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人事ノウハウ

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メンターとは?役割やOJTとの違い、制度成功のポイントを解説

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新入社員や若手社員の早期離職は、多くの企業にとって深刻な課題です。新しい環境への不安や業務上の悩みを一人で抱え込ませないために、近年「メンター制度」を導入する企業が増えています。

本記事では、「メンターとは何か」という基本的な定義から、その具体的な役割、OJTとの違い、さらに制度の導入から成功のポイントまで、人事・労務担当者が知っておくべき実務知識を体系的に解説します。人材の定着と育成を加速させる一手として、ぜひご活用ください。

メンターとは?その基本的な定義

メンターとは、新入社員や若手社員(以下、メンティ)に対して、業務上の知識やスキルだけでなく、キャリア形成や人間関係、プライベートの悩みまで、公私にわたり幅広く相談に乗り、支援を行う経験豊富な先輩社員を指します。

メンターは、指示や命令によって業務を教える上司とは異なり、対話を通じてメンティの内面的な成長を促し、自発的な問題解決能力やキャリア構築意識を育む、いわば「信頼できる相談役」「精神的な支柱」としての役割を担います。

このメンターと指導を受けるメンティの関係性、およびその仕組み全体を「メンター制度」と呼びます。

メンターに求められる3つの重要な役割

メンターの役割は多岐にわたりますが、主に「業務」「精神」「キャリア」の3つの側面からメンティをサポートすることが求められます。

役割①:業務上のサポートと職場への適応支援

メンターは、メンティが新しい職場環境にスムーズに適応し、日々の業務を円滑に進められるようサポートします。

直接的な業務指導はOJT担当者の役割ですが、メンターは「この業務の全体像はどうなっているのか」「資料作成で行き詰まったとき、誰に聞けば良いか」といった、より実践的で公式ルートでは相談しにくい事柄についてアドバイスを行います。また、社内の人間関係や独自のルール、企業文化などを伝えることで、メンティが早期に組織の一員として馴染めるよう手助けします。

役割②:精神的なサポートと孤立感の解消

慣れない環境で生じる不安やストレス、人間関係の悩みなど、メンティが抱える精神的な負担を軽減することは、メンターの最も重要な役割の一つです。

上司や同僚には直接言いにくい悩みも、利害関係のない他部署の先輩であるメンターには安心して打ち明けることができるでしょう。

定期的な面談(メンタリング)を通じて、メンティの話を親身に聴き、共感を示すことで孤立感を解消し、「自分には味方がいる」という安心感を与えます。これが、エンゲージメントの向上と早期離職防止に極めて大きな効果を発揮します。

役割③:キャリア開発のサポートと視座の提供

メンターは、自身の経験を共有し、メンティが自らのキャリアについて考えるきっかけを与え、長期的な視座を育む手助けを担います。

目の前の業務に追われがちなメンティに対し、「現在の仕事が3年後、5年後のキャリアにどのようにつながるか」「この会社でどのような成長ができるか」といった問いを投げかけ、視野を広げます。さらに、自身の成功体験や失敗談を交えながらアドバイスすることで、メンティが主体的にキャリアプランを描き、仕事に対するモチベーションを高める後押しをします。

メンター制度とOJTの違い

メンター制度は、新人育成の手法であるOJT(On-the-Job Training)と混同されがちですが、その目的や役割には明確な違いがあります。

最大の違いは、OJTが「業務スキルの習得」を目的とした短期的な育成手法であるのに対し、メンター制度は「全人格的な成長支援」を目的とした中長期的な関係性である点です。

両者の違いを理解し、適切に使い分けることが、効果的な人材育成の鍵となるでしょう。

比較項目 メンター制度 OJT (On-the-Job Training)
目的 全人格的な成長支援、精神的サポート、キャリア開発 業務遂行に必要な知識・スキルの習得
支援範囲 業務、人間関係、キャリア、プライベートなど広範囲 担当業務に直結する内容が中心
関係性 他部署の先輩(ナナメの関係)が基本 同じ部署の上司・先輩(タテの関係)
期間 半年~1年間など、中長期的 1~3ヶ月程度など、比較的短期間
ゴール メンティの自律、職場への定着 担当業務を一人で遂行できる状態

特に、メンターには直属の上司や先輩ではない「ナナメの関係」にある社員が選ばれることが多いのが特徴です。これにより、メンティは評価を気にすることなく、本音で相談しやすくなることが期待されます。

どのような人材がメンターに向いているのか?

