異業界の視点で新規事業がブーストする―カゴメ・スマートアグリ事業の副業活用法
今回、「lotsful magazine」が取り上げるのは、飲料、食品、調味料などを扱う大手総合メーカー、カゴメ株式会社の副業人材活用事例です。
同社では、NEC 社と共同開発した「AI を活用した加工用トマトの栽培支援サービス」の事業化にあたり、トップ直轄組織であるスマートアグリ事業部を、2020年4月に新設。同事業部が展開している農業ICTプラットフォーム「CropScope」は、海外を中心にサービスを提供しています。
「CropScope」をさらに強力に推進していくために、lotsfulを通してコミュニケーションデザインを担う副業人材がジョイン。プロモーションの各プロセス設計から、Webサイトのディレクション、顧客分析までマルチにその力を発揮しています。――「CropScope」という新規事業において、なぜ副業人材を採用しようと決めたのか?また、どのように人材を選定して業務を切り出し、任せているのか?スマートアグリ事業部の事業責任者を務める堤川緩氏にお話を伺いました。
会社情報
カゴメ株式会社 | 調味食品、保存食品、飲料、その他の食品の製造・販売/種苗、青果物の仕入れ・生産・販売 |
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設立年 | 1949年(昭和24年) |
社員数 | 2,684名 |
副業活用ポジション | コミュニケーションデザイナー |
カゴメ株式会社 スマートアグリ事業部 堤川 緩 氏
日本電気株式会社に新卒入社後、一貫して海外向け事業のマーケティング、事業開発を担当。 2011年より5年間NECヨーロッパに出向し、EMEA担当としてモバイルキャリア向けのインビルディングネットワーク事業を軌道に乗せたのち、海外起点の社会ソリューションの新規事業開発担当として農業事業の事業立ち上げを実施。フロントでの事業開発及び、パートナーアライアンス責任者としてカゴメ協業を実現し、カゴメが事業主体となるスマートアグリ事業部を設立。2020年4月よりカゴメに参画し、事業責任者として、戦略策定や組織構築、カスタマーサクセスに従事。
短期間で、ピンポイントなスキルを持った人材を獲得できる
堤川氏
2020年4月にスタートしたスマートアグリ事業部ですが、限られた人員で立ち上げられた組織になります。技術・戦略パートをNECが、顧客開発などの事業運営を当社が担当しています。「CropScope」という新規事業をさらにスケールさせていくために、カゴメではセールスツールを戦略的に考える必要がありました。
最初の1年は私がリードしつつ、セールスツールを戦略的に考える人材を社内で探していました。しかし、ビジネスモデルもナレッジも当社にはなかったため、戦略セールスプロセスを理解して、プロモーションツールに落とし込む能力を有し、さらにそれらをグローバルに展開する語学力を持った人材が、社内でピンポイントに見つけられませんでした。事業をスピーディーに進めるには、採用に工数をかけることができないため、その対応策として副業人材の採用を決めたのです。
堤川氏
私自身、NECからカゴメに移り、新規事業を始めたばかりでしたので、相談する相手も少ない状態でした。そこで、当社の別の新規事業を担当している社員に声をかけ、Teams上でコミュニティを作りながら、人材を探していることを相談しました。皆さんに意見を頂きながら対応いただけそうな方を探していたのですが、聞いている限りはすぐに適任の方を見つけるのは難しそうだという感触があったため別の方法を考えることにしました。
堤川氏
採用するにあたり最も工数がかかるのは正社員で、実は業務委託も重いんですよね。契約まわりの対応などを含め、時間が結構かかるんです。スキルを持った方をピンポイントで、短時間で採用するなら副業人材だなと考えました。その中でもlotsfulを選んだ理由は、第一に実績があること。さらにそのスピード感ですね。相談したあとのリアクションが非常にはやかった点も助かりました。
堤川氏
