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人事ノウハウ

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契約社員とは?正社員・派遣との違いから無期転換、雇止めルールまで徹底解説

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現代の多様なはたらき方の中で、「契約社員」は多くの企業にとって重要な労働力となっています。専門的なスキルを特定の期間だけ活用したい場合や、繁忙期に柔軟に人員を調整したい場合など、その活用場面は多岐にわたります。

しかし、「契約社員」という言葉は一般的な呼称であり、その法的な位置づけや運用には、正社員とは異なる専門的な知識が求められます。特に「無期転換ルール」や「雇止め法理」といった近年の法改正や判例の動向は、人事・労務担当者が必ず押さえておくべき重要事項です。

本記事では、契約社員の基本的な定義から、他の雇用形態との違い、雇用時に遵守すべき法的ルール、そして契約更新や雇止めに関する注意点まで、企業の健全な労務管理に不可欠な知識を網羅的かつ詳細に解説します。

契約社員とは?その法的な定義と位置づけ

契約社員とは、法律上の正式な用語ではなく、一般に「有期労働契約」を企業と締結してはたらく従業員を指す通称です。

法律上の正式名称は「有期契約労働者」です。契約社員を定義づける最大の特徴は、その名のとおり「労働契約にあらかじめ期間の定めがある」という点にあります。契約期間は「1年間」や「6ヶ月間」など個別に設定され、期間が満了すれば、原則として労働契約は終了します。

企業によっては「嘱託社員」「準社員」「非常勤」「パートナー社員」など、さまざまな呼称が用いられることがあります。しかし、労働契約に期間の定めがあれば、法的にはすべて同じ「有期契約労働者」として扱われ、労働契約法やパートタイム・有期雇用労働法などの法律が適用されます。

契約社員と他の雇用形態との明確な違い

契約社員の位置づけを正しく理解するためには、「正社員」や「派遣社員」との違いを明確に区別しておくことが重要です。その相違点は主に「契約期間の定めの有無」と「雇用主が誰か」という2つの軸で整理できます。

正社員(無期雇用労働者)との違い

契約社員と正社員の最も本質的な違いは、契約期間に「定めがあるか(有期)」、または「定めがないか(無期)」という点です。

この契約期間の違いにより、給与体系や福利厚生、雇用の安定性など、さまざまな労働条件に差異が生じることが一般的です。

比較項目 契約社員(有期雇用) 正社員(無期雇用)
契約期間 あり(例:1年契約) なし(定年まで)
雇用の安定性 契約期間満了で終了する可能性がある 原則として定年まで雇用が保障される
給与・賞与

月給制・年俸制・時給制など多様。賞与や退職金がない場合も多い。

主に月給制。就業規則に基づき昇給・賞与・退職金制度があるのが一般的。
福利厚生 法定福利厚生(社会保険等)は適用される。住宅手当などの法定外福利厚生は対象外となる場合がある。 法定・法定外ともに全ての福利厚生が適用されるのが一般的。
キャリア 主に特定の専門業務に従事し、職務範囲が限定されることが多い。 ジョブローテーションなどを通じて幅広い業務を経験し、管理職などを目指すキャリアパスがある。

派遣社員との違い

契約社員と派遣社員の最も大きな違いは、「雇用契約を結んでいる相手(雇用主)」です。

契約社員は、実際に勤務する企業と直接雇用契約を締結します。一方、派遣社員は派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、そこから別の企業(派遣先)へ派遣されて業務を行います。

比較項目 契約社員 派遣社員
雇用主 勤務先の企業 派遣会社(派遣元)
指揮命令者 勤務先企業の上司 勤務先企業の上司(派遣先)
給与の支払元 勤務先の企業 派遣会社(派遣元)
福利厚生の提供元 勤務先の企業 派遣会社(派遣元)

このように、派遣社員は「雇用主」と「勤務先(指揮命令者)」が異なるという、三者間の関係で成り立っている点が特徴です。

【人事向け】契約社員を雇用する際の法的注意点

契約社員を雇用する際には、労働者を保護するためのさまざまな法的ルールを遵守する必要があります。特に、以下の3点は必ず押さえてください。

① 契約期間の上限

有期労働契約の期間には、法律で上限が定められています。(

  • 原則: 1回の契約期間の上限は3年です。
  • 特例:以下のケースでは上限が5年となります。
       ・高度な専門的知識を有する労働者(医師、弁護士、システムアナリストなど)との契約
       ・満60歳以上の労働者との契約

