医師の副業とは?時給相場や案件例、注意点まとめ
病気やケガをしている患者を、技術と経験で治癒に導く医師。
命の最前線を支える勤務医の場合、開業医に比べて収入が低い傾向にあるため、その資格やスキルを活かして効率的に稼げる副業を検討される方も多いのではないでしょうか。
本記事では、医師の資格やスキルが活かせるおすすめの副業について「種類」「具体的な案件例」「時給の相場」などのポイントと、副業をする際の注意点を交えて詳しく解説していきます。
医師は副業しても良い?
医師の副業は法的には問題ありません。
ただし研修医に関しては、他の医療機関や施設などでの診療行為を含む副業が禁止されています。
勤務先が公立病院である場合、以下に記載する2.の特定独立行政法人に勤務する医師は国家公務員で、4.の特定地方独立行政法人に勤務する医師は地方公務員になるため、国家公務員法第103条・第104条(※1)、地方公務員法第38条(※2)により、副業はできません。
いずれも許可を得ないで副業をすると減給などの処分はもとより、副業によって医師としての品位を損するような行為や、犯罪に関わる不正行為を犯した場合には医師法(第7条)(※3)により行政処分(※4)の対象となるため、注意しなければなりません。
1.独立行政法人 (国立大学法人・国立病院機構) |
法律上副業を禁止する規定はなく、下記の条件を満たしていれば副業は可能 ・法人役員でないこと ・就業規則で副業が禁止されていないこと |
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2.特定独立行政法人 | 国家公務員となるため、国家公務員法により法人役員・職員共に副業禁止 |
3.一般地方独立行政法人 (公立大学法・公立病院) |
法律上副業を禁止する規定はなく、下記の条件を満たしていれば副業は可能 ・法人役員でないこと ・就業規則で副業が禁止されていないこと |
4.特定地方独立行政法人 | 地方公務員となるため、地方公務員法により法人役員・職員共に副業禁止 |
また勤務先が民間病院の場合でも、就労規則によっては副業が禁止されているケースもあるため、医局長か担当部署にあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
※1出典:e-Gov法令検索HP 国家公務員法
※2出典:e-Gov法令検索HP 地方公務員法
※3出典:e-Gov法令検索HP 医師法
※4出典: 医道審議会医道分科会文書 医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について(平成14年12月13日)
医師の副業の主な種類
医師のスキルを有効に活かせる副業として、代表的な5種類を以下で紹介します。
医学講師
普段は勤務医として働きながら、大学や予備校・医学教育支援事業などを行う企業で、非常勤の講師として医療に関する個人指導や医師国家試験の対策講座などを行います。
働く施設の場所や時間をある程度自由に決めることができることから、ワークライフバランスの取りやすい魅力的な副業といえるでしょう。
講義は1コマ90分で6,000~6,500円程度が相場です。非常勤のため賞与などは支給されませんが、講義を複数受け持っていれば月に20万円程度の収入が見込めます。
医療コンサルタント
デバイスメーカーや製薬企業などによる新規デバイスや薬剤の導入・開発などの課題・調査に関して、専門家である医師としての見地から的確な意見やアドバイスが求められるスポットコンサルティングも非常にニーズがあります。
依頼企業に対して、医師はオンラインツールなどでコンサルティングを行うケースがほとんどのため、時間の融通が利きやすい点でもメリットの大きい副業といえるでしょう。
報酬単価は、診療科目や依頼時期により若干の差はあるものの、1時間あたり3万~5万円程度と、効率よく収入が得られます。
メディカルライター
医師の経験やスキルがあれば、医療系や美容系のWebコンテンツをはじめ、雑誌のコラムなど医療に関する幅広いジャンルにおいて、メディカルライターとして専門知識を活かした記事を書くことができます。
メディカルライターは、近年の健康志向と高い専門性が求められることも相まって非常にニーズがあり、文字単価が5~20円程度とかなり高い点でも、副業としておすすめといえるでしょう。
また、他のライターが書いた記事について内容に誤りがないかチェックする監修も、1記事あたり5,000~5万円程度の報酬が見込めます。
記事の執筆や監修は基本的に在宅でできるため、空いた時間を有効に使えるのもメリットといえます。
定期非常勤
本業での勤務先以外の医療機関で、毎週同じ曜日や時間など定期的に診療を行う定期非常勤も、時給1万円程度と安定した収入が得られるため、副業としてはおすすめです。
