2021.11.2

ロボット×物流のプロが副業で参画!ブリヂストンの新規事業を加速する“アジャイル”人材戦略


今回、「lotsful magazine」が取り上げるのは、株式会社ブリヂストンの新規事業部門であるソフトロボティクス事業準備室の副業人材活用事例です。

ブリヂストンでは、2021年2月に発表した中期事業計画(2021-2023)にて、探索事業としてソフトロボティクス事業に挑戦することを発表。長年にわたるゴム素材の研究開発の知見をいかし、ソフトロボティクス分野で人工筋肉として活用が注目されるラバーアクチュエーターの開発を進めています。同準備室では、物流ラインなどにこの技術を導入するための仮説・検証を行いながら、事業化を推進。しかし、物流領域で働くユーザーの生の声を集められない点が大きな課題でした。

そこでlotsfulを経由し、大手メーカーのマーケティング担当で物流領域のAI・ロボット導入の経験を持つ副業人材・Kさんを採用。物流の現場で活躍するKさんから、事業開発に必要な知見を学んでいきました

――大手企業・ブリヂストンの新規事業部門であるソフトロボティクス事業準備室では、どのようにして副業人材から知識を吸収し、事業化に向けて取り組みを進めているのでしょうか。準備室の中心メンバーである、山口氏と関氏からお話を伺いました。

株式会社ブリヂストン:コア事業(タイヤ事業)・成長事業(ソリューション事業)・多角化事業
設立年:1931年3月1日
社員数:14,858名(2020年12月31日現在)
副業活用ポジション:事業開発アドバイザー



■株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス事業準備室 山口真広 氏

2018年、ブリヂストンにジョイン。モビリティソリューション戦略部を経て、2020年10月より開発部門に異動。新規事業であるソフトロボティクス事業の立ち上げに携わる。



■株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス事業準備室 関 仁菜 氏

ソフトロボティクス関連の情報を社内外に発信するPR業務などを担当。副業人材・Kさんとは業務の中で直接関わりながら、物流領域におけるユーザー目線の声を収集。

私たちが大切にしているキーワードにぴったり当てはまる人材だった

――今回、事業開発アドバイザーとして、副業人材を活用した背景をお聞かせください。

山口氏 : ブリヂストンでは事業を展開するにあたり、「ユーザー目線を大切にする」というカルチャーがあります。そこからどのような仮説を立てるのか、プロダクトにどう反映させるのかが求められます。その中で、ソフトロボティクス事業で注力していく物流領域では、ユーザー目線がまだまだ不足しており、外部の力が必要だと考えました。

――外部の力を得るためには、コンサルティング会社などに依頼するという選択肢もあったと思います。副業人材を活用しようと決めた理由は?

山口氏 : 当社ではコンサルティング会社に依頼する機会も多くありますが、今回の場合は私たちが求める知見において、実務で経験を積まれている方が適任だと考えました。そこで、lotsful経由で副業人材をアサインしました。実は副業人材の活用も、私の知る限りではブリヂストンで初めての試みなんです。

――初めての副業人材の活用で、社内からの反応はいかがでしたか。

関氏 : 私たちが所属している事業準備室は、新しいことにチャレンジするのが好きな社員が集まっています。副業人材によって外部のリアルな声が聞けるということで、みなポジティブに受け止めていました。

――今回は大手メーカーでマーケティングを担当しているKさんにジョインいただきました。決め手はどこにありましたか。

山口氏 : スキルはもちろんですが、私たちが大切にしているキーワードが“挑戦と起業家精神”、“自己変革型の創造的集団”なのですが、Kさんもこのキーワードに当てはまる方だったからです。企業に所属しながら、新しい働き方を見出しているなど、面談においてその人柄に惹かれたのが最大の理由です。

関氏 : その人柄のおかげで、やり取りを重ねるごとに親しくなることができました。それだけでなく、会議の中で鋭い意見などを出していただけるので、Kさんのような方が準備室にいたら組織が活性化するなと感じましたね。


▲今回のプロジェクト「ラバーアクチュエーター」がゆで卵を掴む様子

物流・ロボットに関する知見が豊富

――Kさんは実際にどのような役割を担っておられたのですか。

関氏 : 私たちはソフトロボティクスを物流領域でサービス化したいと考えています。しかし、物流の専門知識が豊富ではないため、その知識をレクチャーいただく形で組織に入っていただきました。Kさんが持つ物流の知見からヒントをもらい、ソフトロボティクスの技術に反映。その結果を次の会議で見ていただき、フィードバックをもらいながら改善していくといった流れですね。アドバイザー的な立ち位置で、仮説の壁打ち相手になっていただきました。

――Kさんがジョインされたことによる成果は?

