届けします。

商店街の課題解決に向けて、デジタルの力が必要

――はじめに大田区の商店街の業務効率化・DX化を進めた背景を教えてください。

吉原氏 : 大田区は都内最多の140もの商店街がある街です。私たちが商店街と関わる中で、その活性度合いと運営業務の効率化には、相関関係があるという一つの仮説を立てていました。そうした中でコロナ禍が始まり、商店街も大きな打撃を受けたのです。運営が昔からアナログで、属人化している商店街では、関係者同士が話し合いを行うこともしにくい状況。そのため、都や区が発信しているコロナ関連の情報も、商店街に届きにくい状態になりました。

“会えない、話し合えない、情報が届かない”。このような課題が浮き彫りになってきた中で、情報をオンライン化するなど、商店街も新しい生活様式に合わせた運営方式に変わるチャンスと捉えました。そこで、商店街運営を業務効率化・DX化することにしたのです。


▲大田区 産業経済部 産業振興課 商業振興担当 主任 吉原瑞恵 氏

――なぜプロジェクトを副業人材に任せようと考えたのですか。また、様々な副業サービスがある中で、lotsfulで人材を集めた理由を教えてください。

吉原氏 : 大田区では平成27年から外部の専門人材を招いて、商店街が抱える課題を解決しようという取り組みを行っていました。このコラボレーションは好評だったのですが、コストも相応にかかり商店街が取組みを継続しようとすると難しい状態でした。平成30年に副業元年を迎えたこともあり、これからは副業人材にこうした支援を依頼してはどうかと以前から考えていました。

河野氏 : その他の理由としては、スピード感を持って取り組みを進めていくには、仕様を固めて専門業者へ発注するより、実施しながらも細やかに改善に動ける副業人材が一番マッチすると考えたからです。また、lotsfulに依頼したのは、副業サービスのプラットフォーマーとして、副業人材の人選から運用フォローにまで関わってくれるから。副業人材の活用は初めての試みでしたので、応募者がどれだけ集まるか未知数でしたし、集まった中から素早く人選を行うにもサポートが必要でした。


▲大田区商店街連合会 事務局長 河野玄 氏

吉原氏 : 色々な副業サービスから提案を聞きましたが、その中でもlotsfulは意図を汲んで、一緒にゴールを目指してくれました。説明の中で、副業人材の中に地域の活性化に貢献したい人が多いという特徴を教えていただき、そうしたアドバイスも心強かったですね。

今後も様々な領域で、副業人材を活用していきたい

――実際には近藤さん・細見さんの2名の副業人材を活用しながら、2021年7月から約4ヶ月かけて業務効率化・DX化に向けた取り組みを行いました。

吉原氏 : まず、プロジェクトのスタート時には、60項目に分類した運営業務に関する棚卸表をもとに、商店街に対してヒアリングを行いました。その棚卸表によって、商店街運営の中でできていること、できていないことを可視化しました。これらの可視化されたデータを副業人材2名が分析し、デジタルツールを使った方がいい業務を切り出し、使うべきサービスを含めご提案いただきました。

河野氏 : 副業人材とは週次でミーティングを行っていましたが、毎週期待以上のアウトプットがあり、やはり優秀だなと感じましたね。そのミーティング内容などを、月に1回程度は区にも報告をしました。副業人材のおかげで、棚卸し表にあった60項目の内の半分はデジタル化が有効と分析することができ、これらについてデジタルツールの導入を検討してもらいました。

――副業人材と一緒に仕事をした感想をお聞かせください。

吉原氏 : お二人とも優秀な方で、もっと早く相談すればよかったと思ったくらいです。商店街は皆さんに身近なものですが、その運営などは外部からは分かりにくい世界です。しかし、状況を短期間で理解いただきながら、解決策を提示してくれて非常に驚きました。

河野氏 : 最初は探り探りな部分もありましたが、すぐにお二人で作業分担しながらスピード感を持って対応していただきました。本プロジェクトがお二人のキャリアのプラスになっていればなと思っています。

――副業人材を活用するにあたり、気をつけたポイントはありましたか。

河野氏 : 全体のゴールイメージとそれに対するマイルストーン設定は、意識して行うようにしました。副業人材の活用は初めてのことだったので、ゴールからずれることがないように注意しました。また、彼らは本業もありますので、ミーティングの日程調整についても無理がないよう気を配りました

――今後も副業人材を活用していく計画はありますか。

吉原氏 : 大田区では持続可能な形での商店街運営ができるよう、副業人材を活用しながら支援していく計画です。本プロジェクトは業務効率化・DX化に向けたデジタルツールの検討までがゴールでしたが、これから行う現場へのツール導入支援も、副業人材にお任せできればと考えています。他にも、商店街の広報活動なども内部に得意な人がなかなかいないので、そうした業務を上手く切り出して、副業人材の力を借りたいと思っています。

