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人事ノウハウ

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リーダーシップとは? 5つのパワーと種類、向いている人の特徴まで徹底解説

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「リーダーシップ」は、ビジネス環境が複雑化し、変化のスピードが加速する現代において、特定の役職者だけでなく、全ての組織人にとって不可欠なスキルとなりつつあります。しかし、その定義は曖昧で、「マネジメント」との違いを正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、リーダーシップの本質的な定義から、その力の源泉となる「5つのパワー」、具体的な役割、主要な種類、そしてリーダーとして成長するために必要な資質まで、人事労務担当者や次世代のリーダーを目指す全ての人に向けて解説します。

リーダーシップとは何か?マネジメントとの違い

リーダーシップとは、組織やチームが共通の目標やビジョンに向かって進むよう、人々に対して影響を与え、その行動を促すプロセスや能力のことです。

重要なのは、リーダーシップが「役職」や「地位」そのものを指すのではなく、「影響力」という「機能」や「プロセス」を指すという点です。

したがって、管理職でなくてもリーダーシップを発揮することは可能であり、むしろ現代の組織では、あらゆる階層の従業員がそれぞれの立場でリーダーシップを発揮すること(シェアド・リーダーシップ)が求められています。

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップと混同されやすい概念に「マネジメント」があります。この2つは対立するものではなく、組織運営においてどちらも不可欠であり、補完関係にある機能です。著名な経営学者であるピーター・ドラッカーやジョン・P・コッターは、両者の違いを明確に定義しています。

マネジメント(Management)

「物事を正しく行う」(Doing things right)

  • 焦点:複雑さの管理、効率性、秩序
  • 役割:計画、予算編成、組織化、人員配置、問題解決、統制
  • イメージ:既存のプロセスを最適化し、安定的に運営する「管理者」

リーダーシップ(Leadership)

「正しいことを行う」(Doing the right things)

  • 焦点:変化への対応、方向性、ビジョン
  • 役割:ビジョンの設定、戦略策定、人々の動機付け、価値観の共有
  • イメージ:新しい方向性を示し、人々を未来へと導く「指導者」

マネジメントが「地図を読み、効率的なルートで期限内に目的地に着く」ための管理であるとすれば、リーダーシップは「そもそもどの山に登るべきか(ビジョン)を決め、その山の魅力を伝えて登山隊(チーム)の士気を高める」行為と言えるでしょう。

リーダーシップの3つの本質的な要素

リーダーシップが「影響力」であるならば、その影響力は何によって構成されるのでしょうか。多くの理論がありますが、本質的には以下の3つの要素が不可欠です。

ビジョン

リーダーシップの出発点であり、最も重要な要素です。組織が「どこへ向かうのか」「なぜそこへ向かうのか」という、魅力的で明確な未来像(ビジョン)と、その実現に向けた道筋(戦略)を示すことです。人々は、単なる作業指示ではなく、意義のある目的に向かっていると実感できたときに、自発的なエネルギーを発揮します。

信頼

リーダーがどれほど優れたビジョンを語っても、その人物が信頼されていなければ、誰もついていきません。信頼は、リーダーの「誠実さ」「一貫性のある言動」「公平性」、そして「部下や仲間への共感」によって、時間をかけて築かれるものです。

実行とエンパワーメント

ビジョンを語るだけでなく、それを現実に変えるための「実行力」が必要です。しかし、リーダーが一人で全てを行うのではありません。リーダーの重要な役割は、ビジョン達成のために必要な環境を整え、メンバーに権限を移譲し(エンパワーメント)、彼らが自律的に行動して成果を出せるように支援することです。

リーダーシップの5つのパワー(影響力の源泉)

リーダーが他者に影響を与える力の源泉はどこにあるのでしょうか。社会心理学者のフレンチとレイヴンは、リーダーが持つパワー(権力)を以下の5つのタイプに分類しました。優れたリーダーは、これらを状況に応じて使い分け、特に後半の2つを重視します。

強制的パワー(Coercive Power)

