
採用ピッチ資料とは?作り方や構成内容、費用相場まとめ
求職者優位の売り手市場が進む昨今においては、自社の魅力を適切に伝える姿勢が一層重視されています。副業人材を含むすべての求職者に採用ピッチ資料を提供することは、企業にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。
本記事では、採用ピッチ資料の概要に加え、作成するメリットや構成上のポイント、外部委託した場合の費用相場まで詳しく解説します。
採用ピッチ資料とは
採用ピッチ資料とは、求職者に自社の魅力や強みを分かりやすく伝えるために作成する資料です。提供形式としては、以下の5つが代表的です。用途や場面に応じて、適切な形式で作成してください。
- パンフレットなどの印刷物形式
- PDFやPowerPointを用いたスライド形式
- 自社採用サイトを活用したWebページ形式
- 会社紹介などの動画形式
- チャットボット型Q&Aなどのインタラクティブコンテンツ形式
採用ピッチ資料は、求職者にとって自社理解を深め、応募意欲を高める効果があります。また、競合他社との差別化にも非常に効果的です。
採用ピッチ資料を作成するメリット
企業が採用ピッチ資料を作成することで、以下の5つのメリットが得られます。
自社の魅力や価値観を視覚的・論理的に伝えられる
企業説明会や面接でも、求職者に魅力や価値観を伝える機会はあります。しかし、口頭での説明は記憶に残りにくい傾向があります。
そのため、写真や図解を用いた採用ピッチ資料を作成し、求職者に提供することで、情報を視覚的かつ論理的に伝えられます。これは大きなメリットといえるでしょう。
採用面談やカジュアル面談で候補者の理解・共感を促進できる
採用面談やカジュアル面談の際に、候補者へ採用ピッチ資料を共有すれば、仕事内容や価値観を理解してもらいやすくなります。
採用ピッチ資料によって、候補者の理解や共感が深まれば、応募という次のアクションに移る可能性が高まるでしょう。
競合他社との差別化ポイントを整理しやすくなる
求職者は、応募先企業を検討する際、競合他社との条件を比較したうえで行動に移します。そのため、目立った魅力がない企業は、候補から外されてしまうおそれがあります。
採用ピッチ資料を作成する過程で、自社の文化や理念、実績を棚卸しすることで、差別化ポイントを明確にできます。結果として、より魅力的な資料を完成させることが可能になるでしょう。
SNSや採用媒体・イベントなど複数チャネルで再活用できる
採用広報は、継続的かつ多方面にアンテナを張って実施する必要があります。採用ピッチ資料を準備しておけば、伝えるメッセージを統一化でき、自社のSNSや採用媒体、イベントなどの複数チャネルで再利用することができるでしょう。
さらに、スライドを分割してSNS投稿に活用したり、自社採用サイトで社員インタビュー記事と組み合わせて使用することも可能です。
採用広報の一環としてブランディング強化につながる
採用広報は、求職者だけでなく社会全体に対して自社の魅力や価値観を伝え、企業イメージを確立する役割を担っています。
採用ピッチ資料は、メッセージのみならずデザインを通じても自社の世界観を表現できるため、ブランディング強化にも寄与します。
採用ピッチ資料の構成例
採用ピッチ資料の構成例として、押さえておきたい12項目をポイントとあわせて解説します。
1.表紙・タイトルスライド
採用ピッチ資料の表紙には、以下のa~cを盛り込みます。
a.会社名・ロゴ
会社名やロゴは左上に配置するのが一般的で、スライド全体のバランスが取りやすくなります。
b.タイトル(例:「〇〇社 採用ピッチ資料」「We’re hiring!」)
明確で簡潔なうえ、ブランドトーンに合ったタイトルを中央に配置します。
c.作成年月
作成日または発行日、最新版の場合は更新日を記載し、右下に配置するのが適切です。
2.ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)
採用ピッチ資料においてブランドの核となる、自社が目指すメッセージを記載します。
a.企業の存在意義、目指す未来、行動指針などを端的に紹介
求職者が最初に目を通す重要な箇所である一方、長文は避けます。1~2文のキャッチコピーで簡潔にまとめることが望ましいです。
3.会社概要
次に、自社の基本情報として、以下a・bを記載します。
a.設立年、所在地、従業員数、事業拠点など
必要な情報をコンパクトにまとめ、長文での説明は避けます。
b.組織の特徴や規模感が伝わる基本情報
自社カルチャーや組織運営の特徴を端的に記載し、組織構成にも簡単に触れると効果的です。従業員数などは数字だけでなく、「少数精鋭」など雰囲気が伝わる表現を補足します。
4.事業内容・ビジネスモデル
自社の基本情報の後は、事業内容を以下a・bで具体的に説明します。
