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キャリアの可能性を知るために副業で多くのバッターボックスに立つ ―クックパッド・住氏インタビュー

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今回は、クックパッド株式会社で働きながら、副業で大企業などの新規事業立ち上げをサポートしている、住朋享氏に話をお伺いしました。
さまざまな企業の新規事業支援を始めたきっかけやそのやりがい、さらには、転職はせずに副業で経験を積み上げている住氏自身のキャリア観についてもご紹介。

――これから副業にチャレンジしたいと思っているビジネスパーソンが、「今最も知りたい」と思う情報をお伝えします。(※本取材はオンラインで実施しました)

クックパッド株式会社
Biz Dev & Strategy General Manager 住朋享氏

ニフティ株式会社にて、スマートフォンアプリなどのプロデュース業務を担当。
2014年 にIoT/ヘルスケアをテーマにシリコンバレー駐在などを経て、2015年クックパッド株式会社に入社。同社のアクセラレータープログラムの立ち上げ、社内新規事業推進や、自らもスマートキッチン関連事業の立ち上げをしている。

副業のベースにあるのは、”ギブ&ギブ”のカルチャー。

住さんは副業で、どのような案件に関わられていますか。

住氏

最近は大手食品会社のアクセラレータープログラムの審査員や事務局サポーターとして、今まで私が新規事業で得た知識や経験を伝えています。
その他にもハンズオン型でのチームのメンター業務を担当することもあります。また、東京大学でもそのような新規事業に関する非常勤講師を行ったりしています。

活動が多岐に渡りますね。副業で新規事業のサポートに取り組みを始めたきっかけを教えてください。

住氏

2014年から1年くらい、アメリカのシリコンバレーに駐在していたんです。そこでスタートアップの新規事業コミュニティに参加していたのですが、
それが非常に面白かったんですね。帰国後に私自身も新規事業領域で活躍していきたくて、何ができるかを考えました。

シリコンバレーのスタートアップは“ギブ&ギブ”のカルチャーで、コミットすればそれが自分に返ってきます。私も誰かにギブできる存在になるために、新規事業向けのメンターなどに積極的に参加しました。クックパッドで自分自身が立ち上げた新規事業も成果が出てきて、大企業から個別で相談をいただくようになりました。

活動をしていく中で、自然と相談がくるようになったんですね。副業をスタートする際は、企業との契約などはどのようにされていますか。

住氏

中長期のプロジェクトだと、支援内容を定め、業務委託契約を結ぶ場合が多いです。本業のクックパッドがフルフレックスなので、柔軟に動けるのも助かっています。副業で多種多様なビジネスパーソンと知り合う機会が多いのですが、それがきっかけとなり本業で関わるようになることもありますね。

人や企業が変わる姿を、目の当たりにできる。

副業で多くの案件に関わられていますが、どのような時にやりがいを感じますか。

住氏

大企業の場合だと、「新規事業に関わるのが初めて」という人が多くいます。そうした中で、一緒に新しい事業を考えていくと、社員の方から「会社のカルチャーや未来を考えるきっかけになった」などの声をかけてくれて、ポジティブに変化していくのが分かるんです。そういった時はやりがいを感じますね。もう一点、大企業の経営層の本音が聞けるのも面白いと感じます。
彼らは会社の未来を考え続けているのですが、社内をどう変えるべきか、やり方が分からない人も多いんです。そこで新規事業プロジェクトが立ち上がると、経営層が今まで考えていたことを本音で話すようになるんですね。それをきっかけにチームや事務局が動き始め、新規事業の手法に気が付きながら大企業が変わっていく。その姿を近くで見られるのは、私が関わっている副業の醍醐味と言えます。

住さんのような新規事業関連の副業にマッチするのは、どんな方でしょうか。

住氏

新規事業は不確実性が高く、成功か失敗か分からないまま進んでいくケースが多くあります。そのため、チームとして一緒に考えながら成長していくことに「価値がある」と思える人がマッチすると思います。逆に一方的に自分の考えや過去の経験を押し付けるような人は、新規事業にはあまり向いてないですね(笑)。

住さんの場合、これまでさまざまな企業からお誘いもあったと思います。なぜ、転職するのではなく、副業というスタイルをとっているのですか。

住氏

いま、私自身が関わっているフードテックという分野が好きで、これからもその分野を追究していきたいんですね。クックパッドは食と料理のあるべき姿を考え続けられる環境で、世界中にもサービスを展開している。社内の人と話すだけで多くの学びや気づきもあるし、「料理を作ることは地球のこれからをつくること」というミッションに非常に共感して自分自身もそのミッションを実現したいため、転職という選択肢はとらずに「本業+副業」という今のようなスタイルを続けています。

バッターボックスに多く立てば、成長が加速する。

今後の働き方やキャリアの方向性など、考えていることはありますか。

住氏

“常に最新技術、新しい体験に関わり続ける”、“オンリーワンのユニークな存在になる”、“求められる人材であること”。この3つを軸に将来を考えています。自分がオーナーとなって新規事業を立ち上げていくか、スタートアップ育成に注力するか、企業の新規事業のサポートを続けていくか。どれが3つの軸とマッチするか、考えている最中ですね。
実は「本当にやりたいことは何か」を発見したくて、副業をしているという側面もあるんです。経験を活かして社会に貢献し、自らのスキルを研ぎ澄ましていった先に、進むべき道があるのだと私は信じているので。

住氏が大学の講義で使用したプレゼンテーション資料より抜粋。
キャリアに悩んでいる人は、副業を通して自分の可能性を探るのもよいわけですね。

住氏

その通りです。キャリアの可能性を知るためには、本業に捉われず多くのバッターボックスに立った方がいいですよね。その手段として、副業はとても有効なんです。今の会社に限界を感じたからといって、すぐ転職に舵を切るのではなく、副業で知らない環境を疑似体験してみると新しい発見があるはずです。

さまざまな世界を見て、経験を積むこともできますね。

住氏

 会社以外にも自分の力を必要としてくれる場所があるというのは、大きな自信にもなります。同じ時間でも多くのことを経験した方が、人は成長できますよね。だからこそ、副業を利用してバッターボックスに多く立って、さまざまなものを見た方がいいんですよ。

もし転職を考えていたとしても、「ネガティブな転職」か「ポジティブな転職」かで結果は変わっていきます。今、ネガティブな考えなのであれば、副業で外の世界を見て、自身の考えをブラッシュアップし、ポジティブになってから転職活動をしても遅くありません。考えをポジティブに変える方法としても、副業は役に立つと思います。

現在、自分自身もクックパッド内で新規事業の立ち上げも行っていますが、たくさんバッターボックスに立ってきたのでスピード感も精度も高くいると実感しています。そして、自分でチャレンジしている体験もまた、これから新規事業を立ち上げる人々の役に立っていくという非常に良いサイクルになっているのです。

(編集・取材・文:眞田幸剛)

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