建築士の副業とは?時給相場や案件例、注意点まとめ
近年、副業解禁の流れがありますが、これは建築業界も例外ではありません。
建築物の設計や工事管理を担う建築士の資格を持つ人も、スキルや経験を活かして副業にチャレンジしてみたいと考えている人がいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、建築士におすすめの副業の種類を紹介し、具体的な案件例や時給相場を詳しく解説します。
最後には、建築士が副業する際に気をつけるべき注意点もまとめているので参考にしてくださいね。
建築士の副業はある?
建築士は、『建築士法』(※1)に基づき、建築物の設計と工事管理などを独占業務とする資格保有者を指します。人々の住まいをはじめ、高層ビルやテーマパークなどさまざまな建築物を建築する際に欠かせない存在です。
建築士の資格を持つ人がスキルを活用できるのは、必ずしも建築業界のみとは限りません。視野を広げて、スキルや知識を使う場所を変えると、建築業界以外にも複数の活躍の場が用意されていることがわかります。スキルを教える講師の仕事もありますし、専門知識をフル活用して記事にまとめる執筆業も成り立ちます。まずは週に1案件から始めるなど、自分のペースでチャレンジできる仕事から、無理のない範囲で探してみると良いでしょう。
※1出典:e-Gov法令検索HP『建築士法』
建築士の副業の主な種類
ここからは、建築士におすすめの副業を4種類紹介します。自分の能力や強みが活かせそうな職種があるか、チェックしてみてくださいね。
ライター
最も気軽に始められる副業の一つがライターでしょう。自宅にいながら隙間時間や休日を活用して自分のペースでできる仕事です。一般的に、専門分野を持たない駆け出しのライターは案件を獲得するのに苦労しやすく、低単価案件に心身ともに消耗してしまうケースが少なくありません。
一方、建築士の場合は資格や現場経験が強みとなり、資格保有者限定募集の執筆案件を獲得しやすく、通常よりも単価が高く設定されているものも多い傾向です。建築関係の記事の監修や建築業界の企業が運営するオウンドメディアの社外向け記事作成の仕事は、比較的高単価かつ自身の専門知識がダイレクトに活かせ、作品が世に出るやりがいが感じられるでしょう。
図面作成
『建築士法』(※1)で定められている通り、建築物の建築工事を施工するために必要な設計図書(建築工事の実施のために必要な図面及び仕様書)を作成するのは、建築士にしかできない仕事です。新店舗や飲食店など、設計の際に必要な図面を業務委託として依頼されるケースは少なくありません。小規模な案件の場合は、1件あたり数万円程度が相場ですが、大規模施設の図面作成ではまとまった金額が設定されていることもあります。
※1出典:e-Gov法令検索HP『建築士法』
図面トレース
建築士やデザイナーが手描きで描いた設計図をトレースし、ソフトウェア「CAD」を使って同じ図面を作る「図面トレース」業務を受注するのも、建築士のバックグラウンドが活かせる副業です。複雑なものであれば何時間もかかる作業なので、外注したい企業は少なくありません。在宅勤務で気軽に始めやすい業務内容である一方、発生タイミングが不定期のため案件が頻繁に見られるわけでなく、受注しがたい仕事でもあります。
リフォームプランナー
リフォームを提案するリフォームプランナーも、建築士の副業としておすすめの職種の一つです。住宅の改築や改修・店舗リニューアルのほかオフィスのレイアウト変更など、顧客からの要望に合わせて良い空間デザインを提案する仕事です。案件によっては、現地調査やリフォーム工事の管理を含め丸ごと依頼されるケースがあり、その場合は特に建築士としての知見が活かされます。普段の仕事と違った角度から建築に携わる選択肢といえるでしょう。
建築士の副業案件の例
ここからは、建築士と相性の良い副業案件例を見ていきましょう。
建築士有資格者ライター
業務内容 | 建築技術会社が運営するオウンドメディア掲載記事を作成する ・CADやBIMに関する記事を作成 ・1記事あたり3,000文字前後 ※執筆レギュレーションの提供あり |
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稼働時間 | 1本あたりの稼働時間:4時間 1ヶ月に4本納品(16時間/月) |
単価 | 記事1本あたり1万円 ※経験やスキル考慮あり |
