社会福祉法人いずみ
紙文化からの脱却!三重県の社会福祉法人が副業・兼業人材と進めたDX推進プロジェクトストーリー
lotsfulは2023年8月から三重県東員町と連携し、町内企業のデジタルデバイス活用における副業・兼業人材の受け入れ支援を行っています。この取り組みでは、デジタルデバイス活用に関わるプロジェクトを対象に、副業人材の受け入れ費用約3分の2を東員町がサポート。lotsfulが各社の課題にあわせた業務内容の要件定義や人材の提案、受け入れ後の伴走まで支援しています。
本記事では、東員町が取り組む副業・兼業人材活用のモデル事業の事例として、社会福祉法人いずみのDX推進プロジェクトをご紹介します。障がいのある方が住み慣れた地域で暮らすためのサポートを行う社会福祉法人いずみでは、情報共有のためのツールがいまだにアナログ(紙)であるという課題がありました。
そうした課題を解決するために、社会福祉法人いずみでは副業・兼業人材の活用に着手。実際に、どのように取り組みを進め、どのような成果を得たのでしょうか。社会福祉法人いずみの理事長である山本 憲治氏と、同法人が運営する生活介護ステーションTOINあーち施設長の安居 良香氏、副業・兼業人材の中山 隆希氏から話を伺いました。
会社情報
社会福祉法人いずみ | 日中活動、余暇の支援、暮らしの支援、相談の4つの事業を軸に、障がい者支援に取り組む |
---|---|
設立年 |
1991年7月 |
社員数 |
116名(2024年1月現在) |
副業活用ポジション |
業務改善支援 |
社会福祉法人いずみ 理事長
山本憲治 氏
1970年代に活動を開始し、法人化して30年以上が経過する「社会福祉法人いずみ」の理事長を令和3年7月より務める。今回のDX推進プロジェクトをバックアップしている。
社会福祉法人いずみ
生活介護ステーションTOINあーち施設長
安居良香 氏
レク活動、手作り活動、下請け作業などに取り組む「生活介護ステーションTOINあーち」の施設長。今回、副業・兼業人材との窓口担当としてDX推進プロジェクトに取り組んでいる。
兼業・副業人材(lotsfulタレント)
中山隆希 氏
大手事業会社にて、マーケターとして活躍。中長期戦略検討やリブランディングを担当し、消費者目線に立った持続可能性のある戦略検討に強みを持つ。また一方で、都内を中心に副業案件に多数関わり、自らスタートアップの立ち上げなども手がけている。
紙から脱却し、業務効率を上げる
安居氏
情報共有などを紙で行っていたのですが、人手不足もあり、なんとかDX 化したいと思っていました。しかし、従業員の年齢の幅も広く、それぞれITに対する知識や活用スキルに差があるため、みんなが使えるツールがない状態だったのです。それらを解決するため、副業人材を活用することにしました。
山本氏
当法人の従業員はパートさんも含めて100名以上いるのですが、子育て世代から60代以上の世代まで、幅広い年齢層の方が働いています。
中山氏
私は本業に加え、以前から副業にも取り組んでいます。知人の紹介で取締役などのポジションで副業に入ることが多く、担当するのは都内の企業の案件ばかりでした。DX化が進んでいるところがほとんどだったのですが、一方で地方を見てみるとDX化が進んでいない中小企業が大多数です。「この課題は根が深く、解決に取り組んでみたい」と思い、挑戦することにしました。私のまわりには地方企業の副業案件に詳しい人がいなかったので、今回lotsfulを利用してトライすることにしたのです。
安居氏
今までは施設の利用者の健康状態や活動の様子を紙の用紙に記入していたのですが、その情報を共有することがあまりできていませんでした。さらに、情報共有だけでなく、保存した情報を医師や家族にも見せられるようにできたらなと。ちょうどタブレットを購入するタイミングだったので、タブレットを使って従業員が誰でも簡単に利用者の情報を記録でき、共有する仕組みを作りたいと中山さんに要望をお伝えしました。
安居氏
紙に手書きした情報をPCに入力していた時期もあったのですが、それだと二度手間になりますし、PCで情報をわざわざ見る人もあまりいなかったのです。
中山氏
安居さんの要望を踏まえて、DX化を進めるためのアプリの導入を検討しました。アプリを選ぶ上で、「従業員のみなさまが使える」、「細かくカスタマイズできる」、「私がいなくても使用できる」という3つの条件があります。今回は、それらすべてに対応できる『kintone』を導入することにしました。