収入面の他に、多種多様な患者と幅広い症例に触れられるため、医師としてスキルUPができるのもメリットといえるでしょう。
ただし常勤医師扱いにならないよう、同一施設での勤務は1週間の勤務時間を32時間未満に収めなければなりません。
セミナー講師
製薬会社や研究会などに依頼される医学系の講演において医師ならではの知見を披露できる講師は、医師にとって一番おすすめできる副業といえるでしょう。
最新医療の研究など、特定分野に関する経験や実績があり、医学において興味深い論文を発表している医師なら、各企業などで定期的に開催されるセミナーに招待される可能性もあります。
1セミナー2時間で5万~10万円程度の高額な報酬が見込めるうえ、知名度が上がれば各種メディアへの出演や書籍の執筆などにもつながります。
医師の副業案件の例
医師のスキルが活かせる副業案件について、「稼働時間」「単価」「条件」の具体例を踏まえながら、以下に2例紹介していきます。
歯列矯正・審美歯科に関するコラムの監修
稼働時間 | 1ヶ月に1記事4,000文字の記事を5本監修(25時間程度/月) |
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単価 | 時給7,000~9,000円程度 |
条件 | 専門性に富み、読者に有益なコラムの監修を1ヶ月に3本以上納品できること |
製薬企業による若手医師のための循環器セミナー講師
稼働時間 | 1セミナー2時間(セミナー時発表用のスライド・資料作成含め5時間程度/月) |
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単価 | 時給1万~2万円程度 |
条件 | 循環器関連の論文や著作物の発表経験があること |
医師の副業案件の時給相場
近年、健康不安や生き生きとした生活を目指すウェルネス志向が高まるにつれて、多くの人々が専門的な知識を求めるようになり、非常にニーズが高まっている医師の副業。副業をした場合、時給や単価に換算すると、その相場は以下のようにほかの仕事と比べて比較的高めの設定になっています。
- 救急対応なしのスポット当直業務/時給4,000~5,000円程度
- 献血センターでの問診業務/日給5万~7万円程度
医師が副業する際の注意点
医師の立場として副業をする場合、以下の2つに関しては特に注意するようにしましょう。
法律や規制の遵守
公務員の立場にある医師が副業に携わらないことはもちろん、医師が副業をするうえで遵守すべき法律や規制があることを前提にしておきましょう。
また、かねてから医師は長時間労働が問題視されていたため、2024年4月より医師の働き方改革として、労働基準法および労働基準法施行規則において医師に対する時間外労働の上限規制(36協定)(※1)の適用が開始されます。
この適用により、各医療機関が着実に対象となる医師の労働時間を短縮することを目的に、以下A~Cの短縮目標ラインを設定しています。
A水準 | 年960時間以下 |
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B水準 | 地域医療確保暫定特例水準:年1860時間以下、B水準となる医療機関に対して医師の派遣を行う連携B水準の場合は、個々の医療機関において年960時間以下 |
C水準 | 集中的技能向上水準:年1860時間以下 |
国家・地方公務員法をはじめ、医師法・労働基準法など、さまざまな法規範を遵守しつつ、何より医師として常に医療の公共性を重んじながら、社会の発展に尽くす立場をわきまえ、常にモラルある行動を取っていく必要があります。
※1出典:厚生労働省HP 医師の時間外労働規制について
患者情報の取り扱い
2015年4月の法改正(※1)により、かつては対象外であった小規模な医療機関においても個人情報保護法を遵守する義務が発生しました。
この点において医師は、診療録や手術録・処方箋・検査所見記録・X線写真・調剤録など、多岐にわたる患者の記録を個人情報保護法上の個人情報として適切に取得・保管しなければなりません。
患者の個人情報に関する目的外の利用や漏えいなど、個人情報保護法に違反する行為があった場合は、個人情報保護委員会から指導・勧告を受けたり、状況によっては罰則が科されたりするケースもあります。
医療における個人情報は命に関わるというとりわけデリケートな特性があるため、副業においても業務上知り得た患者の情報をうっかり漏らすことのないよう、最大限の注意を払うようにしましょう。
※1出典:厚生労働省HP 改正後全文(医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス)
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