失業中に副業した場合、失業手当はもらえる?
離職後の金銭的な生活不安を軽減し、再就職を支援する目的で支給される失業保険。
失業中に副業をした場合、手当がもらえるかどうか不安な方もいらっしゃるでしょう。
今回は失業手当の受給資格から、失業中に副業をした場合の「1日4時間以上もしくは未満」それぞれの支給例や手続きなど、役立つ情報をご紹介します。
失業保険の受給資格とは
失業保険とは正式には「基本手当」を指し、会社の雇用保険(※1)に加入していた方が「自己都合」または「会社都合」で失業の状態となった場合に受給できる手当のことです。
基本手当が受給できる雇用保険の適用条件は、以下に該当していれば原則としてすべて被保険者となり、雇用保険料を支払わなければなりません。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 雇用見込みが31日以上である
雇用保険料は、被保険者である労働者の毎月の給与やボーナスに雇用保険料率(※2)をかけて算出されます。また、受給資格は、離職理由が自己都合か会社都合かにより異なるのが特徴です。
自己都合の場合は、転職や留学をしたい等の事由による「一般離職者」と、病気や契約更新がされなかった雇い止めなどの「特定理由離職者」(※3)でも条件が異なります。
会社都合は「特定受給資格者」(※4)となり、倒産や解雇など会社側の事由による離職が条件です。
いずれもハローワークに通い、就職する意思・能力があり求職活動をしているにもかかわらず、職業に就くことができない“失業の状態”であることが受給資格の第一条件になります。
自己都合退職(一般離職者) |
離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あること(賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上または賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月を1ヶ月と計算) |
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(特定理由離職者) |
離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上あること |
会社都合退職(特定受給資格者) |
※離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること。ただし、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あることでも可 |
※1出典:厚生労働省HP 雇用保険制度
※2出典:厚生労働省HP 令和5年度雇用保険料率のご案内
※3出典:ハローワークHP 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
※4出典:ハローワークHP 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
基本手当ての受給中に副業をした場合
失業時に受給できる基本手当の日額や給付日数は、年齢や雇用保険の被保険者期間・離職理由によって異なりますが、受給できる期間は離職日の翌日から1年間です。
- 基本手当日額/雇用保険で受給できる1日あたりの金額(※1)
- 所定給付日数/基本手当てが支給される日数(※2)
- 雇用保険の被保険者期間(※3)
基本手当を受給するには離職票をハローワークへ提出し、求職の申し込みをしなければなりません。
この時点で副業を週20時間以上している場合は失業の状態とみなされず、基本手当の受給はできないため注意しましょう。
また、求職の申し込み後から通算7日間の待機期間中に副業することも禁止されています。
副業開始がOKとされるのは給付制限期間(※4)からになります。また副業をする場合の申告区分は以下の2つです。
① 1日4時間以上の労働をした「就職または就労」
② 1日4時間未満までの労働である「内職または手伝い」
①の場合だと該当日の受給資格はなくなり、その分日数が繰り越され、②は原則として支給されますが、収入金額により減額または無支給になるケースもあります。
また①②いずれも4週に1回の「失業認定日」(※5)に提出する失業認定申告書で、副業をした旨の申告をしなければなりません。
この申告を怠ると、基本手当の不正受給(※6)とみなされてペナルティを課せられます。
不正受給した分の金額の返還はもちろんのこと、その2倍にあたる金額の納付命令や、悪質と判断されれば詐欺罪に問われるケースもあるため、必ず申告しておきましょう。
また基本手当日額の計算方法は以下の通りで、年齢ごとに上限・下限額(※7)が決まっています。
基本日額の計算方法 |
・離職日の直前6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金(賞与等除く)の合計÷180•••① |
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▼年齢ごとの支給上限額と下限額(令和4年8月1日~現在)
支給上限額 |
支給下限額 | |
30歳未満 | 6,835円 | 2,125円 |
30歳以上45歳未満 | 7,595円 | 2,125円 |
45歳以上60歳未満 | 8,355円 | 2,125円 |
60歳以上65歳未満 | 7,177円 | 2,125円 |
※1出典:厚生労働省HP 基本手当日額の計算式及び金額
※2出典:厚生労働省HP 雇用保険の基本手当の所定給付日数
※3出典:厚生労働省HP 雇用保険の被保険者期間算定方法
※4出典:ハローワークHP 給付制限期間
※5出典:ハローワークHP 失業の認定
※6出典:ハローワークHP 不正受給の典型例
※7出典:厚生労働省HP 雇用保険の基本手当日額
1日4時間以上働いた場合の支給例
基本手当を受給中に副業で1日4時間以上働いた場合、その支給額はどのようなものになるか、以下で具体的な事例を挙げていきます。
支給例
・基本手当日額/5,000円 ・所定給付残日数/90日間 ・4週間(28日)の間に1日4時間以上の副業を8日間した場合 |
|
認定日に支給決定される金額 | 10万円(5,000円×20日分) |
認定後の所定給付残日数 | 70日 |
手続き方法
4週に1回の失業認定日にハローワークに提出する失業認定申告書のカレンダー(※1)に「〇印」を記載して、収入のあった日と日数・金額を記載します。
会社で働いた場合は、備考欄に会社名と連絡先も記載しておきましょう。
※1出典:ハローワークHP 失業認定申告書記入例
1日4時間未満で働いた場合の支給例
1日4時間未満の副業だとしても、得た収入額によっては基本手当が減額となるケースがあります。
また、稼いだ日額が1日の基本手当の金額の80%を超えていた場合は、不支給となるため注意しましょう。以下の支給例は、減額となった場合の事例になります。
支給例
・離職前の賃金日額/7,000円 ・基本手当日額/4,999円(60歳未満) ・4週間(28日)に1日4時間未満の副業を2日間して6,000円の収入を得た場合 |
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1日あたりの減額分 | [(6,000円/2-1287円)+4,999円]-7,000円×80%=1,112円 |
基本手当の支給額 | 4,999円×(28日-2日)+(4,999円)-1,122円)×2日=137,748円 |
手続き方法
4週に1回の失業認定日にハローワークに提出する失業認定申告書のカレンダー(※1)に「×印」を記載して、収入のあった日と日数・金額を記載します。
※1出典:ハローワークHP 失業認定申告書記入例
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