しかし、いきなり「『kintone』にしましょう」と提案しても、なぜそれがいいのか理解しにくいと思ったので、簡単なプロトタイプ版を作ってお見せしていきながら進めていきました。1回目の検証では利用者の情報を入力して、管理できるツールを『kintone』で作り、従業員の方に3日間ほど使用してもらいました。そこで出た意見をもとにカスタマイズを進め、2回目の検証を近々行う予定です。
山本氏
DX化に取り組もうと考えても何をどうしていいかもわからない中で、私たちが遠慮なく要望を言っても中山さんは「無理です」とおっしゃらないんです。どうにかしようとしてくれる姿勢に、本当に感激しましたね。
従業員の生の声をアプリに反映させる
安居氏
従業員も介護系のアプリを調べていたのですが、どれも合わないと思っていたようです。いらない情報が入っていたりして、このままでは使えないので「やっぱり紙でいいんじゃないか」という意見が多くありました。
そういったことも踏まえて、1回目の『kintone』の検証から、入力する情報を絞りたい、情報を入れる順番を変えたい、文字を大きくしたいと、いろいろな要望が出てきました。その中からできること、できないことを中山さんに丁寧に説明いただいて、従業員の理解も進んでいきました。今まで使っていなかったタブレットで作業する大変さはありましたが、音声入力ができるなど驚きもあって、楽しく進められたのが印象的でした。
中山氏
これだけ現場の話を聞きながら業務を進めることはなかなかないので、とてもやりがいを感じています。「紙のときより情報共有がしやすくなった、業務スピードが上がった」といった意見を聞くと、純粋に嬉しいですよね。
山本氏
リモート会議の際に次回はどのような行動が必要か、中山さんがしっかりと決めてくれるので、やりにくさはありませんでしたね。
中山氏
都内で仕事をしていると、地方企業の生の声やインサイトを把握することは難しいでしょう。今回のプロジェクトでは、現場の声もたくさん聞くことができ、大きな知見を得ることができたと感じています。また、理事長の山本さん、施設長の安居さんのお二人に出会えたのも、私にとって大きな財産となりました。
従業員の課題を言語化。良い経験を積むことができた
山本氏
「素晴らしい方に出会えたな」というのが、率直な感想です。中山さんだったからこそ、ここまでスムーズにプロジェクトを進めることができたと思っています。最初はどんな人が来るのか、どこまで要望を伝えていいのか、不安がたくさんありました。しかし、中山さんの親しみやすい雰囲気や、「無理」と言わない姿勢のおかげで、気持ち良くプロジェクトを進めることができました。
安居氏
中山さんに要望を伝えるために、私も含め従業員が困っていることを言語化できたのもいい経験になりました。また、中山さんのようなDX人材と話す機会も今までありませんでしたので、そういった面でも刺激を受けましたね。そして何より、行政の補助があったからこそ、副業人材の活用ができました。正直、自分たちだけではお金のこともあり決断できなかったので、背中を押していただき感謝しています。
中山氏
地方が抱えている課題をなんとかしたいと思いプロジェクトに挑戦しましたが、私が想像していた以上にDX化がなかなか進んでいない実情を理解することができました。今後はDX化の推進はもちろん、本業での経験があるマーケティングやブランディング領域でも地方企業の力になれればと考えています。
山本氏
中山さんのような得意領域を持った人材と、いい出会いができたなと思っています。これからも困っている業務などあれば、副業人材を活用していきたいですね。
安居氏
多くの地方企業にとって、ITやDXなどは未知の領域です。それでもlotsfulの方々が、私たちにも理解できる共通言語で説明してくれて、非常に助かりました。わからなければ質問できましたし、理解のきっかけにもなりました。
中山氏
lotsfulがすごいなと思ったのは、そのスピード感ですね。登録してから1週間足らずで、今回のプロジェクトを紹介いただきましたし、応募してから1日足らずで連絡もくれました。地方の課題解決に挑戦するという目標に向けて、一瞬でつないでくれて感謝しています。
(編集・取材・文:眞田幸剛)
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