セミナーや書籍では得られない、生きた経験を副業で得る―森氏インタビュー<後編>
企業と個人が成⻑できる副業サイクルの実現を目指し、副業人材マッチングサービスを展開しているlotsful(ロッツフル)では、Webメディア「lotsful magazine」をスタートさせ、副業を”成功”に導く事例などを発信しています。
今回は、森勇樹氏に話を伺いました。森氏は副業人材を活用しながら、自身も他の企業で副業人材として活躍中です。企業と個人、双方の立場だからこそ得られた経験を前編・後編の2回に渡ってご紹介。――副業人材の活用を検討している企業や副業にチャレンジしたいと思っているビジネスパーソンが、「今最も知りたい」と思う情報をお伝えします。
後編は、森氏自身がマーケティング領域の副業人材としての視点から、業務から得られるやりがいやメリット、受け入れる企業に求めることなどをお聞きしました。
森勇樹氏
東京理科大学卒。パーソルキャリア株式会社にて、求人メディア事業のマーケティング部門およびデータ部門のゼネラルマネージャーを歴任。同サービスのブランド認知向上・利用ユーザー数拡大などに従事した後、2019年4月よりマーケティング部長として株式会社スタディストに参画。2019年7月に執行役員CMOに就任(※取材当時)。現在は、弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン事業本部 マーケティング部長として就業。
他の業界を見ることで、格段に視野が広がる。
森氏
前の会社にいる時に、声をかけてもらったんです。他の業界のマーケターと話す機会も多く、その際に私が関わっていたHR業界とは違った考え方を持っているなと感じていて。そういった経験から、他のサービスも見て視野を広げてみたいと思っていた時に誘っていただきました。
森氏
以前からお付き合いのあった、ソーシャルマーケティング支援のスタートアップです。最初はクライアントに対する提案書への提言などのサポートに携わっていましたが、徐々にネクストリーダー層に対するメンター・コーチング業務の比重が多くなっていきました。
森氏
本業ではWebオンリーのサービスでしたが、副業では実店舗を持つ企業などのマーケティング支援サポートを手がけました。今までとは違うビジネスモデルのサービスを見ることで、自分自身の視野が広がっていくのを実感しましたね。自身のこれまでの経験をしっかり積んでいれば、違う領域でも活かせるということも実感できました。
また、副業人材という立場で、若手のメンターに入ったこともいい経験になっています。もちろん本業でも部下のマネジメントは手がけていましたが、ときにはハードなコミュニケーションもありました。副業では上司と部下とは違った関係で会話を行うため、ソフトに話しながらも言わなければならないことはしっかりと伝えるように意識しています。そのおかげでコミュニケーションの引き出しが増え、本業でも役に立っています。
信頼が何よりのモチベーションになる
森氏
副業人材に対して何を期待しているか、役割の定義が明確になっているとやりやすいですね。たとえば、デザイナーの場合だと「バナーを作る」といった作業を期待するケースもありますが、戦略アドバイザー的なポジションなどでは、どこまで動いてほしいのかが分かると助かります。また、「外部の人」というよりは、「同じゴールを目指すプロジェクトメンバー」として扱ってもらった方がモチベーションも上がりますね。
森氏
やっぱり、楽しいからですかね。必要とされていると感じますし、メンバーのことも好きですから。メンターとして言ったことを素直に受け止めてくれたり、私のアドバイスのおかげでコンペに通ったと聞いたら嬉しいですね。マーケティングのアドバイザーとして入ったはずが、信頼されながら人材育成サポートまで任せてもらえているのもやりがいに繋がっています。
森氏
それは特にありません。ただ、仮にジョインした会社が副業人材に対する方針が固まっていなかったり、ブレていたりするとやりにくいでしょうね。また、限られた情報しか与えられず、任される業務も限定的で線を引かれたら、私の場合はやる気が出ないと思います。
森氏
先ほどもお話ししましたが、一番は実地での”経験”で視野が広がることです。外部セミナーや書籍で知識をインプットするのも大切ですが、そこでは得ることができない実ビジネスでの経験が副業にはあります。
本業がオンラインサービスだったら、副業でリアルビジネスに関わる。BtoBだけだったら、BtoCに関わってみるなど、副業で他の業界や業態を経験することをオススメします。そうすると、今までとは違った考えを持つことができます。
本業の会社に様々なサービスがあったとしても、ジョブローテーションって意外と出来なかったりしますよね。あったとしても、関わるサービスが同じ業界のものだったりします。もし何かを変えたいのであれば、思い切って副業にチャレンジして、自分の世界を広げてみるのも選択肢のひとつでしょう。
(編集・取材・文:眞田幸剛)