関氏 : ソフトロボティクスのハンドを使って、物を掴むなどの機能を物流ラインで活用できないか検討しているのですが、「重いものを掴む」、「小さいものをやさしく掴む」といったニーズを中心に想定していました。

しかし、ある時に大小さまざまな物を複数個持てるようなハンドを提案してみたら、Kさんから「そういったニーズは多くありますよ」と教えていただき、新たな価値発見につながりました。このように、自分たちが考えていたことが、社外では予想以上の価値があることに気がつくことができたこと。それが成果の一つと言えます。

山口氏 : Kさんは物流だけでなく、ロボットに関する知見も豊富でした。そこで、ソリューションを作り込んでいくためには、「こんな企業と組んだ方がいい」といったアドバイスもいただきました。商品企画以外にもアライアンス先の提案などは、とても役に立ちましたね。

――Kさんが組織に加わったことで、チームメンバーからどのような反応がありましたか。

関氏 : 物流に関する現場のリアルな声が聞けるので、部内でも注目度が高かったですね。隔週でKさんと2時間ほどウェブ会議を行うのですが、終わった後は山口からはもちろん、準備室の室長からも状況をよく聞かれました。会議の内容はすぐに共有するのですが、メンバーからも様々なリアクションがありました。

――副業人材を受け入れてみて良かった点、逆に難しいと感じた点を教えてください。

関氏 : 良かった点は知りたい内容を質問すると、すぐに返事がくることです。企画を進めるスピードが、そのおかげでアップしました。さらに、こちらが検討する中で求めるエビデンスなどを得ることもできました

ウェブ会議の日程は事前に決めていたので、その前に技術に関するトライアルを実施し、Kさんにそれらを見てもらおうというモチベーション向上にもつながっていましたね。

山口氏 : 組織には私のようなマーケティング領域で経験を積んだ社員がいたり、技術のスペシャリストもいます。そうしたスペシャリストの中に、現場である物流のプロに入っていただけたのは非常に心強かったですね。

難しいと感じた部分は、知識のキャッチアップですね。Kさんに質問するにしても、有意義な議論にするために、事前に勉強しなければならないことが多くありました。ただ、そのおかげで物流に対する知識も含めて、組織がレベルアップすることができました。

――副業人材を活用するにあたり、気をつけたポイントなどはありましたか。

山口氏 : あまりしつこくしないことと、しっかり頭を使ってもらえる環境にしようと努めました。悩んでいることや聞きたいことなどは事前に共有し、会議当日は余分なやり取りが起こらないように準備しました。

関氏 : 親しくなれたおかげでお互いの意見交換がスムーズになりました。これはKさんの人柄のおかげですね。ただし、砕けすぎないように最低限のマナーといいますか、ちゃんとする部分はしっかりと対応できるように心がけながら関係性を築いていきました。

フェーズごとに、最適な副業人材を活用したい

――ブリヂストンという大手企業の新規事業において、副業人材を活用するメリットはどこにありますか。

山口氏 : 新規事業は先が見えない部分が多々あります。弊社のような製造業ですと製品の作り込みが必要ですが、新規事業ではこれまでのウォーターフォール型の時間軸で動くのが難しい。その中で社員を異動させるとなると、例えばロボットに詳しい技術者であれば既存事業のエースを異動させることになります。

しかし、その人には既存事業に注力してもらった方が、事業のプラスになる。ただ、経営者としては既存も新規も両方ドライブさせていきたい。そこで、社内の人事的なバランスが必要となります

そうした難しい状況の中で、事業立ち上げフェーズで必要な人材を短期間で集めるには、副業人材の活用に大きなメリットがあります。そして、事業のフェーズが変わったら、必要な副業人材に新たにジョインいただく。社員を異動させる、正社員採用をすることなく、アジャイルで人材を補強できるのが副業の大きな強みだと感じています。

――それでは最後にlotsfulを活用した感想をお願いします。

関氏 : 前線で働かれているKさんの知識は非常に豊富で、ジョインしていただいた期間はとても価値のある時間となりました。初めて副業人材を活用しましたが、これからも事業フェーズに合わせて、最適な副業人材を活用できるよう検討していきます。

また、今までは副業は「会社に隠れてこっそりやる」という先入観がありましたが、そうした印象もなくなりましたね。自分の知識・経験に対する確固たる自信があるからこそ、副業ができるのだと実感しました。私も経験を積んで、チャレンジしてみたいですね。

山口氏 : lotsfulの営業担当の方のレスポンスが早く、活用後のサポートもあって助かりました。これからもお願いしたいと考えています。当社ではコア事業・成長事業・探索事業の三つの領域に事業が分かれているのですが、副業人材は成長事業・探索事業にマッチすると感じました。

また、サービス自体の感想になりますが、マッチングもセンスがあると感じました。lotsfulは私たちが必要としている人材を提案してくれるので、他部署などにもオススメしたいと思います。

(編集・取材・文:眞田幸剛)

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