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人事ノウハウ

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レイオフとは?リストラとの違い、日本での実施が難しい法的理由と代替案を徹底解説

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近年、Google、Amazon、Meta(Facebook)、Microsoftといった米国の巨大IT企業(GAFAM)を中心に、数万人規模の「レイオフ」が実施されたというニュースが世界を駆け巡りました。日本でも、外資系企業だけでなく、業績不振や事業構造の転換を理由に人員削減を行う国内企業が増えつつあります。

しかし、ニュースで耳にする「レイオフ」という言葉を、単なる「解雇」と同じ意味で捉えていないでしょうか。実は、本来の意味や日本における法的な扱いは、一般的なイメージとは少し異なります。特に、日本の労働法制下でレイオフ(整理解雇)を実施するには、極めて高いハードルが存在します。

本記事では、レイオフの本来の定義からリストラとの違い、日本で実施が難しい法的背景(整理解雇の四要件)、そしてレイオフに踏み切る前に企業が検討すべき人件費削減の代替案まで、人事労務担当者や経営層が知っておくべき知識を網羅的かつ詳細に解説します。

レイオフとは?本来の意味と実態

レイオフ(Layoff)とは、企業の業績悪化を理由に、人件費を削減するために行われる「一時解雇」のことです。

本来の英語圏(特に製造業)における定義では、「将来的に業績が回復した際に、優先的に再雇用(リコール)する」という約束を前提とした解雇を指します。

つまり、景気の波に合わせて労働力を調整する手段であり、企業と従業員の間には「また戻ってきてもらう」というある種の信頼関係や前提が存在するのが特徴です。

現代における「レイオフ」の意味の変化

しかし、近年のニュース、特にIT業界などで使われる「レイオフ」は、再雇用を前提としない「恒久的な解雇」として使われるケースがほとんどです。

日本においても、「レイオフ」という言葉が使われる場合、一時的な措置ではなく、事実上の「指名解雇」や「整理解雇」の同義語として扱われることが一般的です。本記事でも、現代の実情に合わせて、企業都合による人員削減全般を指すものとして解説を進めます。

レイオフとリストラ、解雇の違い

「レイオフ」と混同されやすい言葉に「リストラ」や「解雇」があります。これらの言葉の定義と違いを整理します。

リストラとの違い

リストラとは、「リストラクチャリング(Restructuring)」の略語で、「事業の再構築」を意味する広義の経営用語です。

本来は、不採算事業の売却、成長分野への投資集中、M&A、組織再編など、企業を立て直すための施策全般を指します。

日本ではバブル崩壊以降、「リストラ=人員削減」というネガティブなイメージが定着しましたが、本来の意味では「人員削減(レイオフ)」は、リストラを実行するための一つの手段に過ぎません。

  • リストラ目的(事業の再構築)
  • レイオフ:手段(人員削減)

解雇との違い

解雇とは、使用者(企業)が一方的に労働契約を解除することの総称です。
解雇には主に3つの種類があり、レイオフはこのうちの「整理解雇」に該当します。

普通解雇 従業員の能力不足、勤務態度不良、病気や怪我による就業不能などを理由とする解雇
懲戒解雇

従業員の重大な規律違反(横領、経歴詐称など)に対する制裁として行われる解雇

整理解雇(=レイオフ)

従業員に落ち度はなく、会社の経営上の理由(業績悪化など)によって行われる解雇

なぜ日本ではレイオフ(整理解雇)が難しいのか?

「アメリカではメール一本で即日解雇された」という話を耳にすることがありますが、日本で同様のことを行えば、ほぼ確実に違法と判断され、無効となります。

なぜなら、日本には労働者を保護するための強力な法律(労働契約法)と、過去の裁判例の積み重ねによって確立された「整理解雇の四要件」が存在するためです。

労働契約法第16条(解雇権濫用法理)

日本の労働法では、解雇は自由に行うことはできません。

労働契約法 第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

特に、従業員に責任のない「会社都合」の解雇であるレイオフは、裁判所によって極めて厳格にその有効性が審査されます。その判断基準となるのが、以下の「整理解雇の四要件」です。