lotsfulから推薦いただいた3名の候補者と面談し、決めさせていただきました。実は、今回採用した方よりも、コミュニケーションデザインに関するスキル・実績をお持ちの方がいました。しかし、採用を決めたMさんは、大手IT企業等で新規事業の立ち上げも経験しており、その知見を当社の事業にも反映できると期待したからです。
バイアスのない、新たな視点を得られる
堤川氏
プロモーションにおける各プロセスの設計をお任せしています。その中で、ランディングページを制作しよう、リードが集まってきたらサービスのコンセプトを理解してもらうためのマテリアルを用意しよう、というようにプロセスごとに必要なアウトプットを考えてもらっています。
また、「CropScope」のグローバル向けWebサイト制作に向けた、制作会社へのディレクションなどにも入っていただいていますね。
堤川氏
まずは中長期的なアウトプットをイメージしなら、各プロセスを設計し、3カ月先/半年先のラフなアウトプットを作っていただきました。それを軸にして週の始めに1時間ミーティングをして、その週に出すアウトプットを決めながら進めています。
堤川氏
ネガティブなものは、特にありません。Mさんは実績もスキルも申し分ない方ですので、アウトプットに関しても社内からの信頼が厚いと感じています。さらに、データ分析も得意な方ですので、CSチームから顧客の行動データを分析してほしいといった新たな依頼がくるほどです。
堤川氏
“視点の追加”だと思います。「CropScope」というサービスをどのようにして農家に受け入れてもらうかなどは、農業の知見が必要です。
しかし、「アプリには○○といった機能が必要だ」、「データ分析のセオリーを軸にした判断だと○○という結果が導き出せる」といった提案は、農業の知見がなく、社内のバイアスがかかっていない副業人材の方にお任せした方がメリットはありますね。知らない内に自分たちの経験だけで進めてしまっている部分があるので、副業人材が別の視点を与えてくれるのです。
そうした視点を入れるために、全く違う業界の専門家をお試し感覚で採用できる副業はとても有効ですね。投資をミニマムにしながら、効果を得ることができますから。
堤川氏
新しい事業には、新しい視点が必要です。正社員採用だと経験者をとるのがセオリーですが、お試しで他の業界の人材を活用できる副業は、大企業の新規事業にも大きなメリットがあると感じています。
副業人材に、業務を切り出すための”設計”も必要
堤川氏
任せたい業務を切り出して、限られた時間で成果を上げられるかがポイントになります。時間をかければどんな業務も成果が出るというわけではないので、業務を切り出すための設計も必要です。成果が出ないのは、業務を切り出す側にも責任があるのです。
先日、Mさんにデータ分析をお任せするにあたって、まずはどんな顧客が「CropScope」をよく使っているかを分析してもらいました。しかし、実は他のメンバーが同じ業務を既に行なっていて、任せた業務が重複してしまったんですね。そういった事態を避けるためにも切り出す業務を社内で整理しつつ、副業人材にしかできない業務を任せることがより効果的だと実感しました。
堤川氏
まず、年齢は関係ないですね。実際にMさんはまだ30代前半でお若いですが、副業人材として活躍しています。Mさんのように実績と専門性に”尖り”があれば、必要としている企業が見つかるはずです。マーケティングやデザイン、データ分析など、特定のファンクショナルスキルが特に新規事業では求められていると思います。
堤川氏
新規事業においてスピード感を持って採用を進めたいのは、関わる人がみな忙しいからです。そういった人たちを、事業に集中できるような支援体制のもと、副業人材を通じて支援するlotsfulは価値のあるサービスだと思いました。さらに、lotsfulに人材の相談をすると、次の日くらいには候補者が上がってきました。優秀な人材を集客する力はもちろんのこと、お会いする前に見た情報とお会いしてからのギャップが少ないのにも驚きました。lotsfulのスキルアセスメント力と、それを可視化するスキルがとても高いと感じましたね。
(編集・取材・文:眞田幸剛)
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