2021.10.13

マーケティング部長クラスに副業人材を抜擢―3ヶ月で200%成長を実現できた理由とは


今回、「lotsful magazine」が取り上げるのは、名古屋に拠点を構えるスタートアップ・株式会社オプティマインドの副業人材活用事例です。

ラストワンマイル配送における、走行ルート学習型配車サービスの開発・運営を行う同社。組合せアルゴリズムによって複雑な配送計画を短時間で作成し、効率的なルート提供を実現しています。

エンジニアを多数抱える同社においては、ビジネスサイドのプロ人材が少ないという課題がありました。そこで、マーケティング部門を担う副業人材をlotsfulで採用。日々の意思決定から施策の実行、メンバーへのアドバイスなど、部長クラスの権限を与えた結果、マーケティングにおける月次のリード獲得数を倍にまで伸ばすことに成功しました。

いかにしてそこまでの成果にたどり着いたのか。副業人材を活用するポイントを含め、代表取締役社長の松下健氏にお話を伺いました。

株式会社オプティマインド:ラストワンマイル配送におけるルート最適化サービスの開発と提供
設立年:2015年6月(2018年2月 株式化)
社員数:35名
副業活用ポジション:マーケティング(部長クラス)

■株式会社オプティマインド 代表取締役社長 松下健 氏
1992年、岐阜県生まれ。2015年、名古屋大学大学院在学中に、学術研究と実社会の架け橋になりたいという想いから合同会社オプティマインドを創業。2017年に株式会社化。2019年には、トヨタ自動車、三菱商事、KOIF(KDDI&GB)、MTGVから総額10億円以上の資金調達を実施。2020年、Forbes 30 under 30 Asia 2020に選出されている。

「まずは期待値を決めたい」―信頼できる人柄だからこそ副業人材活用に踏み切った

――今回、マーケティング部門で副業人材を活用されています。lotsfulに相談した背景やきっかけなど教えてください。

松下氏 : 技術レベルの高い副業人材がいれば、開発部門においては魅力的だとは思っていましたが、実はマーケティング部門での活用は考えていませんでした。しかし、組織の拡大に伴い、私がマーケティング部門を管掌することになり、経営をしながらマーケティングまで担当するのは、組織的にも健全ではないなと。そこで、マーケティングのプロがいれば色々と相談できると思い、試しに良い人材がいないかlotsfulに相談しました。

――元々、マーケティング部門で副業人材の活用は考えていなかったと仰いましたが、その理由は?

松下氏 : 副業人材をビジネスサイドで活用しようと思うと、業務の切り出しが大変で逆にコストがかかるという不安がありました。経営レベルでの壁打ちやファイナンス領域などでしか、副業人材が活躍できるイメージを持てなかったのです。

――試しに利用してみようと考え、lotsfulに相談したのですね。複数の候補者さんとお会いしたのですか。

松下氏 : Webサービス系のスタートアップのマーケティング担当としてご活躍されているUさんを紹介されて、一回の面談でそのままお願いすることにしました。正直に言えば、ご経歴からはスキルがあまり分からず、面談でも確証を得ることはできなかったのですが、lotsfulが間に入ってくれているので安心感もありましたし、お試しでやってみてフィットしなければ1ヶ月後であろうと、その旨を正直に伝えてお断りしようと考えていました。

ただ、面談をした感触として、Uさんがとてもいい人で(笑)。副業の場合、依頼したいこと、期待していることが曖昧なまま仕事をスタートさせてしまい、「これどっちがやるの?」みたいなケースがありますよね。Uさんの場合は、「まずは期待値をしっかり決めていきましょう」と言ってくれて。包み隠さずにお話しできたので「信頼できる人だな」と感じましたね。

――期待値に関しては、どのように決めていったのですか。

松下氏 : 最初に私の方から「当社の実質的なマーケティング部長だと思ってください」とお伝えしました。普段の意思決定はもちろん、仮説検証サイクルを回していくことや社員とのコミュニケーションもお任せしたいと。Uさんからは「結果にコミットしたいので、マーケティングの目標数値が上がらなかったら、自分との契約を終了してもらって構わない」と言われましたね。かなりドライな話ではありますが、腹を割って最初から相談できました。

他にも、自分に期待していることは何か、施策に関してもどこまで攻めていくか、そのことによって社内ではどんな反応が予想されるかなど、細かい部分まで目を配りながら確認をしてくれました。

――実際にUさんが稼働してから、何か要望などは出ましたか。

松下氏 : 1ヶ月ほど経った頃に、Uさんから定期的に私と1on1がしたいと依頼がありました。その時に期待値に対してどれだけコミットできているか、マーケティング部門の課題のすり合わせを行いたいと。当社に積極的に関わってくれて、やっぱりいい人だなと実感しましたね(笑)。それからは、隔週で1on1をするようになりました。

――松下さんの話を聞いて、Uさんがとても頼りになる副業人材だなと感じました。

松下氏 : そうですね。受け身になってしまうと業務を進めるのが難しくなってしまいますが、Uさんは積極的に社員とも関わってくれています。情報も社員との会話からキャッチアップしてくれて、提案も自らしてくれる。業務をわざわざ切り出す必要がないので、コストの心配も無用でしたね。


▲オプティマインドが提供する「Loogia」(ルージア)は、誰でも最適な配車計画を作成できる自動配車システム。

入社から3ヶ月で、200%成長の成果を生む

――マーケティング部門で副業人材を活用した理由についてお聞きしたいです。どのような課題感があったのでしょうか?

