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人事ノウハウ

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育休とは?対象者、期間、手続きの流れから企業側の注意点まで徹底解説

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従業員のライフステージに寄り添い、仕事と子育ての両立を支援することは、現代の企業にとって不可欠な責務です。その中心となる制度が「育休(育児休業)」であり、近年は男性の取得を促進するための法改正も進められています。

人事労務担当者としては、この制度を正確に理解し、従業員へ適切な情報提供と円滑な事務手続きを行うことが求められます。

本記事では、育休の基本的な定義から、対象者、期間、手続きの流れ、そして企業側が留意すべき注意点までを網羅的に解説します。

育休(育児休業)とは?

育休(正式名称:育児休業)とは、原則として1歳に満たない子を養育する労働者が、法律(育児・介護休業法)に基づき取得できる休業制度のことです。

これは、出産した女性が取得する産後休業(産休)とは別の制度であり、性別を問わず、要件を満たすすべての労働者に認められた権利です。

育休の目的は、子どもの出生後の特に重要な時期に、親が育児に専念できる環境を保障し、安心して職場へ復帰できるよう支援することにあります。この休業期間中、一定の要件を満たせば、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。

育休を取得できる対象者(令和7年11月現在)

原則として、1歳に満たない子を養育する、日々雇用でないすべての男女労働者が育休の対象となります。

正社員だけでなく、パートタイマーや契約社員などの有期雇用労働者も、一定の要件を満たす場合には育休を取得することが可能です。有期雇用労働者が育休を取得できるのは、次の条件を満たす場合です。

  1. 子どもの1歳の誕生日以降も、引き続き雇用される見込みがあること
  2. 子どもが1歳6ヶ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

なお、従来は「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」が要件とされていましたが、 令和4年4月1日以降は、労使協定で別段の定めがない限り、この要件は撤廃されています。

出典:労働基準監督署「育児休業や介護休業をすることができる有期雇用労働者について

育休を取得できないケース(労使協定による除外)

上記の原則に対し、企業が労働者の過半数代表と「労使協定」を締結している場合、以下の労働者を育休の対象外とすることが可能です。

  • 入社1年未満の労働者
  • 申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者

男性の育休取得について

もちろん男性も育休を取得できます。さらに、2022年10月からは、通常の育休とは別に「産後パパ育休(出生時育児休業)」(※)制度が創設されました。

これは、子の出生後8週間以内に最大4週間まで取得できる、より柔軟な休業制度であり、通常の育休と組み合わせて利用することも可能です。

※出典:厚生労働省「産後パパ育休(出生時育児休業)が10月1日から施行されます

育休を取得できる期間

育休は、原則として子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得できますが、特定の条件を満たす場合には、最大で2歳まで延長することが可能です。

原則の期間(子どもが1歳になるまで)

  • 女性の場合: 出産後の産後休業(8週間)が終了した翌日から、子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得できます。
  • 男性の場合: 子どもの出生日(または出産予定日)から、子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得できます。

期間の延長が認められるケース(1歳6ヶ月・2歳まで)

子どもが1歳に達した時点で、以下のような特別な事情がある場合には、まず1歳6ヶ月まで延長でき、それでもなお状況が改善しない場合は、2歳まで再延長することが可能です。

  • 保育所への入所を希望しているが、入所できない場合
  • 子どもの養育を行う予定であった配偶者が、死亡、負傷、疾病、離婚などにより養育困難となった場合

育休の分割取得

法改正により、令和4年10月からは、これまで原則1回のみであった育休を、最大2回まで分割して取得できるようになりました。これにより、「一度復職した後、配偶者の復職時期に合わせて再度取得する」といった柔軟なはたらき方が可能となっています。

育休取得の準備と手続きの流れ

育休を取得するには、原則として休業開始予定日の1ヶ月前までに、会社へ書面で申し出る必要があります。

STEP1: 上司への報告と相談

育休の取得を希望する場合は、できるだけ早い段階で直属の上司へ報告し、休業期間や業務の引き継ぎ方法について相談を行います。

STEP2: 会社への正式な申し出

会社の規定に従い、「育児休業申出書」を人事・労務担当部署へ提出します。申し出の期限は、原則として休業開始予定日の1ヶ月前までです。(なお、産後パパ育休の場合は2週間前までに提出する必要があります。)

STEP3: 会社からの通知

申し出を受けた企業は、速やかに「育児休業取扱通知書」を交付し、休業の開始日および終了日などを労働者に通知します。

STEP4: 社会保険料の免除手続き

育休期間中は、健康保険および厚生年金保険の保険料が、被保険者負担分・事業主負担分ともに免除されます。企業は、「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出し、この手続きを行います。

STEP5: 育児休業給付金の申請手続き

育児休業給付金の申請は、原則として企業を通じてハローワークに提出します。人事担当者は、労働者から提出された「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」に加え、賃金台帳や出勤簿などを添付し、申請手続きを進めます。

【人事担当者向け】企業側の注意点

企業は、労働者からの育休の申し出を拒否することはできず、また育休の取得等を理由とした解雇やその他の不利益な取り扱い(マタニティハラスメント、パタニティハラスメント)は、法律で厳しく禁じられています。

育休の申し出は拒否できない

労働者が法律で定められた要件を満たしている限り、企業は育休の申し出を拒むことはできません。業務の繁忙などを理由に取得を認めないことは、育児・介護休業法に違反する行為となります。

不利益な取り扱いの禁止

育休の取得や相談を理由として、以下のような不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。

  • 解雇や雇い止め
  • 降格や減給
  • 不当な配置転換や人事評価
  • 退職の強要、または正社員から非正規社員への転換の強要

ハラスメント防止措置の義務

企業には、上司や同僚による育休取得者へのハラスメント(マタニティハラスメント、パタニティハラスメント)を防止するための措置を講じることが義務付けられています。

具体的には、相談窓口の設置や社内研修の実施など、従業員が安心して育休を取得できる職場環境を整備することが求められます。

周囲の従業員への配慮と業務体制の整備

育休取得者が安心して休業に入り、スムーズに復帰するためには、周囲の従業員の理解と協力が不可欠です。

企業は、育休取得者の業務を代替する人員の確保や、業務分担の見直しを行い、他の従業員に過度な負担がかからないよう配慮が求められます。

男女ともに育休を取得しやすい職場環境づくりへ

育休制度は、少子高齢化が進む日本において、仕事と子育ての両立を支える重要な社会的インフラです。特に、男性の育休取得を促進する近年の法改正は、社会全体の大きな潮流となっています。

企業にとって、法令に基づく正確な事務手続きを行うことはもちろん、より重要なのは、性別を問わず誰もが気兼ねなく育休を取得できる企業風土を醸成することです。育休取得を前向きに捉え、組織全体で支える文化を育むことこそが、従業員のエンゲージメントを高め、多様な人材に「選ばれる企業」となるための鍵といえるでしょう。

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今回は、企業の人事・労務担当者が知っておきたい「育休」について情報をお届けしました。

育休は単なる休暇制度ではなく、キャリアの継続と組織の成長を両立させるための仕組みです。そのためには、復職前後の支援や、一時的なリソース不足を補う柔軟な体制づくりが欠かせません。

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