【イベントレポート】大企業に聞く”副業活用の裏側”――副業マーケターによって「ニコニコ生放送」はどう変わったか?
lotsfulでは新たに「大企業に聞く!副業活用の裏側」と題し、大企業で副業人材を活用しながら事業を進めている方々をお招きした、オンラインセミナーをスタートしました。
記念すべき第1回目は、株式会社ドワンゴで社長直下のプロジェクトを推進する須田如陽氏、「ニコニコ生放送」のプロダクトマネージャーを務める橋本剛志氏のお二人がパネリストとして登場。日本最大級のライブ配信サービス「ニコニコ生放送」を運営するドワンゴでは、サービスのさらなる成長を実現させるため、現在もlotsful経由で副業人材を活用しています。
本セミナーでは副業人材の活用に至るまでの裏側や、具体的な取り組み・成果などについて、自身の経験を踏まえながら話していただきました。本記事では、その内容をダイジェストでお届けします。
副業活用ポジション | 「ニコニコ生放送」のイベント/コンテンツ企画 |
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稼働期間 | 約10ヶ月 |
稼働概要 | ・イベント企画やコンテンツ企画のアイデア出し ・自社・協業先の保有データを活用したコンテンツ企画設計 ・コンテンツ・イベントのディレクション |
なぜ、副業人材の活用をスタートさせたのか?
lotsful・田中
まずは、副業人材を活用しようと思ったきっかけや背景などを教えてください。
ドワンゴ・須田氏
4、5年ほど前にドワンゴのサービスである「ニコニコ」が少し落ち込んだ時期がありました。そのときに、スピードの速いITサービスにおいてサービス成長に貢献できる人材を流動的に獲得できる工夫をした方が事業成長の手助けになるなと考えるようになりました。
それと同時期に、当社内で社員が申請、承認されれば副業ができる、いわゆる許可制の副業制度の構築を推進しました。実際に運用してみると、社内で一目置かれている方ほど副業に興味を示し、実際に外からの引き合いも多くあるような感触を持ちました。
このような背景から、優秀な人材を採用する工夫の一つとして副業も選択肢としていいのではないかと考えるようになり、活用するための準備を進めました。
lotsful・田中
「ニコニコ生放送」では、具体的にどのような課題を抱えていたのでしょうか。副業人材を採用した経緯とあわせてお聞かせください。
ドワンゴ・橋本氏
新規のユーザー獲得に向けて自部署内でキャンペーン・イベントをまわしてみたのですが、外部流入が思うように得られない課題がありました。外部サービスと連携できる機能も充実してきていましたが、その機能を外部流入につなげて実行に移すスキームが別の開発部隊にあったため、私たちの部署内にはありませんでした。
そうした課題をドワンゴ社内の人間に相談したところ、副業人材を入れるという手段があるということでlotsfulを紹介してもらいました。そこで私たちの求めるマーケティング人材が採用できたので、継続して副業人材を活用するようになりました。
lotsful・田中
lotsfulをご利用いただく前は、副業人材にどのようなイメージを持っていましたか。
ドワンゴ・橋本氏
チームの中には副業をしているエンジニアが多くいましたし、他部署でも副業をしている人の話は聞いていました。そのため、「優秀な人材が副業をしているんだろうな」というイメージがありましたね。ただ、どこまでコミットしてもらえるかは不安がありました。
活用を進めていく上で意識していたこと、押さえるべきポイントは?
lotsful・田中
実際に副業人材を活用してみて、気がついた点などあれば教えてください。
ドワンゴ・橋本氏
副業人材にはサービスの集客の企画立案から、そのスキームの構築までお願いしました。しかし、企画から運用まで、どの工程を誰がやるのか曖昧なまま進めてしまっていて、副業人材に口頭で言っていただいた企画案を当社のメンバーが気を遣って、形にしてしまったということもありました。
役割分担について改めて整理したところ、今度はお見合い状態になってしまい、進まなくなってしまったのです。このようなことがあったため、役割ではなくTODOレベルで業務を明確にして「誰が何をやるのか」をしっかりと決めるようにしました。それからは施策がスムーズに進められるようになりましたね。
lotsful・田中
それぞれが対応する範囲を明確にするのが重要だということですね。その後はどのように副業人材と業務を進めていきましたか?
ドワンゴ・橋本氏
最初は「質を問わないので、施策を1本やってみよう」と話しました。企画立案から実行までのフローを確認するため、1ヶ月で1本まずは施策を走らせてみたのです。副業人材とのコミュニケーションに関しては、1週間に1回ミーティングを開催して普段はSlackでやり取りを実施。社内で使用している情報共有ツールも使えるように、アカウントの発行も行いました。
lotsful・田中
須田さんは、副業人材の活用を通して気づきはありましたか。
ドワンゴ・須田氏
私はコロナ禍以前からlotsfulを活用していたのですが、当時は副業人材の採用前の面談も対面で実施していました。それがコロナ禍に入って、弊社でのテレワーク恒常化もあいまって面談から実際の業務まで全てオンラインに移行できました。その結果、本業のある副業人材の方にもミーティングなどに入ってもらいやすくなったりと、リモートで柔軟に業務対応できるようになりましたね。テレワークと副業は、本当に相性がいいなと実感しています。
lotsful・田中
その他で、印象に残っていることはありますか。
ドワンゴ・橋本氏
副業人材が企画を出すときに私たちの意見を元に企画に落とし込もうとしていたので、「さまざまな企業とアライアンスを組んできた知見をお持ちの方だからこそ出せる企画を求めている」と、正直に要望をお伝えしました。それらを実現できるように、サービスの課題や数値のインプットにも時間をかけました。そうしたアクションが、施策の企画立案に役に立ちましたね。
副業人材を活用するメリットや注意点
lotsful・田中
副業人材を活用して役立ったことなど、具体的に教えてください。
ドワンゴ・橋本氏
採用のスピードです。今回、「副業人材を採用しよう」と話し始めてから、3ヶ月かからずにアサインすることができましたから。派遣社員だとイメージする人材がおらず、正社員だと極端に採用難易度が上がってしまうので、ここまでスピーディーに採用できなかったと思います。
lotsful・田中
副業人材を採用するにあたって、どのような点を重視しましたか?