松下氏 : マーケティング部門には担当者が2名いるのですが、まだまだ手探りな部分があります。当社の場合は特殊なバーティカルSaaSで、業界トップのエンタープライズ領域にリーチしていくとなると、インバウンド・アウトバウンドそれぞれにやるべきマーケティング施策が山ほどあります。課題感としては、それらの多くある施策の取捨選択をしていくこと。何をやって、何をやらないのか。やるならば、どう振り返り判断するか。それらが明確ではなかったので、 意思決定ができる経験・ノウハウを持った方を求めていました

――実際に業務を進めてみて、気づいた点などありますか。

松下氏 : Uさんにマーケティング部門をお任せする中で、メンバーからすると私とUさんどちらに報告・判断を仰ぐのか、迷う部分があったそうです。そのため、とりあえず両方に伝えるみたいな状況に陥ってしまって。Uさんからも「メンバーが混乱しているみたいですね」と指摘があったので、マーケティング部門のメンバー2名を集めて、「普段の意思決定はUさん含めた3人で行い、承認が必要な時は私を通してほしい」と伝えました。副業人材が入ることにより、意思決定を誰がするのかといったちょっとした混乱は、他社でも発生しうるのではないでしょうか。

――Uさんにジョインいただいてから、具体的な成果は出たのでしょうか?

松下氏 : 社員の頑張りもあって、3ヶ月でマーケティングの数値が200%成長しました。また、マーケティング部門のメンバーが私に聞きにくいことも、Uさんになら気軽に質問できることもあるみたいで。そのまま意思決定までしてくれるので、非常に助かっています。

――コミュニケーションに関してはいかがでしょうか。副業人材の場合、本業があるため返信が遅いといったケースもあるかと思います。

松下氏 : UさんはSlackの返信がめちゃくちゃ早いんですよ(笑)。レビューの依頼も、次の日とかには返ってきますね。その他のコミュニケーションでいうと、週に1回の定例会には出てもらうようにしていますし、私との1on1も隔週であります。また、Uさんも毎週マーケティングのメンバーとそれぞれ1on1を行ってくれています。

――Uさんがジョインすることで、メンバーにもかなりいい影響を与えているように感じます。

松下氏 :  仕事の進め方、マーケティングの専門知識、この2つについては特に多くのことを学んでいます。仕事の進め方に関しては、施策の振り返りができるフレームワークを教えてもらいました。数値管理や施策で実行したこと、想定されるリスク、今後のアクションプランを考えながら、一週間で回していくことが浸透しました。マーケの専門知識に関しては、ケースによって外注する企業の選定といった、実務に直結することを教えてもらっています。

これが顧問などからのアドバイスだと、意見だけもらって、あとは持ち帰って「うーん」と悩んでしまう場合が多くあります。Uさんは経験をもとにして何をするべきかまでブレイクダウンしてくれるので、安心感につながっています。

副業人材活用のポイントは、「期待値調整」と「ミッションの明確化」

――反対に副業人材を活用して「難しい」と感じたことはありますか。

松下氏 : 開発部門からインプットしてマーケティング施策に活かす、営業部門と組んで戦略を立てる、経営層と相談して施策を進めるなど、他部署との連携にはあまり向かないかもしれません。副業人材は社内の人間ではないので、いつも「はじめまして」から入るためにコミュニケーションコストがかかってしまいます。ですので、一番連携が必要な営業部門との会議には、Uさんも出てもらうようにしています。

――例えば、社員が数名というスタートアップでは、知見が不足している場合が多くあると思います。そうした企業にとっても、副業人材の活用は有効でしょうか。

松下氏 : スタートアップの初期フェーズの段階でも、ありだと思います。特にマーケティングや開発、組織づくり、採用まわり、ファイナンスなどは普遍的であり、知見・経験が活かされる領域ですので、ここに外部のプロを入れて組織の視座を上げるというのは有効ではないでしょうか。私自身、一流の専門知識を有した副業人材をもっと招いておけばよかったと感じています。

――副業人材をうまくワークさせていくポイントは?

松下氏 : Uさんから学んだことではありますが、「最初に期待値の調整をすること」と「ミッションを明確にすること」の2つですね。何にコミットするのか、数値や課題、解決のための方法、業務への関わり方といったスタンスをしっかり合意しておくと、スムーズに進むと思います。

それともうひとつ、社員との相性も考えた方がいいでしょう。面談などを通して副業人材が「一緒にやってきましょう」という考えなのか、「私は経験があって一流だ。色々アドバイスするよ」といったスタンスなのか。後者だと、場合によっては社員からの反発が予想されますよね。

――最後にlotsfulを活用したご感想をお聞かせください。

松下氏 : lotsfulは必要な時にだけ出てきてくれるので、それが非常に助かっています。もちろん、契約まわりの対応などはしてくれますし、定期的に連絡もあり、押さえる部分はしっかりしていますが、あとは見守っていてくれるというか。

業務に集中できる環境を整えてもらえる、絶妙なバランス感覚を持ったサービスだと思います。

(編集・取材・文:眞田幸剛)

close close

lotsfulに興味をお持ちの方はこちら