歯科医の副業とは?時給相場や案件例、注意点まとめ
一生ものの歯の健康を管理し、保健指導や治療を行う歯科医。
近年、少子高齢化や歯科医院の増加により、勤務医を取り巻く環境は厳しさを増しています。
そのようななかで、本業とは別に副業を始めようと考えている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、歯科医は副業できるのか、またおすすめの仕事の種類や副業する際の注意点を詳しく解説します。
具体的な案件例や時給相場も紹介するので、副業探しの参考にしてくださいね。
歯科医は副業しても良い?
歯科医の主な勤務先は歯科医院や病院です。そのほか、口腔ケア製品や医薬品メーカーあるいは歯科治療用器具メーカーなど、民間企業に勤める人もいます。これら企業や民間の歯科医院・病院に勤める歯科医は、法律で副業が禁止されているわけではないため副業が可能です。ただし、企業や医院で副業に制限があるケースもあります。始める前に、就業規程を確認し、副業が認められていることを確認しておかなければなりません。
一方、国立・公立の医療機関に勤務している歯科医は地方公務員扱いであるため、「地方公務員法第38条」(※1)で副業が原則禁止されています。なお、厚生労働省に所属する医系技官も国家公務員にあたります。そのため同様に、「国家公務員法第103条・第104条」(※2)により本業と別に仕事に従事することは認められていません。許可を得ずに副業をした場合は、行政処分の対象になるため十分に注意しましょう。
※1出典:e-Gov法令検索HP「地方公務員法」
※2出典:e-Gov法令検索HP 「国家公務員法」
歯科医の副業の主な種類
歯科医の資格やスキル・経験を活かせるおすすめの副業を4種類紹介します。
メディカルライター
まず紹介するのは、メディカルライターです。メディカルライターは、医療や健康に関する専門的な情報をまとめて記事にする仕事です。執筆媒体は多岐にわたり、専門的なものだと薬事法規制文書(医療機器や医薬品の製造販売に関する文書など)や学会発表用の医学論文、医学書などがあります。一方、一般の人々にわかりやすく噛み砕いて説明することが求められる患者向け資料やパンフレット、健康に関する情報を発信するWebメディアもメディカルライターが記事を提供する媒体です。
学会発表の資料のライティングでは特に最新の研究に携われるため、本業のスキルアップや新しい知見が得られるメリットがあります。とりわけ書くことが好きな歯科医におすすめの仕事です。
セミナー講師
ある程度歯科医としての経験を積んだ人であれば、オンラインセミナーや専門学校の講師も選択肢の一つです。年間を通して全国で歯科領域のセミナーや講演会、研修会が開催されています。実績のある歯科医であれば、医療機器メーカーや製薬会社からセミナーでの講演や協賛している学会・セミナーでの座長のオファーがくることもあるでしょう。得意な分野があれば、それにまつわる発表を依頼されるケースが多く、繰り返し講演の仕事を受けられるようになると、書籍執筆やメディアのコメンテーターなどさらなる案件につながる可能性もあります。
歯に関するコンサルタント
歯科医といえばクリニックでの歯の治療のイメージが強いかもしれませんが、歯の健康はもちろん、美容にフォーカスし、口元の美しさの観点で相談にのったり指導したりする仕事もあります。市町村や歯科医の職能団体である地域の医師会が対面や電話相談の場を提供していたり、最近ではビデオ通話やチャット機能、あるいはSNSのLINEを活用してオンラインで現役歯科医が相談に乗るプラットフォームも登場したりしています。休みの日や空き時間を活用して、自分のペースで始めやすい仕事といえるでしょう。
非常勤講師
最後に紹介するのは、非常勤講師です。歯学部のある大学や歯科衛生士、歯科技工士を養成する専門学校では、歯科医の資格保有者が講義を行ったり実習サポートをしたりすることがあります。本業の傍ら週に一度ペースで授業を行うといった働き方が可能で、生徒たちとはもちろん現役大学教員や研究者、講師陣とつながりができるため新たな知識の蓄積や情報交換の機会が創出できる点でメリットが大きい仕事といえるでしょう。
歯科医の副業案件の例
ここからは、歯科医の免許や経験が活かせる具体的な副業案件を2パターン紹介します。
専門学校での非常勤講師
業務内容 | 歯科衛生士を養成する専門学校での非常勤講師 ・「口腔解剖学」「薬理学」の授業 ・定期試験問題作成と採点 |
