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人事ノウハウ

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コーチングとは?ティーチングとの違い、3大原則・5大スキルからNG行動まで徹底解説

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ビジネス環境の急速な変化や、リモートワークの普及によるコミュニケーションの希薄化に伴い、マネジメントの手法として「コーチング」が、これまでになく重要視されています。

上司が部下に対して一方的に指示や命令を行う従来のスタイルだけでは、自律的に行動する人材は育成されにくく、従業員のエンゲージメントを高めることも困難になっているためです。

本記事では、コーチングの基本的な定義から、混同されやすいティーチングとの違い、実践に不可欠な「3大原則」および「5大スキル」、さらに逆効果となり得る「やってはいけないNG行動」まで、人事労務担当者や管理職が把握しておくべき知識を体系的に解説します。

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コーチングとは?その本質的な定義と語源

コーチング(Coaching)とは、対話を通じて相手(クライアントや部下)の内面にある答えや想いを引き出し、気づきを与えることで、自発的な行動と成長を促進するコミュニケーション手法です。

その語源は「馬車(Coach)」にあります。馬車の役割は、大切な人をその人が望む目的地まで送り届けることです。コーチングも同様に、相手が目指す目標(目的地)の達成を支援する役割を担います。

重要な点は、コーチ自身が目的地を決定するのではなく、あくまで「相手が望む場所」へ到達するためのサポート役に徹するという姿勢にあります。

コーチングとティーチングの違い

コーチングを正しく理解するためには、対照的な手法である「ティーチング(Teaching)」との違いを明確に区別することが必要です。

いずれの手法が優れているかという問題ではなく、相手の状況や目的に応じて適切に使い分けることが、マネジメントにおける要点といえるでしょう。

アプローチの方向性

ティーチングは、答えを持つ指導者が、答えを持たない相手に対して、知識やノウハウを教え、与える手法です。この場合、情報や答えは「外から内へ」と移動します。

これに対し、コーチングは、答えは相手の中にあるという前提に立ち、問いかけによってそれを引き出す手法です。答えは「内から外へ」と表出します。

目的と効果

ティーチングは、業務上の基本ルールや定型的なスキルを短期間で習得させることに適しており、新入社員や業務未経験者に対して有効です。

一方で、コーチングは応用力や問題解決能力、リーダーシップなど、正解が一つではない課題に対する自律的な思考力を養うことに適しており、中堅社員や管理職の育成に効果を発揮します。

使い分けのポイント

緊急時やトラブル対応時、または相手に知識や経験が全くない状態においては、コーチングによる質問を重ねても、事態の解決には至りません。このような場面では、ティーチングが有効です。

反対に、一定の経験を有する部下に対してティーチングのみを行い続けると、指示を待つ姿勢が定着しやすくなり、結果としてモチベーションの低下を招くおそれがあります。

コーチングを機能させる3大原則

コーチングを効果的に実践するためには、以下の3つの原則を常に意識する必要があります。これらの原則が欠けている場合、コーチングは単なる「尋問」や「雑談」にとどまってしまいます。

インタラクティブ(双方向)

コーチングは、コーチと相手との「対話」によって成り立つ手法です。上司が一方的に話し、部下が聞くだけという関係性ではなく、双方が意見を出し合い、共に考えるパートナーシップが求められます。会話における発話の割合は、「相手が7割、コーチが3割」が理想とされています。

オンゴーイング(継続性)

人の意識や行動は、一度の対話によって劇的に変化するものではありません。コーチングは、一度きりのイベントではなく、継続的に行われるプロセスです。定期的な1on1ミーティングなどを通じて、目標設定、行動の実践、振り返り、再設定というサイクルを回し続けることで、着実な成果につなげます。

テーラーメイド個別対応

人の価値観や性格、得意分野、抱えている課題は、一人ひとり異なります。そのため、すべての人に対して同一のアプローチを行うのではなく、相手の個性や状況に応じて、質問の内容や接し方を変える「個別対応」が不可欠です。相手に関心を持ち、深く理解しようとする姿勢が前提となります。

実践に不可欠なコーチングの5大スキル

コーチングを実践するうえで、具体的に求められる主要な5つのスキルを紹介します。これらのスキルは特別な才能ではなく、意識的なトレーニングによって、誰でも習得することが可能です。

ペーシング(傾聴)

ペーシングとは、単に耳で音を聞くのではなく、相手の言葉の背景にある感情や意図までを含めて、深く聴くためのスキルです。

相手の表情や声のトーンに合わせる行為(ペーシング)や、適切な相槌、相手の言葉を繰り返すオウム返しなどを通じて、「あなたの話を真剣に聴いています」「その考えを受け入れています」という安心感、いわゆる心理的安全性を与えます。信頼関係を構築するうえで、最も重要なスキルといえるでしょう。

クエスチョン(質問)

クエスチョンとは、相手に気づきを与えるための「問いかけ」を指します。「Yes」または「No」で答えられるクローズドクエスチョンではなく、相手に思考を促すオープンクエスチョンを活用することが重要です。

特に、「なぜできなかったのか」という過去や原因を問う質問ではなく、「どうすればできるのか」という未来や解決策を問うことで、相手の思考をポジティブな行動へと導きます。