条件 | ・建築士有資格者 ・応募時にこの募集と近い内容で執筆した過去の原稿を提出 |
水道工事関連の図面トレース
業務内容 | CADで水道工事関連の図面トレース作業を行う ・水道工事を中心に、配管・リフォームと幅広い分野の作業あり |
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稼働時間 | 1ヶ月に8件図面を提出(16時間/月) ※納期に間に合えばいつ稼働してもOK |
単価 | 時給2,500円 ※経験やスキル考慮あり |
条件 | ・建築士有資格者 ・CADでの図面トレースの実務経験がある人 ・フルリモートで作業できる人 |
建築士の副業案件の時給相場
建築士は、国や都道府県知事から許可を受けて取得する国家資格です。一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類に分かれ、設計できる建造物の種類や規模が異なります。(※1)
一級建築士 | ・国土交通大臣から許可を受けて取得する資格 ・設計する建物に制限なし(延べ500平方メートルを超える学校・病院・劇場など大規模な施設を含む) |
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二級建築士 | ・都道府県知事から許可を受けて取得する資格 ・戸建て住宅を含む延べ面積が30平方メートルを超える施設の設計可(鉄筋コンクリート造、鉄骨造など木造以外も可) |
木造建築士 | ・都道府県知事から許可を受けて取得する資格 ・300平方メートルを超えない木造建築物のみ設計可能 |
国家資格保有者のみが受けられる案件では、通常の副業よりも単価が高く設定されていることが多くなっています。例えばライター業では、文字単価3円以上のものが多く見られます。一級建築士の有資格者であれば、記事監修のオファーが来ることもあり、2万円以上の依頼が多い傾向です。経験や知名度によっては1本あたり10万円を超えるケースもあります。
一方、図面作成、図面トレース、リフォームプランナーは、時給2,000円~3,000円が相場のようです。図面作成や図面トレースの案件のなかには、1件あたり数千円の報酬が設定されていることもありますが、どの程度の図面でどのくらいの工数がかかるのかを受注する前にしっかりと確認し、納得できる条件で副業を始めましょう。
建築士の副業の注意点
ここからは、建築士が副業する際の注意点を2つ紹介します。
時間と健康の管理
建築士は、自分の作った図面をもとに建物が建てられ、日々1ミリメートル単位の正確さが求められる仕事です。心身ともにストレスのかかる仕事内容でありながら、現場視察や工事現場立ち合いなどが必要な体力仕事でもあります。副業を通してキャリアチェンジやスキルアップに取り組みたい人も、副業に充てられる現実的な時間配分や仕事内容を十分に検討しましょう。副業で仕事を受注しすぎるあまり寝不足が続き、不健康になってしまっては本末転倒です。まずは週に1日から始めるなど、自分の体力と相談しながら徐々に仕事を増やすと安心です。
機密保持
厚生労働省の『副業・兼業の促進に関するガイドライン』(※1)では、秘密保持義務が定められています。副業を始める前に、業務上の秘密となる情報の範囲を慎重に確認し、漏えいには十分注意しなければなりません。
また、『建築士法 第十条』(※2)では、「業務に関して不誠実な行為をしたとき」は、国土交通大臣または都道府県知事が「当該一級建築士または二級建築士若しくは木造建築士に対し、戒告し、若しくは一年以内の期間を定めて業務の停止を命じ、又はその免許を取り消すことができる」とされています。本業で知り得た機密・個人情報は慎重に取り扱い、品位を損なう行動をしないよう十分に気をつけましょう。
※1出典:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン』
※2出典:e-Gov法令検索HP『建築士法 第十条』
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この記事では、建築士におすすめの副業の種類を紹介し、具体的な案件例や時給相場、さらに建築士が副業する際に気をつけるべき注意点について解説してきました。
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