ドワンゴ・橋本氏
ビジネススキームを0→1で生み出せる、もしくは外部と組んで実際に企画を作った経験がある。どちらかの経験を持った人を探していました。しかし、前者の経験を持った方もいらっしゃいましたが、合意まで至る人を見つけることができませんでした。そこで、外部と組んでサービスプロモーションの企画を考え実現させた経験がある人の中で、モチベーションが高い方を採用することにしました。
lotsful・田中
須田さんも一緒に面談に入られたのですか。
ドワンゴ・須田氏
入りました。スキル面は橋本や実際に業務を共にする方々が見るので、私の場合はその人のキャラクターに注目しています。空気を読みつつも、遠慮せずに言わなければいけないことはしっかりと言える。バランスの取れた方が活躍できると思っていたので、そうした点に注目していました。
lotsful・田中
スキルだけでなく、既存社員との相性も見たということでしょうか?
ドワンゴ・須田氏
はい。副業人材に入ってもらうチームメンバーは比較的若手が多いため、さまざまな角度からアドバイスができるような方に来てほしいと考えています。実際にそうした素質を持った方にジョインいただき、実体験を伝えながら、チームを育ててもらえたことも多くありました。
lotsful・田中
今回、lotsfulを利用していただき、サービスの感想があればぜひ教えてください。
ドワンゴ・須田氏
やはりゼロから人材を探すのは大変なので、その情報がデータベース化されているのはとても助かりますね。また、lotsfulは担当営業がつき、その方から紹介いただける副業人材の精度が高いので、その点も満足しています。あとは面談を設定して、その人が当社にマッチするか確認すればいいだけですからね。
副業人材を活用することが、既存社員の育成にもつながる
lotsful・富田
ここからは、視聴者からの質問をご紹介していきます。「副業サービスは何を基準に選ぶべきか」という質問がきています。
ドワンゴ・須田氏
いくつかサービスを利用しましたが、現在はlotsfulだけしか使っていません。先ほどもお伝えしましたが、担当営業がついて副業人材を紹介してくれるのはコスパがいいと思います。自分で欲しい人材をゼロから探して、そこから面談をするよりも、lotsfulの担当営業のフィルターを通した人だけを検討できるのは効率も良く、非常に助かっています。
また、lotsfulは定額制なので、予算も組みやすいですよね。「何人の副業人材を、何ヶ月稼働させる」と計算できれば、稟議も通せます。あとは、実際にいくつかの副業サービスを実際に利用してみるのが、選定する上では大切だと思います。
lotsful・富田
「副業人材を利用すると、社内にナレッジが残らないのでは?それらを上層部に納得させる方法はありますか」という質問もきています。
ドワンゴ・須田氏
私自身は副業人材を活用しても、社内にナレッジはたまっていくと思っています。アウトプットを出してもらうので、それもナレッジとして溜まりますが、その方とのつながりも残ります。その後、正社員として入社してくれるかもしれませんし、副業として継続してやり取りすることもできます。
副業人材の活用を、社員の教育プログラムとも思っています。知らない人がチームに入ってくるのは、社員にとってはストレスがあるかもしれませんが、そこに化学反応が起こる可能性が大きくあります。副業人材という優秀な方をチームに巻き込み切磋琢磨してもらうのは、研修ではできないような人材育成の一つの形ではないでしょうか。
lotsful・田中
最後に、「事業を成長させるためにはどんな人材が必要なのか」についてお聞かせください。
ドワンゴ・橋本氏
平均的なマネジメントのしやすい人材だけを集めるのではなく、マネジメントが多少大変でも、なにか1つでも秀でた強み・武器がある人材を集める。さらにそうした人たちが、お互いにリスペクトしながら業務にあたっていく。それが、事業の成功につながると思っています。
ドワンゴ・須田氏
組織が大きくなればなるほど、似たような人がチームに増えていきますよね。いざ採用を進めようと思っても、カルチャーフィットなどを考えてしまい、異質な人を採用しないようになります。しかし、組織に化学反応を起こすには、この異質な人が重要です。そうした人を気軽に採用できる、副業の活用というのはこれからも必要になると思っています。
lotsful・田中
副業であれば、その場面に応じて多様な人材を、低コストで集めることが可能ですね。今日は参考になるお話を、ありがとうございました!
(編集・取材・文:眞田幸剛)