「罰」に基づく力です。相手が望まないこと(例:解雇、降格、叱責、ペナルティ)を行う能力によって、人を従わせるパワーです。短期的には最も強力な服従を強制できますが、恐怖政治となり、メンバーの反発、士気の低下、メンタル不調の温床となります。

報酬的パワー(Reward Power)

「報酬(アメ)」に基づく力です。相手が望むもの(例:昇給、ボーナス、昇進、称賛)を与える能力によって、人を動かすパワーです。動機付けにはなりますが、報酬がなければ動かなくなり、より大きな報酬を求め続ける可能性があります。

正当的パワー(Legitimate Power)

「役職」や「権限」に基づく力です。組織の公式な地位(例:「私が部長だから」「社内ルールだから」)によって、人を従わせるパワーです。組織運営の基本ですが、このパワーだけに依存すると、「指示待ち」の部下を生み出し、役職を失った瞬間に影響力も失います。

専門的パワー(Expert Power)

「知識」や「スキル」に基づく力です。高度な専門性、豊富な経験、的確な分析力など、「あの人の言うことなら間違いない」と周囲から尊敬されることで生まれるパワーです。信頼の基盤となり、役職に関わらず発揮できます。

同一化的パワー(Referent Power)

「人間的魅力」や「カリスマ性」に基づく力です。その人の人格、価値観、ビジョンに共感し、「あの人のようになりたい」「あの人のために頑張りたい」と部下や同僚から純粋に憧れられることで生まれるパワーです。最も強力で持続的なリーダーシップの源泉とされます。

真のリーダーシップとは、強制的パワーや正当的パワーといった「地位」に依存する状態から脱却し、専門的パワーと同一化的パワーといった「個人」に起因する影響力を築き上げていくプロセスそのものです。

※出典:French, J.R.P./Raven, B.『The Bases of Social Power(社会的パワーの5分類)』(1959年)

リーダーシップの主な種類と理論

リーダーシップのあり方は、時代や状況によって変化します。ここでは、代表的なリーダーシップ理論とスタイルを紹介します。

PM理論

日本の社会心理学者、三隅二不二(みすみじゅうじ)氏が提唱した理論で、日本の組織風土に合ったモデルとして広く知られています。リーダーの行動を2つの軸で分析します。

  • P機能(Performance):目標達成機能。業績向上のための指示や計画、管理を行う力。
  • M機能(Maintenance):集団維持機能。チームの人間関係を良好に保ち、結束力を高める力。

この2つの強弱によって、リーダーを4つのタイプ(PM型、Pm型、pM型、pm型)に分類します。PとMの両方が高い「PM型」が最も理想的なリーダーであるとされます。

※出典:三隅二不二『リーダーシップ行動の科学(PM理論)』(有斐閣)

コンティンジェンシー理論(状況適応型)

「いかなる状況でも万能な、唯一絶対のリーダーシップスタイルは存在しない」という考え方です。リーダーの有効性は、部下の成熟度、業務の性質、組織の環境といった「状況(Contingency)」によって左右されると考えられています。

代表的なものに、部下の成熟度(能力と意欲)に合わせて「指示型」「説得型」「参加型」「委任型」とスタイルを変えるSL理論(Situational Leadership)があります。

※出典:F.E.フィードラー『A Theory of Leadership Effectiveness(コンティンジェンシー理論)』
※出典:P.ハーシー/K.H.ブランチャード『Situational Leadership(SL理論)』

サーバント・リーダーシップ

近年、最も注目されているスタイルの一つです。従来の「上に立つ指導者」というイメージとは対照的に、「まず相手に奉仕(Serve)し、その後相手を導く」という発想に立ちます。

リーダーの役割は、メンバーの声に耳を傾け、共感し、彼らが直面する障害を取り除き、成長を最優先で支援することです。信頼と権限移譲に基づき、チームの自律的な成長を促します。

※出典:R.K.グリーンリーフ『The Servant as Leader(サーバント・リーダーシップ)』

トランスフォーメーショナル・リーダーシップ(変革型)