a.主力事業の説明、収益構造、業界でのポジション
専門用語には補足を加え、誰でも理解できる言葉で説明します。主力製品やサービスは写真やフロー図とあわせて紹介すると効果的です。
b.なぜこの事業をやっているのか、今後の成長性
単なる事業説明で終わらせず、自社理念やビジョンと事業戦略を結びつけて記載し、求職者に自社ではたらく意義を感じてもらえる構成にします。
5.今後のビジョン・成長戦略
求職者に自社ではたらく価値や将来性を示すため、以下a・bの内容を記載します。
a.中長期的な目標や今後取り組む予定のプロジェクト
具体的な数字と意図を明確に示し、予定プロジェクトは背景→内容→期待される成果の順で記載します。
b.どんな未来を目指しているかを明示
自社が描く未来を具体的に記載することで、求職者の共感や志望意欲を高めることができます。
6.はたらく人・組織文化
求職者が自社とのマッチ度を判断し、応募意欲や期待感を高められるよう、以下a・bの内容を記載します。
a.社員紹介(年齢層、職種比率、エンジニア比率など)
社員構成はデータやグラフを用いて視覚的な効果を持たせ、求職者がイメージしやすいようにします。
b.はたらき方やカルチャー(例:フラットな組織、裁量の大きさ、挑戦を歓迎する風土)
カルチャーフィットの促進を目指し、抽象的な表現は避けて分かりやすい言葉で自社ならではの強みを強調します。
7.募集職種・ポジションの紹介
求職者に自身の役割を具体的に示し、応募の判断材料とするために、以下a・bの内容を提供します。
a.募集中の職種・業務内容・チーム構成
募集職種は正式名称で記載し、業務内容は箇条書きで誰にでも分かるように表現します。チーム構成は人数・役割・雰囲気などを明示します。
b.具体的な仕事内容や求めるスキル・経験
仕事内容は箇条書きで使用ツールなども記載します。求めるスキルや経験は必須と歓迎を区別して記載することがポイントです。
8.キャリアパス・成長環境
求職者が入社後の成長と将来の展望をイメージしやすいよう、以下a・bの内容によって応募意欲を高めます。
a.評価制度、育成制度、社内キャリアの広がり
評価制度の基準や頻度を明示し、育成制度は具体的なサポート内容を記載して公正さを強調します。キャリアパスは数字や実績を活用し、多様性もアピールします。
b.入社後の1年の成長イメージなども効果的
具体例があれば、求職者が自社での成長をよりリアルに描きやすくなります。
9.はたらき方・福利厚生
安心して勤務できる環境であることを示すために、以下a・bの内容でアピールします。
a.勤務体系(リモート可否、フレックスなど)
リモート勤務が可能な場合は頻度や条件を記載し、フレックス制度はコアタイムを明記します。
b.休暇制度、サポート制度、オフィス環境など
休暇制度やサポート制度は名称だけでなく内容も説明し、オフィス環境は立地なども含めて魅力を具体的に記載します。
10.求める人物像
企業と求職者との認識のずれを防ぎ、ミスマッチを減らすために、以下a・bの内容を記載することが重要です。
a.どんな価値観やマインドを持った人とはたらきたいか
自社のカルチャーや事業フェーズに不可欠な価値観を言語化し、求める人物像は抽象的にせず、求職者が自身と比較できる内容を意識します。
b.自社とのマッチング軸を提示
「スタートアップのため変化対応力が必要」など、軸を絞りながら自社環境や課題とも連動させて提示します。
11.選考フロー・応募方法
応募へのアクションを後押しするため、自社がどのような選考フローや応募方法を行っているか、以下a・bで説明します。
a.書類選考~内定までのプロセス
全体の流れが一目で理解できるように、箇条書きやフロー図などを用いて説明します。
b.想定期間や連絡手段、面接回数など
選考ステップごとに期間を分けて示します。連絡手段は使用するツールの種類とタイミングを明記し、面接回数は求職者が負担に感じない現実的な回数が望ましいです。
12.締めくくり・メッセージ
採用ピッチ資料の締めくくりは、以下a・bのようにメッセージを添え、求職者の応募意欲をかき立てるよう呼びかけましょう。
a.代表メッセージや社員からの一言
企業トップや社員のメッセージ発信により、自社の温度感や人間味を伝えます。
b.「ぜひ一緒にはたらきましょう!」などの呼びかけ
応募を歓迎し、求職者への期待感を込めた内容にすることがポイントです。
効果的な採用ピッチ資料を作成するポイント
効果的な採用ピッチ資料を作成するためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下に挙げる7つにフォーカスして作成しましょう。
ターゲット人材を明確にし、響く内容・トーンで構成する
採用ピッチ資料は、自社がターゲットとする人材に刺さる内容を届けることが重要です。ターゲット設定があいまいな場合、内容が薄い採用ピッチ資料になってしまいます。
