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人事ノウハウ

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ノーマライゼーションとは?提唱者の理念から8つの原理、具体例まで徹底解説

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現代社会において、福祉や教育、さらには企業経営の現場においても、頻繁に耳にするようになった「ノーマライゼーション(Normalization)」という言葉があります。これは、単なる福祉用語にとどまらず、多様な人々が共存する社会の在り方を示す、極めて重要な理念です。

SDGs(持続可能な開発目標)やDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進が求められる現代において、ノーマライゼーションの概念を正しく理解することは、ビジネスパーソンにとっても必須の教養となりつつあります。

本記事では、ノーマライゼーションの基本的な意味から、理念を具体化する「8つの原理」、さらに現代社会における具体的な取り組み事例に至るまで、人事労務や経営の視点を交えながら、体系的に解説します。

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ノーマライゼーションの基本的な意味と定義

ノーマライゼーションとは、障がいのある人や高齢者などを特別視し、施設に隔離または保護するのではなく、障がいのない人と同様に、地域社会の中で当たり前に生活し、活動できる社会こそが「ノーマル(通常)」であると捉える考え方です。

誤解されやすい点として、これは「障がい者を健常者に近づける」、すなわちノーマルにすることを意味するものではありません。むしろ、「障がい者が障がいを持ったまま、その人らしく当たり前に暮らせる環境や条件を整える(社会をノーマルにする)」という、環境へのはたらきかけを重視する概念です。

この理念は、障がい者福祉の分野から発展しましたが、現在では高齢者、外国人、性的マイノリティなど、社会的に排除されやすい立場にあるすべての人々を含む、普遍的な人権思想として広がっています。日本政府が掲げる「共生社会」の実現も、ノーマライゼーションの理念を基盤とするものです。

ノーマライゼーションの歴史と2人の提唱者

ノーマライゼーションの概念は、第二次世界大戦後の北欧諸国において生まれました。その成立には、主に2人の人物が深く関わっています。

「父」N.E.バンク=ミケルセン(デンマーク)

ノーマライゼーションの生みの親とされているのが、デンマークの行政官であったニルス・エリク・バンク=ミケルセンです。

1950年代当時、知的障がい者は人里離れた大規模な収容施設に隔離され、非人道的な扱いを受けることが一般的でした。ミケルセンは、知的障がいのある子どもを持つ親たちの運動に共鳴し、行政官として法制度の整備に尽力しました。

その結果、1959年には、世界で初めてノーマライゼーションの理念を明文化した「1959年法(知的障害者福祉法※)」が成立しました。彼はノーマライゼーションを「知的障がい者の生活を、可能な限り通常の生活状態に近づけること」と定義し、施設からの解放と基本的人権の保障を強く訴えました。

※出典:e-GOV法令検索「知的障害者福祉法

「育ての親」ベンクト・ニィリエ(スウェーデン)

ミケルセンの理念を受け継ぎ、それを具体的な原理として体系化した人物が、スウェーデンの知的障がい児者連盟の事務局長であったベンクト・ニィリエです。

彼は1960年代後半、ノーマライゼーションを「知的障がい者の日常生活の様式や条件を、社会の主流にある人々の標準的な様式や条件に、可能な限り近づけること」と再定義しました。そのうえで、それが具体的にどのような状態を指すのかを明らかにするため、「8つの原理」を提唱しました。

ニィリエの功績により、ノーマライゼーションは抽象的な理念にとどまらず、実践的な指針へと発展し、世界各国、特に北米や日本へと普及していきました。

ノーマライゼーションの8つの原理

ニィリエが提唱した「ノーマライゼーションの8つの原理」は、障がい者が人間らしい生活を送るための具体的な基準として、現在においても福祉や雇用の現場で重要な指針となっています。

1日のノーマルなリズム

朝起きて服を着替え、学校や職場に行き、夕方に帰宅し、余暇を過ごした後、夜に眠るという生活です。

施設での生活のように、食事や排泄の時間が管理する側によって一律に決められるのではなく、個人の意思に基づいた、メリハリのある1日のリズムが確保されていることを指します。

1週間のノーマルなリズム

平日ははたらき、または学び、週末は休息を取り、遊びや趣味を楽しむ生活です。
住む場所とはたらく場所が分かれており、曜日に応じた生活の変化があることが求められます。

1年間のノーマルなリズム

季節の移ろいを感じながら、正月やクリスマス、夏休みといった年中行事やイベントを楽しむことです。誕生日を祝ったり、旅行に出かけたりするなど、1年を通じた変化や楽しみがあることも含まれます。

