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公開日: 2022.1.18

タイヤ事業のリーディングカンパニー・ブリヂストンが挑む新規事業「ソフトロボティクス」。事業化へ向けて3ポジションを”副業”で採用する理由


1931年に創業し、タイヤ・ゴム事業を核として成長を続けてきたブリヂストン。タイヤ事業ではグローバルにおけるリーディングカンパニーの座を維持しながらも、新たな事業領域の探索へのチャレンジが始まっています。

具体的に2021年2月の中期事業計画(2021-2023)において発表されたのが、探索事業であるソフトロボティクスへの挑戦。ブリヂストンの素材開発の強みなどコアコンピタンスを活用したラバーアクチュエーターと呼ばれるゴム製の人工筋肉を軸に、“柔らかい”ロボット、ソフトロボティクスの事業化に向けて若手中心に全社プロジェクトとして推進中です。

ソフトロボティクス事業準備室では、物流分野での顧客の困り事を理解するため、大手メーカーのサプライチェーン担当者で、物流領域のAI・ロボット導入の経験を持つ副業人材・Kさんを採用。物流に強みを持つKさんを想定顧客に見立て、困り事・知見・ノウハウを学びながら、用途探索を進めていきました。

そして、いよいよ本格的な事業化を見据え、体制を強化。「ロボット技術企画」・「事業企画」・「デジタルマーケティング」の3ポジションで、副業人材の採用を計画しています。――事業化を加速する上で、なぜ正社員ではなく複数名の副業人材を採用するのか?そして、副業人材への期待とは?部門長である音山哲一氏とチームメンバーである山口真広氏・関仁菜氏からお話を伺いました。



株式会社ブリヂストン 探索事業開発第1部門長 兼 ソフトロボティクス事業準備室 音山哲一 氏

2001年、株式会社ブリヂストン入社。開発部門にて、F1向けタイヤの材料開発を担当。その後、MotoGP用タイヤの材料の配合開発を経て、12年グローバルマーケティング戦略部門へ異動。その後もソリューションビジネスなど、様々な領域で手腕を発揮。2021年7月より現職。

組織を活性化させるため、起業家精神をもった新たな副業人材を募集

――今回、複数のポジションで副業人材を活用される計画です。まずはその背景について教えてください。

音山氏 : 直近3ヶ月間ソフトロボティクス事業準備室にて、副業人材を活用していました。大手メーカーのサプライチェーン担当者と一緒に業務を行ってみて、副業人材の活用が当社のプラスになると確信し、これからも活用することを決めました。

事業を推進する上で、各フェーズにより求めるスキル・知識を持つ人材像が変わってきます。今までは変化に合わせて、社内人材の活用やメンバー自身の独学で対応してきましたが、社内にリソースのないフェーズや独学の限界を感じてきました。そこで、フェーズごとに必要なポジションを、副業人材でカバーすることにしたのです。

正社員で募集すると、求める人材を短時間で見つけることが難しい。そして何より期間限定で新しい方にご活躍いただくことで、組織内の血のめぐりが良くなり活性化していきます。こうした点を鑑みて、複数ポジションで副業人材を活用していこうと考えました。

――副業人材を活用して、具体的にはどのような点がメリットに感じられましたか?

音山氏 : プロジェクトメンバーが外部の方と関わることで、新しい気づきを得たり、知識を身につけられ、それがきっかけで新しい取り組みが生まれる感触もありました。それらを実際に目にして、知の融合が非常に面白いなと感じましたね。

最終的に副業人材の方とは、会議の中で業務の内容よりも、将来について熱く語り合ったこともありました(笑)。こうした副業人材との深い関係性が、当たり前になってほしいですね。

――外の風が入ることで、社員の刺激になったと。

音山氏 : 副業人材から色々な話を聞くことで、プロジェクトメンバーはかなり刺激を受けていたでしょう。ブリヂストンはお客様の声をとても大切にする風土がある会社ですので、特にユーザー目線での話は参考になりました。今後もそうした方と一緒に、業務を進めていきたいですね。


▲音山氏(中央)と共に、ソフトロボティクス事業を牽引する山口真広氏(左)と関仁菜氏(右)。

事業化を加速させる、3ポジションを募集

――募集する副業人材のポジションは、「ロボット技術企画」・「事業企画」・「デジタルマーケティング」の3つと聞いています。

音山氏 : そうですね。まず、「ロボット技術企画」からご説明します。当社の場合、ゴムという素材には絶対的な強みを持っており、化学系の技術者も多く在籍しています。しかし、化学系以外の技術者はそれらに比べると少ない状況です。今回ラバーアクチュエーターと呼ばれる人工筋肉をロボット分野にどう応用していくのかを企画できる人が求められています。

