
カムバック制度とは?導入メリットデメリットや注意点を解説
労働人口の不足により採用難が深刻化する昨今、元社員を自社へ再び迎え入れる「カムバック制度」が注目を集めています。元社員であれば、副業人材と同様に即戦力としての活躍が期待できるうえ、自社風土に対する理解があるため、極めて効率の良い採用制度といえるでしょう。
そこで本記事では、カムバック制度のメリット・デメリットに加え、導入時の注意点も詳しく解説します。
- 再入社率は5割超。アルムナイ制度が“戻りやすさ”のカギに
- 再入社経験者の半数がつながりを維持。取引先としての関係が顕在化
- 退職経験者の64.5%が「今後、退職した企業で副業をしてみたい」と回答
カムバック制度とは
カムバック制度とは、一度自社を退職した社員を再び受け入れる仕組みを指します。自社文化や業務フローに精通した人材を再登用できるため、即戦力としての活躍が期待されます。
類似の制度としては「再雇用制度」や「アルムナイ制度」が挙げられます。ただし、カムバック制度の対象が自主退職した元社員であるのに対し、再雇用制度は定年退職者を対象とする点で大きな違いがあるといえるでしょう。
また、アルムナイ制度は退職者とのつながりを維持する仕組み全体を指し、その一部にカムバック採用が含まれます。
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カムバック制度のメリット
企業にとってカムバック制度の導入は、次の3つのメリットがあります。
即戦力として早期に活躍できる
元社員であれば、社内の業務フローやシステムを理解しているため、中途採用者よりも早期に成果を上げられる可能性があります。
在籍時に担当していた業務であれば、ほぼ即日で成果を出せる場合もあるでしょう。また、自社文化や職場環境に馴染みがあるため、既存社員との関係構築も円滑に進みます。
採用・育成コストを抑えられる
人材採用には多くのコストが発生します。自社リソースに余裕がない場合、採用や人材育成にかかる負担が経営や業務全体を圧迫するおそれがあります。
カムバック制度であれば、自社ではたらいていた元社員を再び迎え入れるため、求人媒体などを利用した大規模な採用活動を行う必要がありません。また、オンボーディングの期間も大幅に短縮できることから、育成コスト全体の削減につながるでしょう。
他社での経験やスキルを持ち帰ってくれる
自社を退職した社員が、他社で培った経験やスキルを持ち帰ることも、カムバック制度の大きなメリットです。特に変化の早いIT関連分野では、元社員を通じて得られる他社の取り組みが貴重な示唆となります。
さらに、他社のマネジメント手法や人材育成法、意思決定のプロセスなどは、自社における改善点の発見につながり、結果として組織の成長やイノベーションを促進するでしょう。
カムバック制度のデメリット
カムバック制度には、次の2つのデメリットがあります。これらのデメリットを理解したうえで導入を検討することが重要です。
退職理由の根本が解決していないと再離職のリスクがある
社員が退職に至った理由が「自社文化やはたらき方との不適合」「上司や同僚との関係不良」などである場合には注意が必要です。
再入社後も状況が改善されていなければ、再び離職する可能性があります。再離職のリスクを防ぐためには、再入社前に元社員と面談を行い、問題点を明確にしたうえで、同じ不満を繰り返さないよう配慮・改善することが求められます。
既存社員との人間関係・上下関係が複雑になることもある
カムバック制度では、再入社した元社員の後輩が上司となる、あるいは元上司が部下となるなど、立場の逆転が生じるケースは珍しくありません。また、既存社員から「また辞めてしまうのではないか」という懸念を抱かれる場合もあります。
このように既存社員との関係が複雑になると、新たな摩擦やストレスの要因となりかねません。そのため、制度を導入する際には、元社員のポジションや職務範囲、昇格基準などを既存社員へ事前に共有し、双方の立場を尊重した関係構築に努めることが重要です。
カムバック制度導入時の注意点
自社でカムバック制度を導入する際は、以下に挙げる3つの注意点を押さえておきましょう。これらの注意点を踏まえることで、制度の成功確率が向上します。
対象者の条件を明確に定義する
カムバック制度導入時に重要なのは、不公平感や混乱を招かないことです。退職した社員であれば誰でも戻れるという仕組みでは、既存社員のモチベーション低下につながるおそれがあります。
対象者の条件については「退職理由や経過期間」「勤続年数」「スキルや実績」などを踏まえて明確に定義することで、公平性が担保され、採用効率の向上にもつながります。
制度の目的を明文化する
「自社がなぜカムバック制度を導入するのか」という点が曖昧であると、対象者の選定や運用にブレが生じてしまいます。
制度の目的は「企業」「元社員」「社会的意義」など複数の視点から明文化しておくことが重要です。そのうえで社内規程や採用ページに明記し、既存社員と対象者双方に周知する工夫が求められます。
再雇用者の評価・キャリアパスを他の社員と整合性を保って設計する
再雇用した元社員と既存社員の評価やキャリアパスに整合性がなければ、不公平感が生じ、結果としてモチベーション低下につながります。
再雇用者にも既存社員と同じ評価制度を適用し、キャリアパスについては「在籍年数」や「退職後のキャリア」を考慮して再入社後のポジションを決定する必要があります。入社後の昇給や昇進についても、既存社員と同じ基準に基づいて行えば、公平性を保つことができます。
御社の業務に副業社員を検討してみませんか?
今回はカムバック制度について、メリットやデメリットに加え、企業が理解しておくべき注意点を整理しました。
元社員だけでなく、経験豊富で高いスキルを有する副業社員を導入することで、御社の課題解決につながる可能性があります。
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