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稼働時間 | 勤務時間:9:00〜16:00 1ヶ月に4度勤務(28時間/月) ※授業時間により異なる可能性あり |
単価 | 時給8,000円〜 ※授業は1コマ90分 ※経験や資格により時給は異なる |
条件 | ・歯科医師の資格を保有していること ・副業・WワークOK |
メディカルライター
業務内容 | 医療機関の運営するオウンドメディアの記事作成 ・歯科医師への取材(オンライン/現地取材) ・記事執筆 |
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稼働時間 | 記事1本あたりの工数:6時間 1ヶ月に記事を2本納品(12時間/月) |
単価 | 記事1本 5万円〜 ※経験やスキル考慮あり |
条件 | ・歯科医師か医師免許を保有していること ・コミュニケーションが円滑に行えること ・経験者優遇 |
歯科医の副業案件の時給相場
先ほど触れたように、最近は美しい歯への関心がさらに高まってきています。虫歯の治療や歯の定期検診以外に、歯科矯正やホワイトニングといった美容の観点でも歯科医の副業ニーズは高まり、幅も広がってきている状況です。
歯科医師免許を保持する人しか受けられない案件では、セミナー講師でもメディカルライターでも、資格不要の案件の数倍の単価が設定されていることが一般的です。仕事の種類により、時給や日給の相場は異なりますが、いくつか例を挙げると以下の通りです。
・歯に関するオンラインコンサルタント:時給8,000円~2万円程度
・学会でのセミナー講師:講演1回あたり5万~10万円程度
歯科医が副業する際の注意点
最後に、歯科医が副業をする際に注意しなければならないポイントを解説します。
患者情報の取り扱い
副業をする際に最も注意しなければならないのは、患者情報の取り扱いでしょう。歯科医院での個人情報には、問診票や診療記録のほか、検査記録やエックス線写真、口腔内写真、歯型などがあります(※1)。学会発表やセミナー、講演では、自院で扱った症例をプレゼンテーション資料に掲載する場合もあるでしょう。その際も、個人情報はあらかじめ隠し、個人を特定できないよう準備しておく必要があります。これに違反することがあれば、行政機関である個人情報保護委員会から指導や勧告、罰則を科されるケースがあるため慎重に確認しましょう。
また、副業で別の医院へ勤務するケースもあるかもしれません。その際は、本業で勤めているクリニックにある秘密情報を新しい勤務先へ開示してはいけません。勤務医の場合、一般的には就職する際に「秘密保持契約」や「競業避止義務契約」を締結することが多いでしょう。
秘密保持契約は、自院の保有する患者情報や経営情報などを第三者へ漏えいしないことを約束する契約。競業避止義務契約とは、所属するクリニックや病院の不利益となるような競業行為を禁止するものです。これらに違反すると、損害賠償の請求の措置が取られる可能性があるため十分に注意しましょう。
※1出典:公益社団法人 日本歯科医師会『私たちスタッフはあなたの大切な個人情報を守ります。』
時間と健康の管理
副業で自身のスキルアップや収入アップを目指すのは良いことですが、働きすぎないように注意しましょう。普段から患者と向き合い、一日中診療を行っている歯科医。休日や空き時間をうまく活用し、まずは週に1度2時間から始めるなど、できる範囲で徐々に仕事を増やしていくと安心です。
厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』によると、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間と定められています。それを超えると健康にも支障をきたす可能性があるとされています。本業が疎かにならないよう、無理せず、十分な睡眠と栄養バランスがとれた食事をとり、健康的に副業を生活に取り入れていきましょう。
※1出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』
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この記事では、歯科医は副業できるのか、またおすすめの仕事の種類や副業する際の注意点を詳しく解説し、具体的な案件例や時給相場も紹介しました。
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