また、事業の開始・拡大・廃止などのための有期の事業に必要な労働者との契約については、その事業が終了するまでの期間とすることができます。

※出典:厚生労働省「労働契約の締結│契約期間

② 労働条件の明示義務

労働者と契約を締結する際、企業は労働条件を明示する義務があります(労働基準法第15条 ※)。有期労働契約においては、通常の明示事項に加え、以下の2点を書面で明示することが義務付けられています。

  • 契約期間
  • 契約更新の有無および、更新する場合の判断基準
    (例:「契約期間満了時の業務量により判断する」「勤務成績・態度により判断する」など)

※出典:e-GOV法令検索「労働基準法

③ 不合理な待遇差の禁止(同一労働同一賃金)

パートタイム・有期雇用労働法により、同じ企業内ではたらく正社員と契約社員との間で、基本給、賞与、各種手当、福利厚生など、あらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されています。(

業務内容や責任の程度、配置の変更範囲などが同じであれば、原則として同一の待遇(均等待遇)を求められます。また、違いがある場合でも、その差に応じた均衡の取れた待遇(均衡待遇)を確保しなければなりません。

※出典:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法が施行されます

契約更新と「無期転換ルール」の適用

契約社員の運用において、最も重要な法的ルールの一つが「無期転換ルール」です。

同一の企業との間で有期労働契約が更新され、通算契約期間が5年を超えた場合には、労働者からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)へ転換しなければなりません。

これは、労働契約法第18条(※)に定められたルールであり、長期にわたって雇用される有期契約労働者の雇用の安定を図ることを目的としています。

※出典:e-Gov 法令検索「労働契約法

無期転換ルールの3つの要件

  1. 有期労働契約で雇用されていること
  2. 契約が1回以上更新されていること
  3. 現在の契約期間を含め、通算の契約期間が5年を超えていること

上記の3つの要件を満たした労働者が、現在の契約期間中に「無期転換の申し込み」を行った場合、企業はこれを拒否することはできません。その場合、現在の契約が終了する翌日から、その労働者は無期労働契約者となります。

無期転換後の労働条件

無期転換後の労働条件(職務、勤務地、賃金など)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約の内容がそのまま引き継がれます。ただし、企業は就業規則などで無期転換者専用の労働条件を別途定めることも可能です。

契約社員の雇止めとその法理

契約期間の満了をもって契約を更新しないことを「雇止め」と呼びます。企業は契約期間の満了を理由として自由に雇止めを行うことはできません。過去の判例に基づき確立された「雇止めの法理」が、労働契約法第19条(※)において法的に定められています。

契約が繰り返し更新されているなど、実質的に正社員と変わらない状態であったり、労働者が契約更新を期待することに合理的な理由があったりする場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない雇止めは無効となる可能性があります。

※出典:e-Gov 法令検索「労働契約法

雇止めが制限される2つのケース

  1. 過去に反復して更新された有期労働契約で、その雇止めが、期間の定めのない労働契約の労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められる場合
  2. 労働者が有期労働契約の満了時に、その契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる場合

雇止めを行う際の注意点

  • 雇止めの予告:契約を3回以上更新している、または1年を超えて継続勤務している労働者に雇止めを行う場合は、少なくとも契約満了の30日前までに予告しなければなりません。
  • 雇止め理由の明示:予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合、企業は遅滞なくこれを交付する義務があります。

適切な労務管理が、契約社員の活躍と企業の成長を支える

契約社員は、多くの企業にとって重要な戦力です。しかし、その雇用管理には正社員とは異なる、専門的かつ慎重な対応が求められます。「有期雇用だから」という安易な考えで労務管理を行うと、「同一労働同一賃金」違反や、意図しない「無期転換」、無効な「雇止め」といった深刻な法的リスクにつながりかねません。

契約社員一人ひとりの権利を尊重し、法律に基づいた公正な処遇を行うことは、企業のコンプライアンス遵守にとどまらず、労働者のモチベーションを高め、その能力を最大限に引き出すことにもつながります。

適切な労務管理を通じて、契約社員が安心して活躍できる環境を整備することこそ、企業の持続的な成長を支える重要な鍵となるのです。

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