先日、ラバーアクチュエーターの用途探索をコンサルタントと進める中、ちょうど先方に元ロボットスタートアップにお勤めの方がいらっしゃいました。その際に、様々な技術的な話を聞くことができ、こうした知識を持つ人材が必要だと改めて実感しました。全て自社のリソースで対応しようとは考えていませんので、外部の力を有効に使いながら開発にチャレンジしていきたいですね。

――ロボット技術企画に関しては、具体的にはどのような業務をお任せしようと考えていますか。

音山氏 : 例えば、ロボットアームを企画するとしたら、全体の企画からその後、必要な技術構成要素を決め、アッセンブルした技術企画といった部分まで、お任せできればと計画しています。また、ラバーアクチュエーターの特性を理解いただき、どこに何本使うかなどを具体的な検討を行い、試作品も作っていきたいです。


▲ゴム素材の研究開発の知見を活かし、タイヤや油圧ホースの技術を適用したゴムチューブとそれを覆う高強度繊維のスリーブから構成されるラバーアクチュエーター。

――「事業企画」のポジションについてはいかがでしょうか。

音山氏 : 実際に自分の手を動かしながら、新規事業を立ち上げてきた方の力を借り、当社でのモデルケースを生み出せればと考えています。コア事業であるタイヤ事業とは、”タイヤは命を乗せている”、これが全ての大原則であり、我々の活動の根源です。今回私たちが挑む探索事業では、事業の性格に合わせてアジャイルに進めたり、今まで考えもしなかった手法で進めていきたいですね。

――どんなスキルやマインドをお持ちの方を求めていますか。

音山氏 : 今回の探索事業の場合、挑戦がベースになります。具体的に多様性を認め一体感を持って、共創のために社内外のネットワーク構築が必要です。また、ゼロから事業を創ることになるため、起業家精神をもった人材に来てほしいと考えています。また、人柄・行動も重要視しています。新規事業をドライブさせるには、ニコニコしながらも時には建設的に厳しいこと言ったり、苦しい場面を乗り越えていくことも必要ですから。やはり、社内の壁を突破できるような、力のある方がいいですね。

また、現在のプロジェクトメンバーの場合、市場の発掘やソリューションを検討するのは得意です。しかし、共創パートナーの選定や数年先を見据えた事業計画、サプライチェーンの構築等の経験やナレッジが不足しています。これまで実際に事業計画を策定等の経験が多く、実際に事業として成立したノウハウも熟知している人材だと嬉しいです。

――「デジタルマーケティング」についてもお願いします。

音山氏 : ブリヂストンの強みを活用した、ヒトと協働することができる柔らかいロボット、ソフトロボティクス事業の情報を多くの人に知ってもらうために、従来のマーケティングだけでは対応できない部分があるため、SNS等で情報を発信していく必要性も感じています。

関氏 : ソフトロボティクス関連の情報を社内外に発信するPR業務などは、私が担当しています。現在、電子カタログや映像の制作なども進めており、2022年にはウェブサイトもリリースします。それらを積極的に活用しながら、PR業務をさらに加速させていく予定です。そのためにも、デジタルマーケティングや広報全般の専門知識をお持ちの方にぜひジョインいただきたいですね。

――デジタルの知見を持った方は、チームにはいないのでしょうか。

音山氏 : Web領域のデータ分析ができる人材はいないですね。どのようなコンテンツでターゲットにリーチするのか、効果がないならどう改善するかといった、PDCAを回せる方にぜひきてほしいです。これからウェブサイトもリニューアルしていく予定ですので、そこからの問い合わせなどを、どうCRMに乗せていくのか。導線なども検討していけたらと考えています。

製品をリアルに作り上げる”モノづくりの醍醐味”を実感できる

――今回の3つポジションはいずれも新しい市場を生み出す仕事に携わることになるかと思います。ジョインした副業人材は、どんなやりがいを実感できますか。

音山氏 : 「モノづくりの醍醐味を実感して、製品を作り上げ、新価値をお客様に届ける」というのは当社ならではのやりがいであり、魅力になりますね。ソフトロボティクスを広め、ロボットのイメージを変えていくというビジョンに共感できる方に、ぜひ参加いただきたいです。新規事業になりますので、自分のポジションにとらわれず、経営者目線で共に考え、フラットな関係でモノづくりに取り組んでいきます。こうした経験は、なかなかできるものではありませんから。

――山口さんからはぜひ、どのようなマインドを持った方に応募いただきたいか、お聞かせください。

山口氏 : ヒトと協働することができる”柔らかいロボット”を世の中に提供するという私たちの事業のビジョンに共感し、ワクワクしてくれる方と一緒に働きたいと思っています。

――最後に、副業人材を活用したゴールをどこに設定しているか教えてください

音山氏 : 本気で事業化を進めていますので、副業人材の力を借りながら、2022年にはプロトタイプをお客様に届け、使ってもらうフェーズにもっていく計画です。ゼロから製品を作り上げながら、世に出していく。こうしたやりがいを実感しながら、共に成長していきたいですね。



(編集・取材・文:眞田幸剛)

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