従業員が副業する権利とは?トラブル回避のための注意点はある?
はたらき方の多様化により企業における副業解禁が進む現状、企業側も従業員の副業についてトラブルを防ぐために、その権利などを踏まえながら、改めて環境整備を図る必要があるでしょう。
今回は、従業員の副業に関する権利についての概要や、従業員・企業側双方の観点において注意すべき点を交えながら詳しく解説していきます。
従業員の副業する権利とは?
従業員の副業を認める企業が増える一方で、情報漏えいの防止や本業に支障をきたすなどの観点から副業を禁止している企業も少なくないのが現状です。
ただし、憲法第22条1項で「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」(※1)と規定されているため、従業員が副業をする権利について法律上での規制はありません。
例外として、公務員の場合は国家公務員法第103条・第104条(※2)、地方公務員法第38条(※3)により、副業をすることは禁じられています。
※出典1:e-Gov法令検索 日本国憲法
※出典2:e-Gov法令検索 国家公務員法
※出典3:e-Gov法令検索 地方公務員法
副業はどこまで許される?
副業をする場合、公務員以外は勤務先の就業規則で副業が認められていれば、基本的に問題はありません。
ただし、業務上従業員が機密情報を扱う立場にあれば、情報漏えいを防止する観点から同業他社での副業を禁止しているケースもあります。
副業が認められている場合でも、あくまで業務外の時間で行い、時間・体調両面で自己管理をしつつ、本業に支障のないようにすることは、従業員として最低限守るべきルールといえるでしょう。
副業トラブルを起こさないための注意点(従業員視点)
企業をはじめ、組織の従業員としてはたらくうえで副業でのトラブルを防ぐには、どのような点に注意すればよいでしょうか?以下で特に注意すべき3点を解説していきます。
就業規則を事前に確認しておく
副業をするうえで一番肝心なのが、勤め先の就業規則を確認することです。就業規則に記載されていない場合でも、念のため直属の上司か人事などの部署に確認をしておきましょう。
黙って副業を始めて、勤め先に迷惑が及ぶようなトラブルを起こす可能性はゼロではありません。副業はまず許可を得ることと、認められる範囲の業務内容を選んで始めることが重要です。
時間と健康管理に気をつける
副業と本業をうまく両立していくには、時間と健康両面における徹底した管理は必要不可欠といえるでしょう。
副業を始めるということは、今まで余暇に使っていた時間を仕事に充てなければなりません。また、本業・副業共に繁忙期のある仕事であれば、時間を確保して対応していく必要があります。
時間調整のバランスが取れずに無理なスケジュールで進めていけば、身体に影響を及ぼすと同時に、集中力を欠いて重大なミスを起こしてしまうかもしれません。
このような結果を招かないよう、まず充分な時間が確保できるかどうか考慮したうえで、無理のないペースで行うのが、副業を続けていく一番のコツといえます。
情報の取扱に注意する
勤め先の製品情報や独自のノウハウなどを、副業先で世間話のつもりでうっかり喋ってしまうということは絶対あってはなりません。副業で知り得たことを本業の勤め先で話すことも同様です。
ひょんなことから機密情報が他社に流れ、企業に損害を与えるきっかけになれば、最悪の場合は解雇や損害賠償という結果にも繋がりかねないため、くれぐれも情報の取り扱いには注意しましょう。
副業トラブルを起こさないための注意点(企業視点)
一方、はたらく従業員が副業でトラブルを起こさないようにするには、企業としてどのような点に注意すればよいでしょうか?以下で特に効果的な2つの方法を解説していきます。
ルールを整備する
就業規則で副業を認めていても、副業をして問題のない業界や仕事内容、あるいは業務の範囲について明確な基準がないと、従業員・企業側双方でのトラブルに繋がりかねません。
このため就業規則には、情報漏えいを防ぐために同業他社の仕事はNGであることなど、なぜダメであるか理由を明らかにした記載をしておく必要があるでしょう。
また、従業員の本業と副業の総労働時間が労働基準法第32条(※1)で定められた「1日8時間、週40時間」をはじめ、36協定(時間外労働協定)(※2)の上限適用について把握しておくことも重要です。
※出典1:e-Gov法令検索 労働基準法
※出典2:厚生労働省HP 36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針
従業員の健康状態に気をつける
副業を始めた従業員の仕事の効率が落ちていたり、体調不良による早退や欠勤が多くなったりしているなら要注意です。
特に疲労が溜まっていることによる不調は仕事のミスだけでなく、命に関わる事故をひき起こす可能性もあります。
いつもと様子が違うと感じたら話し合いの場を持つなどして、副業にかける時間を見直してもらうなどの対処を取ることも、組織だけでなく従業員を守るためには必要でしょう。
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今回は従業員の副業について、従業員・企業双方の観点から注意すべき点など、役立つ情報をお届けしました。
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