メンターとして最も重要な資質は、専門的な知識やスキルの高さ以上に、相手に寄り添い、成長を支援しようとする人間性であると言えます。

具体的には、以下のような特性を持つ人材がメンターに向いていると考えられます。

傾聴力と共感性が高い

相手の話を遮らずに最後まで傾聴し、その感情や立場に共感することができる。

ポジティブで前向きな姿勢

メンティの悩みや失敗を責めるのではなく、成長の機会として前向きに捉えられる。

コーチングスキルがある

すぐに答えを提示するのではなく、質問を通じてメンティ自身に考えさせ、答えを引き出すことができる。

自身の経験を客観的に語れる

成功体験だけでなく失敗談も交え、自らの経験を学びとして客観的に伝えられる。

守秘義務を遵守できる

メンティから打ち明けられたプライベートな悩みなどを、決して他言しないという高い倫理観を持つ。

メンター制度導入の具体的な流れ

メンター制度を効果的に機能させるためには、計画的な導入プロセスが不可欠です。

制度の導入は、「目的設定」から「効果測定」まで、一連の流れを体系的に設計することが成功の鍵となるでしょう。

STEP1: 目的と目標の設定

まず、「なぜメンター制度を導入するのか」という目的を明確にします。「新入社員の3年後定着率を〇%向上させる」「若手社員のエンゲージメントスコアを〇ポイント上げる」など、具体的な数値目標を設定すると、後の効果測定が容易になります。

STEP2: 制度の設計

目的と目標に基づき、制度の具体的なルールを設計します。対象者(メンター、メンティ)、実施期間(半年、1年など)、面談の頻度や方法、活動内容、報告プロセス、予算などを詳細に決定します。

STEP3: メンター・メンティの選定とマッチング

設定した要件に基づき、メンター候補者を選定します。その後、メンティとのマッチングを行いますが、ここでの相性は制度の成否を大きく左右するため、性格診断ツールの活用や事前ヒアリングなどを通じて慎重に組み合わせを検討する必要があるでしょう。

STEP4: 事前研修の実施

制度開始前に、メンターとメンティ双方に研修を実施します。メンターには、役割の理解、傾聴やコーチングの基本スキルを、メンティには、制度の活用方法や相談の仕方を学んでもらいます。この事前研修が、双方の認識を合わせ、スムーズな関係構築を促進します。

STEP5: 制度の開始と定期的なフォローアップ

制度を開始した後も、人事部門は放置するのではなく、定期的にメンターとメンティから状況をヒアリングし、フォローアップを行います。関係性がうまく築けていないペアがあれば、間に入りサポートするなどの介入も必要です。

STEP6: 振り返りと効果測定

制度期間終了後、アンケートやヒアリングを実施し、参加者の満足度や成長実感を評価します。また、設定した定着率などのKPIが達成できたかを測定し、制度全体の効果を検証して次年度の改善につなげることが可能です。

メンター制度を成功に導くための3つのポイント

最後に、メンター制度を形骸化させず、真に効果的なものにするための重要なポイントを3つご紹介します。

① 相性を考慮した慎重なマッチング

メンターとメンティの相性は、制度の成果に直結する最も重要な要素です。

機械的な割り当ては避け、両者の性格、価値観、キャリア志向などを考慮して、最適なペアリングを追求することが重要です。メンティに複数のメンター候補者から希望を出してもらう方法も有効です。

② メンターへの丸投げをやめ、十分な研修とサポートを行う

「あとはよろしく」とメンター個人にすべてを一任するのは、制度が失敗する典型的なパターンです。

メンター自身も、どのように関われば良いか悩むことがあります。企業としては、前述の事前研修はもちろん、メンター同士が情報交換できる場を設けることや、人事部がいつでも相談に応じられる体制を整えるなど、メンターを孤立させない手厚いサポート体制が不可欠です。

③ 制度の目的を全社で共有し、協力体制を築く

メンター制度は、人事部と当事者だけで進めるものではなく、全社的な取り組みとして位置づけることが重要です。

特に、メンターの上司には、メンター活動が本人の重要な業務であり、成長機会でもあることを理解してもらい、業務量の配慮などを行ってもらう必要があります。全社でメンター制度の重要性を共有し、温かく見守り、後押しする文化を醸成することが、制度の成功を盤石なものにします。

メンター制度で、社員と組織の持続的な成長を

メンターとは、若手社員の成長を支える「信頼できる相談役」であり、副業社員が組織に参画する際にも、その存在は組織全体の活性化につながるでしょう。OJTが即戦力化のための「技術指導」であるならば、メンター制度は持続的な成長を促す「心の土壌づくり」と言えるでしょう。

成功のためには、慎重なマッチング、メンターへの十分なサポート、そして全社的な協力体制が不可欠です。適切に設計・運用されたメンター制度は、人材育成と組織開発における極めて強力な投資となるはずです。

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