激しい変化の時代に対応するために生まれた理論です。物質的な報酬(アメとムチ)で人を動かす「トランザクショナル・リーダーシップ(取引型)」と対比されます。

変革型リーダーは、以下の4つの要素によって、メンバーの内面的な動機にはたらきかけ、組織や個人の価値観そのものを変革しようとします。

  1. 理想化された影響(カリスマ):倫理観やビジョンを示し、憧れの対象となります。
  2. 動機付け(インスピレーション):魅力的な未来像を語り、やる気を引き出します。
  3. 知的刺激:既成概念を疑い、新しい視点や創造的な思考を促します。
  4. 個別の配慮:一人ひとりのニーズや能力に関心を持ち、育成します。

※出典:J.M.バーンズ『Leadership』/B.M.バス『Transformational Leadership(変革型リーダーシップ)』

オーセンティック・リーダーシップ

「自分らしさ」を基盤とするリーダーシップです。リーダーが自身の価値観、信念、強み・弱みを深く理解し、それらを偽ることなく「ありのまま(Authentic)」に表現することで、周囲との誠実な信頼関係を築きます。透明性と一貫性が高く、フォロワーの心理的安全性を高める効果があります。

※出典:B.J.アヴォリオ/W.L.ガードナーほか『Authentic Leadership(オーセンティック・リーダーシップ)』

リーダーに向いている人の5つの特徴

リーダーシップは生まれ持った才能(Trait)ではなく、学習と経験によって開発できるスキル(Skill)であるというのが現代の主流な考え方です。そのうえで、リーダーとして成長しやすい人には、以下の共通する資質やスタンスが見られます。

高い誠実さと責任感

リーダーシップの土台は信頼です。言行が一致しており、公平・公正であることが重要です。特に、チームが失敗したときにメンバーのせいにせず、最終的な責任は自分が負うという「当事者意識」を持っている人は、周囲からの信頼を集めます。

優れた傾聴力と共感力

「自分がどうしたいか」を語る能力以上に、「相手が何を考え、何を感じているか」を深く理解しようとする傾聴力と共感力が重要です。メンバーの不安や不満、希望を正確に把握することで、的確なサポートと動機付けが可能になります。

確固たる決断力

不確実性が高く、全ての情報が揃っていない状況でも、リーダーは「決断」を下し、チームを前に進めなければなりません。ビジョンに基づき、時には困難なトレードオフを引き受け、その決定に責任を持つ勇気が求められます。

柔軟性と学習意欲

優れたリーダーは、自分の考えが常に正しいとは考えていません。環境の変化や新しい情報を素早く察知し、自分の間違いを認めて柔軟に方針を修正できます。常に学び続ける姿勢が、専門的パワーを維持・向上させます。

ポジティブな影響力と楽観性

困難な状況においてこそ、リーダーの姿勢が問われます。未来に対して根拠のある楽観性を持ち、チームの小さな成功を認め、ポジティブなエネルギーを周囲に波及させる能力は、チームのレジリエンス(逆境力)を高めるうえで不可欠です。

リーダーシップは全てのビジネスパーソンに求められるスキル

本記事で解説したように、リーダーシップはもはや特定の役職者に限定されたものではありません。

ビジョンを示し、周囲の信頼を得て、専門性を高め、誠実に行動すること。これらの要素は、チームリーダーであれ、新入社員であれ、全てのビジネスパーソンが組織に貢献し、自己成長を遂げるために必要なスキルです。

自らの影響力の源泉(5つのパワー)を自覚し、サーバント・リーダーシップやオーセンティック・リーダーシップといった現代的なアプローチを学ぶことでリーダーシップは必ず開発できます。
変化の時代を牽引する力は、日々の意識と行動から育まれると言えるでしょう。

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今回は、企業のHR担当者が知っておきたい「リーダーシップ」について情報をお届けしました。

リーダーシップは、役職に関係なく人と組織を前に進める力です。その力を育てるためには、育成環境の整備や実践機会の提供が重要です。

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