アグノレッジ(承認)

アグノレッジとは、相手の存在や変化、成果を認め、それを言葉として伝えるスキルです。

成果が出たときだけに行う「賞賛(褒める)」行為とは異なり、「挨拶をする」「変化に気づいて声をかける」「話を最後まで聴く」といった日常的な行動も承認に含まれます。「自分のことを見てくれている」という実感は、相手の自己肯定感を高め、行動を支えるエネルギーとなります。

フィードバック

フィードバックとは、相手の行動や発言について、客観的な事実や、コーチ自身が感じた内容を伝えるためのスキルです。

批判や評価を行うのではなく、「鏡」のようにありのままを映し出す姿勢が重要となります。「あなたのプレゼンはだめだった」と評価するのではなく、「あの場面で早口になっていて、聞き取りにくかったように感じた」と事実を伝えることで、相手に自らの修正点へ気づきを促します。

提案・要望

提案や要望とは、相手が行き詰まっている場合などに、コーチ側から新たな視点や選択肢を提示したり、期待を言葉として伝えたりするスキルです。

ただし、命令として一方的に強制するのではなく、「こうした考え方もありますが、どのように思いますか」「私は、あなたにより一層リーダーシップを発揮してほしいと考えています」というように、受け入れるかどうかの判断を相手に委ねることが重要です。

コーチングに向いている人の特徴

コーチングスキルが高い人、またはコーチとして成長しやすい人には、いくつかの共通した特徴が見られます。

人に対する純粋な関心と好奇心がある

「この人は何を考えているのか」「どのような価値観を持っているのか」といったように、相手に対する興味や関心を持ち続けられる人は、自然と質の高い質問が生まれ、相手との信頼関係を構築しやすくなります。

待つことができる(忍耐力)

コーチングでは、質問を投げかけたあと、相手が考え、答えを導き出すまでの間に沈黙が生じることがあります。この沈黙を「思考を深めている重要な時間」と捉え、回答を急かすことなく、じっくりと待てる忍耐力が求められます。

感情が安定している

コーチ自身の感情が不安定な場合、相手は安心して本音を語ることができません。常に落ち着いた精神状態を保ち、相手のネガティブな感情にも巻き込まれることなく受け止められる安定感が必要です。

自分自身も成長し続けている

現状に満足することなく、自らも学び続け、成長しようとする姿勢を持つ人は、相手の成長意欲にも共感し、より力強くサポートすることができます。

コーチングで絶対にやってはいけないNG行動

良かれと思って行った行為が、結果としてコーチングの効果を損なってしまうケースも少なくありません。以下の行動には、特に注意が必要です。

すぐに自分の経験談やアドバイスを語る

相手が悩んでいる場面において、「自分が若い頃は」「それは、こうすればよい」といったアドバイスをしたくなることがあります。しかし、これはコーチングではなくティーチング、あるいは説教に該当します。相手の思考を停止させ、依存心を生む要因となるため、まずは相手の中から答えが導き出されるまで問いかけを続けることが重要です。

「なぜ?」と原因ばかりを追及する

ミスをした部下に対して、「なぜミスをしたのか」「なぜ確認しなかったのか」といった「Why」を繰り返すと、相手は責められていると感じやすくなり、言い訳を考えることに意識を向けてしまいます。「次は、どのようにすれば防げると思いますか」といった未来志向の質問へ切り替えることが望ましいでしょう。

相手の話を遮る・否定する

相手が話している途中で、「でもそれは」「いや、違う」といった言葉で遮ったり、否定したりすると、相手は「自分の話を聞いてもらえていない」と感じ、心を閉ざしてしまいます。たとえ誤りがあると感じた場合であっても、まずは「そう考えているのですね」と一度受け止める姿勢が大切です。

「ながら」で話を聞く

PCの画面を見ながら、あるいはスマートフォンを操作しながら話を聞く態度は、適切とはいえません。このような行為は、「あなたを大切にしていない」という強い非言語メッセージとして伝わり、信頼関係を短時間で損なうおそれがあります。

御社の業務に副業社員を検討してみませんか?

今回は、HR担当者が押さえておきたいテーマとして、社員の成長を引き出す「コーチング」の考え方にも触れながら、組織づくりに役立つヒントをお伝えしました。

現場においては、マネジメントの質の向上や、メンバーの自走化が課題となるケースも多く見受けられます。そのような状況において、外部の専門家が関与することで新しいはたらき方やコミュニケーションのスタイルが生まれることがあります。

もし育成体制の改善やチームの停滞感にお悩みであれば、副業人材マッチングサービス「lotsful」を活用するという方法があります。

「lotsful」では、実務スキルだけでなく、コーチング経験やマネジメント支援ができる副業人材ともマッチングでき、組織内部では得にくいフィードバックや成長機会を取り入れることが可能です。外部の視点が、チームの活性化や業務の前進を後押しします。

御社が抱える課題と向き合いながら前進していくために、「lotsful」は伴走パートナーとして支援します。組織力の強化を検討されている場合には、ぜひ一度「lotsful」へご相談ください。

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