募集職種やポジションに応じて、求める人物像を明確に設定しておきましょう。そのうえで、ターゲットに響く内容やトーンで構成すれば、理想的な採用ピッチ資料を作成できます。
会社の理念・ビジョン・バリューを分かりやすく伝える
採用ピッチ資料は、求職者へのメッセージであり、自社の魅力を伝える「手紙」といっても過言ではありません。特に会社の理念やビジョン、バリューは、自社の方向性や大切にする価値観を示す重要な要素です。
分かりやすい表現で求職者に伝えることで、価値観が合う人材を引き寄せられるうえ、入社後のモチベーション維持や定着率の向上につながります。
事業内容・今後の展望を図解や実例で具体的に示す
採用ピッチ資料を作成する際は、自社の事業内容や今後の展望を提示することが不可欠です。これにより、求職者は自分のはたらく意義や入社後の姿をイメージしやすくなります。
このとき、文字の羅列ではなく、図解や実例を用いて具体的に示すことで、より理解や共感を得やすくなります。
はたらく人・カルチャーをリアルに表現(社員紹介・写真・ストーリー)
採用ピッチ資料の最終目的は、求職者に自社の魅力を伝えるだけでなく、実際にはたらくイメージを持ってもらうことにあります。
そのため、社員プロフィールの紹介や社内風景などの写真、未経験から活躍している社員の成長ストーリーなどを盛り込むことで、よりリアルな自社カルチャーを伝えられるでしょう。
ポジションごとの役割や成長機会、キャリアパスを記載する
求職者が重視するのは、給与や勤務条件だけではありません。応募を検討しているポジションでどのような役割を担い、どのような成長機会が得られるかが不明瞭な場合、応募意欲の低下につながります。
そのため、ポジションごとの具体的な業務範囲や裁量、習得できる知識や将来的なキャリアパスを記載することで、自社の誠実さも伝えることができます。
待遇やはたらき方(リモート、フレックス、福利厚生など)も明記する
求職者が応募先を決める際のポイントとしては、待遇の良し悪しはもちろん、はたらき方も重要な要素といえるでしょう。納得のいく給与水準や充実した福利厚生は、応募意欲だけでなく、定着率向上にも貢献します。
また、ワークライフバランスを重視する求職者が増えている昨今、リモートワークやフレックス勤務の可否は、はたらき方の質を大きく左右します。採用ピッチ資料には、この点をきちんと明記しておきましょう。
デザインは見やすく、スライド1枚ごとに1テーマで構成する
自社の魅力を盛り込みたいあまり、採用ピッチ資料に文字を詰め込み過ぎると、読みづらいだけでなく、結果として内容が理解できない状況にもなりかねません。
スマートフォンでも閲覧しやすく、内容が印象に残りやすくなるよう、「1スライド=1テーマ」を心がけた構成にしましょう。また、必要に応じて写真や図解を用いたデザインを取り入れることで、さらに見やすさが向上します。
数字や実績を活用し、信頼性・説得力を高める
求職者にとって、採用ピッチ資料のように企業から提示される情報は、基本的にメリットを重視して読む傾向があります。
ただし、明確な根拠を伴わない抽象的な内容では説得力に欠け、企業に対する信頼低下の原因にもなり得ます。
自社の売上や成長度合い、導入実績などは、データに基づいた具体的な数字を活用し、説得力のある採用ピッチ資料を作成しましょう。
採用ピッチ資料を外注した場合の費用相場
採用ピッチ資料を外注した場合の費用相場例を、以下の表で5つの提供形式ごとにご紹介します。
印刷物(パンフレット・冊子) | ・デザイン費用:約10万~30万円 ・コピーライティング込み:約20万~50万円 ・印刷費用:約5万~20万円(500~1,000部の場合) |
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スライド(PDF/PowerPoint) | ・テンプレート簡易版:約5万~15万円 ・構成+コピーライティング込み:約20万~50万円 |
Webページ (採用LP・採用特設サイト) |
・1ページ完結型LP:約20万~50万円 ・複数ページ採用特設サイト:約50万~100万円 |
動画 | ・企業代表メッセージ動画:約30万~50万円 ・社員インタビュー、社内紹介動画:約50万~100万円 ・企業ブランディング動画:約100万~150万円以上 |
インタラクティブコンテンツ (チャットボット型Q&A) |
・テンプレート使用の簡易版:約20万~50万円 ・カスタマイズ型:約50万~150万円 ・高度AI連携・開発型:約150万~300万円 ※別途、月額利用料が数千~数十万円程度発生する場合があります。 |
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