リファラル採用の報酬相場はいくら?渡す時の注意点はある?
企業における効率的な社員紹介採用の1つとして、リファラル採用に注目が集まっています。
自社の従業員から最適な人材の紹介を受けるリファラル採用は、副業市場においても優秀な副業人材の獲得に有効といえるでしょう。
今回はリファラル採用を検討する企業に向けて、運用ルールや報酬の相場、支払いに関する注意点を踏まえて詳しく解説していきます。
リファラル採用とは
自社の従業員に、採用候補者を紹介してもらう採用方法がリファラル採用です。縁故採用との最大の違いは、紹介者の“採用候補者となる人材の実力や経験値を問うか、問わないか”にあるといえるでしょう。
縁故採用は、紹介された従業員の身内を優先的に採用するもので、本人の実力や経験値はあまり問われないことがほとんどです。
一方、リファラル採用の場合は、従業員の知人や友人を活躍が期待される人材として紹介するものです。採用試験や面接などの選考過程でスキルが見合った場合、入社に至ります。
とくに、採用活動にコストをかけられない中小企業やベンチャー企業などで、多く導入されています。
リファラル採用の報酬相場
企業がリファラル採用により人材を獲得した場合、紹介者である従業員に報酬を支払うのが一般的です。
報酬額は、正社員1人あたりの採用で10万~50万円未満が相場となっています。ただし、報酬額は企業によって異なり、報酬制度を設けていない企業もあります。
報酬の設定基準としては、採用ポジションに基づくことが多いでしょう。ただし、あまりに高額な報酬は、違法とみなされる可能性があります。
リファラル採用の報酬支払いルールの例
リファラル採用における報酬支払いに関するルールとして、以下に3つの例を挙げていきます。
採用(入社)してから一定期間経過後に支払う
採用に至った候補者が、試用期間などの一定期間を経たあとに紹介者へ報酬を支払うことは、候補者の最終的な適性を確認できる点からもメリットがあります。
また、候補者の入社直後の離職を防ぐ目的もあり、一定期間の勤務を条件に報酬を設定すれば、人材の長期的な定着が図れるでしょう。
応募の時点で支払う
候補者が応募した時点で報酬を支払うようにすれば、従業員も紹介しやすくなるうえ、リファラル採用に対する従業員一人ひとりの期待値も高まりやすくなります。
また、早期の報酬支払いは、紹介する従業員が継続的にリファラル活動を行う意欲を保ちます。このため、企業にとっても効果的な採用プロセスを維持することができるでしょう。
候補者の職種によって金額を変える
候補者となる人材の職種はもちろん、キャリアやポジションによっても、紹介者への報酬額は考慮する必要があります。
候補者が特定の職種や役職に就いている場合は、転職市場でも価値があり、引く手あまたといえるでしょう。また、報酬を高く設定することで、紹介率がアップするだけでなく、優秀な人材の獲得が容易になります。
リファラル採用で報酬を支払う場合の注意点
リファラル採用において報酬制度を導入する場合、以下に挙げる2つの法において問題がないかも重要になってきます。
- 職業安定法
- 労働基準法
また、リファラル採用を行う場合は、この採用手法を業務の一部と定め、就業規則の報酬規定項目に必ず明記しておきましょう。
賃金として支払う
リファラル採用の報酬は、基本的に「賃金」として支払われます。額面に関しての明確な基準はありませんが、業績アップ時の特別手当や、賞金程度の額であれば問題ないでしょう。
また、報酬が給与と同等額など、あまりに高額となる場合は、職業安定法第65条6号(※1)により、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処せられる可能性があるので注意が必要です。
※出典1:e-GOV法令検索 職業安定法
人材紹介会社への報酬よりは少なくする
リファラル採用の報酬が高額だと、報酬を受け取る従業員が“業務として”人材紹介を行っている人物とみなされます。
この場合、状況によっては、職業安定法第30条の「有料職業紹介事業の許可」(※1)規定に抵触する可能性があります。 一般的に、人材紹介会社の報酬相場は、採用された人材の年収の30%程度となっています。
このため、紹介者である従業員へ支払う報酬は、採用した人材の年収の30%未満になるように設定しましょう。
※出典1:厚生労働省HP 2 職業紹介事業の種類等 (1) 有料職業紹介事業
「就職お祝い金」は渡さない
以前は、紹介された候補者が採用に至った場合、制度として就職お祝い金を支給する企業もありました。
ただし、2021年4月1日に職業安定法に基づく指針(第6の9関係)が一部改正※1されたことにより、「就職お祝い金」の名目での報酬支給が禁止となっています。
改正に至った理由は、候補者に対して報酬を支給して応募を促す行為によって、候補者の自由な就職活動を阻害する可能性を回避するためです。
※出典1:厚生労働省リーフレット 「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました
報酬は税金の対象となる
リファラル採用で紹介者である従業員に支払われる報酬は、所得として扱われるため、源泉徴収や確定申告の対象となります。
このため、支払者である企業側は、報酬の一部を所得税として源泉徴収し、税務署に納付しなければなりません。
また、報酬を受け取った従業員は、額に応じて適切な税率で所得税を計算し、年間所得として確定申告する必要があります。
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