ライフサイクルにおけるノーマルな発達的経験

子ども時代には遊び、青年期には学びや異性との交流を経験し、成人期には仕事や家庭を持ち、老年期には引退して余生を過ごします。

それぞれの年齢やライフステージにふさわしい経験ができるよう、その世代に応じた敬意を持って接することが重要です。たとえば、高齢者に対して子ども扱いをしないといった、本人の尊厳を傷つけない配慮が求められます。

ノーマルな個人の尊厳と自己決定権

自らの人生に関わる事柄について、自分自身で選択し、決定できることを意味します。

住む場所や着る服、休日の過ごし方などを自分で決める権利が保障され、その意思や希望が尊重されることが重要です。

ノーマルな性的関係(異性との生活)

異性との交際や結婚を含め、性的な関係を持つことが認められている状態を指します。
障がいがあることを理由に、恋愛や結婚、子どもを持つ権利が制限されないことが前提となります。

ノーマルな経済水準

社会の一般的な市民と同等の経済水準が保障されていることです。

労働に対して適正な賃金が支払われること、または、はたらくことが困難な場合においても、公的な経済支援(年金や手当など)によって、最低限の生活にとどまらず、文化的でゆとりのある生活が営めることが求められます。

ノーマルな環境形態と水準

地域社会の中で、一般的な住宅に居住することを指します。
大規模な収容施設ではなく、一般市民と同じ地域において、同等の快適さや広さを備えた住環境で生活することが重要です。

バリアフリーやユニバーサルデザインとの違い

ノーマライゼーションと関連して、よく用いられる言葉に「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」があります。これらは、ノーマライゼーションを実現するための「手段」や「手法」と捉えると、理解しやすいでしょう。

バリアフリー

バリアフリーとは、障がい者や高齢者が生活するうえで障壁(バリア)となるものを取り除くことを指します。
たとえば、既存の建物にある段差へスロープを設置することや、点字ブロックを整備することなどが挙げられます。この考え方には、「ある特定の障壁」に対して、後から対応するという意味合いが含まれています。

ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインとは、障がいの有無や年齢、性別、国籍などにかかわらず、最初からすべての人が利用しやすいように、製品や環境を設計する考え方です。

たとえば、誰でも利用しやすい自動ドア、多機能トイレ、シャンプーボトルのギザギザなどが挙げられます。

バリアフリーの考え方を一歩進め、はじめから「万人向け」にデザインする点に特徴があります。
ノーマライゼーションは、これらの手法を活かしながら、「障がい者が当たり前に暮らせる社会」というゴールを目指す理念そのものです。

社会や企業におけるノーマライゼーションの取り組み例

ノーマライゼーションの理念は、具体的にどのような形で社会に実装されているのでしょうか。

法律・制度面での整備

日本では、「障害者基本法」(※1)や「障害者総合支援法」(※2)などに、ノーマライゼーションの理念が反映されています。

特に企業活動と密接に関係する法律が、2016年に施行され、2024年に改正施行された「障害者差別解消法」(※3)です。この法律により、国や地方公共団体、ならびに民間企業に対して、障がいを理由とする不当な差別的取り扱いの禁止と、障がい者から申し出があった場合における「合理的配慮」の提供が義務付けられました。

※1 出典:e-GOV法令検索「障害者基本法
※2 出典:e-GOV法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
※3 出典:e-GOV法令検索「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律

まちづくり・設備面(ハード)

公共交通機関を中心に、バリアフリー化が着実に進められています。
具体的には、

  • 駅へのエレベーター設置
  • ノンステップバスの導入
  • 車いす用駐車スペースの確保
  • 音響式信号機や多言語案内の整備

などが挙げられます。

これらの取り組みは、障がい者だけでなく、ベビーカー利用者や高齢者、外国人にとっても暮らしやすいまちづくりにつながっています。

教育・雇用・意識面(ソフト)

インクルーシブ教育

インクルーシブ教育とは、障がいのある子どもと、障がいのない子どもが、地域の学校の通常学級など可能な限り同じ場所で共に学ぶ仕組みです。互いの違いを認め合い、支え合う心を育むことを目的としています。

障がい者雇用と法定雇用率

企業には、一定割合以上の障がい者を雇用することが義務付けられています。単に人数を満たすだけではなく、特例子会社の設立や、ジョブコーチによる定着支援、テレワークの活用など、障がい特性に応じた多様なはたらき方が広がっています。

グループホーム

施設から地域への移行支援の一環として、障がい者が地域のアパートや一軒家において、必要な支援を受けながら共同生活を送るグループホームの形態が増加しています。

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