※出典:e-Gov法令検索「労働契約法第16条

整理解雇の四要件

企業がレイオフを適法に行うためには、原則として以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
※近年は、すべてを満たす必要はないとする「四要素説」も有力ですが、実務上は依然としてこれら全てをクリアする姿勢が求められます。

1.人員削減の必要性

「なんとなく将来が不安だから」では認められません。高度な経営危機にあり、人員削減を行わなければ企業の存続が危ぶまれるという、切迫した必要性が客観的な経営指標(赤字の継続など)によって証明されなければなりません。

2.解雇回避努力義務の履行

解雇は「最後の手段」です。レイオフに踏み切る前に、役員報酬のカット、経費削減、残業規制、新規採用の停止、配転・出向、希望退職の募集など、解雇を避けるためのあらゆる経営努力を尽くしたかどうかが問われます。

3.被解雇者選定の合理性

「気に入らない社員だから」「給料が高いから」といった恣意的な選定は許されません。勤務成績、勤続年数、扶養家族の有無など、客観的かつ公平な基準を設定し、その基準に基づいて対象者を選定する必要があります。

4.手続きの妥当性

労働組合や従業員に対して、整理解雇の必要性や時期、規模、方法について十分に説明し、誠意をもって協議を行ったかどうかが問われます。突然の通告は、この要件を満たしません。

欧米との雇用慣行の違い(メンバーシップ型とジョブ型)

法的なハードルに加え、雇用慣行の違いも大きく影響しています。

欧米(ジョブ型)

「仕事」に対して人が割り当てられます。その仕事(ポジション)がなくなれば、雇用も終了するという考え方が一般的です。

日本(メンバーシップ型)

先に「人」を確保し、後から仕事を割り当てる雇用のあり方を指します。仕事がなくなれば、配置転換をしてでも雇用を守るという「終身雇用」の考え方が根底にあり、解雇に対する社会的・法的な抵抗感が非常に強いのです。

レイオフ以外で人件費を削減する代替案

前述の通り、日本でレイオフ(整理解雇)を行うには極めて高いハードルがあり、不当解雇として訴訟となれば、バックペイ(解雇期間中の賃金)の支払いや慰謝料など、逆にコストが増大するリスクがあります。

そのため、企業はレイオフを検討する前に、以下のような代替策を段階的に講じる必要があります。

1.役員報酬・経費の削減(経営陣の痛みの分かち合い)

従業員の給与に手をつける前に、まずは経営陣が責任を取る姿勢を示すことが不可欠です。役員報酬のカット、交際費・出張費の削減、広告宣伝費の見直しなど、聖域なきコストカットを行います。

これは「解雇回避努力」の重要な証拠となります。

2.残業規制・一時金のカット

次に、労働条件の変更による人件費削減を検討します。

残業規制

原則として残業禁止とし、残業代を削減します。

賞与(ボーナス)の削減・不支給

賞与は業績連動の性質が強いため、基本給の削減に比べれば法的ハードルは低くなります。ただし、労働組合との合意形成は必要です。

各種手当の見直し

住宅手当や皆勤手当などの廃止・縮小を検討します。

3.配置転換・出向(ワークシェアリング)

余剰人員が出ている部署から人手不足の部署への異動(配置転換)や、関連会社・取引先への出向を通じて、雇用の維持を図ります。

また、一時帰休(自宅待機)を実施し、その間の賃金の一部をカットする方法もあります。
※休業手当として平均賃金の60%以上は保障する必要があります。

4.雇用調整助成金の活用

政府の支援制度を活用します。景気の変動等により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を解雇せずに休業や教育訓練等で雇用を維持した場合、その費用の一部が助成される「雇用調整助成金」の活用を検討します。

5.希望退職者の募集(早期退職優遇制度)

日本における事実上の「人員削減」の主役です。

会社側が一方的に解雇するのではなく、「退職金の割増(パッケージ)」や「再就職支援」といった優遇条件を提示し、従業員の「合意」に基づいて退職を募る方法です。

  • メリット:合意退職であるため、後々の法的トラブルのリスクが低い
  • デメリット:割増退職金のコストがかかる。優秀な人材から先に応募して辞めてしまうリスクがある

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今回は、HR担当者が知っておきたい視点として、避けて通れないレイオフ(人員削減)局面での影響や、その後の組織の立て直しについても触れながら、企業が持つべき備えを紹介しました。

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