河野氏 : 副業人材の活用シーンを、もっと広げていきたいですね。今回は大田区商店街連合会における副業人材の活用でしたが、ひとつの商店街やお店単体など、様々な関わり方ができると思っています。そうしたことが実現できるように、今回の活用事例などの情報を積極的に発信していきます。また、戦略立案などに長けた副業人材も多くいると思いますので、そうしたスキルを持つ人を区の他施策など活用シーンが広がると良いですね。

キャリアのプラスになる経験を求めて

――ここからは副業人材のお二人からお話を伺います。まず、本プロジェクトに応募した理由を教えてください。

細見氏 : 副業に挑戦しようと思った理由はいくつかありますが、一番はキャリアの拡張を実現させるためです。本業は介護領域における新規事業開発などがメイン業務なのですが、コンサル経験もありますのでそうしたスキルを活かし、様々な業界に関わりながらバリューを発揮したいなと。

本プロジェクトに応募したのは、外からは見えにくい商店街運営に興味があったからです。民間企業に勤めていると、こうしたパブリック案件は少ないので、いい経験になると考えました。また、実家が奈良にあるのですが、そこにある商店街がすでにさびれてしまっていて。学生時代は大田区に住んでいたので、お世話になった街の商店街の行く末をどうにかしたいという思いもあり参加しました。


▲細見雄太 氏/医療・介護領域のサービスを展開する株式会社エス・エム・エスにて、新規事業開発を担当している。それ以前には、コンサルを経験。

近藤氏 : 私は将来的なキャリアを考えた時に、自分にはどんな可能性があるのか知りたくて副業を始めました。実は私も大田区に住んでいるので、これはいい機会だなと思って応募しました。商店街はとても身近な存在ではありますが、その中で働いたことはなかったので興味もありましたね。DXに関する業務支援は本業で経験していますので、知らない業界の知見を手に入れつつ、今までのスキルも活かせるプロジェクトだと思っていました。


▲近藤恭平 氏/人材・販促・ITなど多様な事業を手がける大手企業にて、事業者向けの業務支援サービスのマーケティングを担当している。

――ジョインしてからは、プロジェクトをどのようにして進めていきましたか。

細見氏 : 最初の2週間くらいは集中して、商店街に関する情報をキャッチアップしました。それが済んでからは、近藤さんと適宜相談しつつ、業務を分担して進めていきました。60項目ある棚卸し表から得られたデータも色々と分析しながら、デジタルツールの選定も行いました。

近藤氏 : 棚卸し表を分析しながら、非効率な業務、全く取り組めていない業務など、課題を明確にしました。そこからデジタルツールを使って解決するべき課題を、定量的に示しながら導入方針も立てましたね。

――お二人の業務分担はどのようにしましたか。

近藤氏 : 最初はお互いのスキルセットが分からないので、様子見な部分もありました。相談しながらしっかりと壁打ちができたので、お互いがオールマイティに色々できると分かってからは、「ここは自分がやりますね」と巻き取れるものは、それぞれが自己申告しながら対応していきました。

 

本業のスキルを活かしながら、最適解を導き出す

――具体的には商店街のどのような業務に対して、デジタルツールの導入を提案したのですか。

細見氏 : 例えば、「補助金の入力業務や申請が大変」というケースでは、申請内容の整合性がとれなかったり、過去の申請が見られない、計算式が合わないといった部分に課題がありました。これらをシステム上で行えれば、整合性がとれますし、紙と違ってどこに何を書くかも分かりやすい。こうした課題は、デジタルツールを使って解決するべきだと提案しました。

しかし、申請のための入力業務などは商店街独自のものですので、専用ツールを作る必要があります。そこで、まずはスクラッチ開発にするのか、SaaSやPaaSを利用するのかを検討。スクラッチの場合は一からの開発になり、コストも手間もかかるため、要件が適合したPaaSを導入することにしました。そこから、費用面や使い勝手を考えて、どのサービスが適切かまでリサーチしました。

――それでは最後に、今回のプロジェクトに取り組んでみて、どのような点にやりがいを感じたのかお聞かせください。

近藤氏 : デジタルツールの導入といった業務は本業でもやっていましたが、その経験を全く別の業界で使うことができました。他の領域でも自分が持つスキルを活用できたというのは、自信につながりましたね。

細見氏 : 今回のデジタルツールの選定に関しては、最適な提案ができたという自信があります。今考え直しても、同じ提案をするだろうなと。また、自治体ならではの仕事の進め方を学ぶことができ、いい経験になりました。

(編集・取材・文:眞田幸剛)

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